原題:The Charge of the Light Brigade(1968)

1850年代のクリミア戦争を背景に、貴族階級が支配する英国軍の姿を通して、イギリス上流社会を批判した戦争大作。監督は“ブリティッシュ・ニューシネマ”の雄として世に出たトニー・リチャードソン。軽騎兵連隊がロシア軍と正面からぶつかり合い、壮絶に玉砕した“エクレバの戦い”を、無能な軍上層部がしでかした愚行として描いている。エロール・フリン主演の『進め龍騎兵』(1936)など、数回映画化されたこともある有名な史実だが、リチャードソンは露骨に批判的な視点からリメイクしている。
支配階級に翻弄されるバカバカしさを、詩情も色彩美もスペクタクルも恋愛ドラマも盛り込んで、全力を懸けて描きのめす。「巨費を投じたゴージャスな上流階級批判」というのがすでにバカバカしさ満点だが、とりあえずそのパワーには感心してしまう。
軍上層部の辛辣な描写には特に力が入っていて、ほとんどバカの集団扱い。それをトレヴァー・ハワードやジョン・ギールグッドといった錚々たる名優たちが絶妙に演じている。その下で兵士としての誇りをメタメタにされていく主人公を、デイヴィッド・ヘミングスが熱演。東宝戦争大作でいう黒沢年男みたいなポジション。監督夫人のヴァネッサ・レッドグレイヴも出演している。
映画の途中で、当時の風刺画を模したアニメーションが挟まるのが面白い。英国は勇ましいライオンに、ロシアを鈍重な熊に見立て、戦争賛成に傾く世相や、世界情勢などを分かりやすく見せてくれる。細かい線画がディゾルブ処理(?)か何かでスローに動くのだが、描き込みがあまりに凄すぎて圧倒されてしまう(気のきいた動きの飛躍もなく、ガッチリ描いているので余計に気が遠くなる)。このパートを手がけたのは、『ロジャー・ラビット』(1988)の作画監督や「アニメーターズ・サバイバルキット」の著者として知られるリチャード・ウィリアムズ。
脚本には、監督と同じくイギリスの“怒れる若者”世代を代表する劇作家で、マイク・ホッジス監督の『狙撃者』(1971)にも出演しているジョン・オズボーンが、ノークレジットで参加しているとか。どうせ風刺的にやるならリチャード・レスターのように洒落た感じがあってもよかった気もするが、ストレートに出来ている分、「なんで作ったのかよく分からない」闇雲なパワーと大作感はよく出ている。
製作/ニール・ハートリー
監督/トニー・リチャードソン
脚本/チャールズ・ウッド、ジョン・オズボーン(ノークレジット)
撮影/デイヴィッド・ワトキン
アニメーション/リチャード・ウィリアムズ
音楽/ジョン・アディソン
出演/デイヴィッド・ヘミングス、トレヴァー・ハワード、ジョン・ギールグッド、ハリー・アンドリュース、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ジル・ベネット
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