Simply Dead

映画の感想文。

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『叫』(2006)

『叫』(2006)

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〈おはなし〉
 東京湾岸で異様な殺人事件が発生。被害者の女は海水の水たまりに頭を突っ込まれ、溺死していた。刑事・吉岡(役所広司)はその現場を訪れてから、奇妙な感覚にとらわれ始める。被害者の周辺には、自分の痕跡、残滓が仄かに残されていた。まるで自分が犯人であるかのような不安……。やがて第2の事件が勃発し、吉岡の焦りは募っていく。失われた記憶を探すように彷徨う彼の前に、突如として現れる不気味な赤い影。それは切り裂くような叫び声をあげながら、吉岡に向かってきた!

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 面白かったー! これ楽しいー! 黒沢清映画の2大スターであるところの“役所広司”と“幽霊”が真っ向からぶつかり合ったら? という『DEAD OR ALIVE ―犯罪者―』級のタッグマッチが、冗談でも何でもなく本気で展開する快作。今までの黒沢作品の集大成的な趣きもありながら、しっかりと新しいこともやっていて、セルフパロディに傾きかける危険性を巧みに回避。それでいてエンターテインメント性に富んだ、簡潔な娯楽作に仕上がっているのが素晴らしい。ミステリー仕立てのストーリーでも引っ張るし、オールスター映画としての楽しみもある。開発が文字通り途絶えた都市湾岸部の異様なランドスケープという舞台も、個人的に昔から知っている光景で、その社会派的要素と終末観を重ね合わせた趣向も凄くよかった。

 観る人の楽しみのために書かないが、ボーダーライン越えの怪異描写には度肝を抜かれる。それはやっぱり、黒沢監督にしかできないことだ。いいかげんホラーとか幽霊とかやりにくい時機に、よくここまで突き抜けたアイディアを実現したなぁ、さすがだなぁ、と嬉しくなってしまった。葉月里緒菜扮する「赤い幽霊」の存在感というか自由奔放さには、香港ホラー映画のようなバイタリティさえ感じるほどだが、個人的に思い出されてならなかったのは『妖婆死棺の呪い』(1967)だ。そしたら本当に×××××!

 なんでそんな映画のことを思いだしていたかというと、10年あまり前、BSのとある深夜番組で黒沢清監督自薦のホラー映画を5日間にわたって放映するという企画があり、そのラインナップが『怪談佐賀屋敷』『東海道四谷怪談』『血塗られた墓標』『光る眼』そして『妖婆死棺の呪い』だったのだ。だからもう、本当にびっくりした。(それを参考にしたとは監督も誰も言ってないけれど)

 近年では一作ごとにタイトでストイックな印象が強まっていく気がしていたけど、今回の『叫』では、どこか映画的なゆとりのようなものが感じられる。そこら辺に段ボールやら椅子やらが転がっている『勝手にしやがれ!!』モードが導入されているせいか、それともコンピュータで編集しているせいだろうか(あれは作家の編集リズムを弛緩させる気がする)。映像的にも素晴らしく、特に撮影と美術のクオリティは過去最高レベルと言っていい。

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『叫』プレミアム・エディションDVD


監督・脚本/黒沢清
プロデューサー/一瀬隆重
撮影/芦澤明子
音楽/配島邦明
出演/役所広司、葉月里緒奈、小西真奈美、伊原剛志、オダギリジョー、中村育二、奥貫薫、加瀬亮

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