Simply Dead

映画の感想文。

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『演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る』(1992)

『演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る』(1992)

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 1992年、日本テレビで深夜に放映された各話30分×全5回の連続ドラマ。脚本は松尾スズキで、竹中直人が主演。脇を固めるキャストは、これが映像デビュー作となる阿部サダヲ、吹越満、井口昇、そして三谷昇など、実に豪華な顔触れ。アンマリな内容のために初回オンエアだけで封印されてしまったいわくつきの作品だそうで、つい最近DVD化されるまで、まったく存在を知らなかった。

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〈おはなし〉
 ドサ回りの奇術師・ダーク五郎(竹中直人)は、助手を務める妹の広子(田中広子)と共に、その町へとやってきた。そこでは暴力団が幅を利かせ、住民達は活気を失い、劇場も閑古鳥。雑用係をしている司(阿部サダヲ)は舎弟気取りで五郎になつくが、小屋主の虫明(山崎一)は多額の借金にまみれてシャブ中になっていた。

 コメディアンの錦一(吹越満)に絡んでいたチンピラを撃退した五郎は、ヤクザたちから目を付けられるようになる。司は広子と五郎の間に、単なる兄妹以上のただならぬ気配を感じ取っていた。そして五郎自身もまた、不意に訪れる身に覚えのない悪夢のフラッシュバックと、性的不能に苦悩していた。やがて、ひとりの精神科医(松尾スズキ)によって真実が明らかになった時、地獄の釜が開く……。

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 ああ、面白かった。こういう内容だとは全然知らなかったので、余計に楽しめたのかも。気持ち悪い人しか出てこないし。

 深夜番組とはいえ、これがテレビで放送されていたとは俄かに信じ難い、強烈なシーンが続出。大量殺人、性倒錯、麻薬中毒、放火、拷問、オカルト、近親相姦……井口昇出演のAVがそのまんま流れたりする。登場人物は軒並み凄絶な末路を遂げ、終いにはカタストロフへと至る。もう「全ては許されている」と言ったもん勝ちみたいなタブーの羅列に、後ろ向きのパワーが地鳴りのように響いてくる。とにかく悪いことしか起こらないのに突き抜けた爽快感のようなものを感じるのは、松尾スズキ脚本ならではというか。ファスビンダーとか大好きなんだろうな、きっと。

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 大塚恭司の演出も才気走っていて、病んだドラマをテンポ良く見せきっている。『キル・ビル』に先駆けて「恨み節」をフィーチャーした3話がいい。場所がいまいち特定できないロケーションも素晴らしい。また、劇中に流れる8mm映像を手がけたのは、『グループ魂のでんきまむし』(1999)などで知られる映像作家の藤田秀幸。主に過去のトラウマがフラッシュバックする場面で、線路上に転がるちぎれた手足を執拗に映したり、眼球に鉛筆が突き刺さった男を異様な迫力で撮っていたりして、テレビとは思えないハイクオリティな気色の悪さ。花輪和一の漫画みたいなイラストなど、映像的な趣向も楽しい。

 それにしても、よくDVD出たなあ、これ。



企画・プロデュース・演出/大塚恭司
脚本/松尾スズキ
共同脚本(3?5話)/宮藤官九郎
原作/楽太郎
8mm映像演出/藤田秀幸
美術・イラスト/青木すみれ
出演/竹中直人、田中広子、阿部サダヲ、吹越満、山崎一、松尾スズキ、秋山奈津子、三谷昇、佐古雅誉、井口昇、新村量子、伊藤ヨタロウ、早川サブリナ、林和義、西田康人、渡辺城太郎

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『演歌なアイツは夜ごと不条理(パンク)な夢を見る』DVD
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