
東京フィルメックス2006上映作品。最初は観るつもりじゃなかったけど、知り合いがスタッフに参加しているというので観に行った。そしたら意外にも、肩の力を抜いて観られるコメディだったので、結構楽しめた。
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〈おはなし〉
北海道・勇払。白夜の季節が訪れた頃、見知らぬ男(石橋凌)が町に流れつく。公園で行き倒れていた彼を拾ったのは、やはり町に来たばかりの女(桜井明美)。彼女は男を自分のアパートに連れ込み、無理やり繋ぎ止めようとする。
女は場末のスナックに勤めているが、客は「心凍らせて」をカラオケで熱唱しにくる常連の男(香川照之)くらい。やる気のないマスター(村上淳)は気にもしない。
男には、この町に来た目的があった。女には、この町に逃げてきた理由があった。奇妙で穏やかな時間が流れていくが、町にはやがて、再び夜が訪れる……。
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登場人物の妙な歩き方や、言葉の繰り返しや微妙なイントネーションを重視した台詞、香川照之のヘタクソなカラオケなど、細かなクスグリがいっぱいあって飽きない。何よりシンプルなのがいい。小林政広監督の映画はいつも何か余計なことが起きて無用の腹立ちを抱えることになる、というイメージを勝手に持っていたのだけど、今回はまったくと言っていいほどそれがなかった。オーソドックスで当たり前な音楽付けはちょっとつまらない気がしたけど、それが映画を観やすくしているのは事実。
閑散としたロケーション、安っぽいスナックやアパートの一室など、ストイックな画作りもどこかユーモラスな効果を生んでいる。白夜の町という舞台設定も面白い。もちろんノルウェーの傑作『不眠症』(1997)のごとく「昼ばかり」というシュールなヴィジュアルが登場人物たちの不安定な精神状態をそのまま表してもいる。加えて、何時になってもドアを開ければ太陽の光が入ってくるスナック、というムードもヘッタクレもない状況もかなり可笑しい。それこそブレッソンの『白夜』(1971)並みに、緊迫感と背中合わせのトボケたユーモアを醸し出している、と言ったら言い過ぎか。
今のところ配給も何も決まってないらしいが、かなり一般向けの開かれた映画だと思うので、埋もれさせておくには惜しい。
監督・脚本/小林政広
撮影監督/鏡早智
音楽/デイヴィッド・マシューズ
出演/石橋凌、桜井明美、村上淳、香川照之、柄本明

