Simply Dead

映画の感想文。

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『ホステル』(2005)

『ホステル』
原題:Hostel(2005)

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 「近年最も過激で強烈なホラー映画」と騒がれているイーライ・ロス監督の問題作が、ついに日本公開。どんな内容なのかといえば、非常にシンプルでタイトな構成のスリラーに仕上がっていて、そこが意外でもあり、ストレートに面白かった。

 定石を少しずつ外していきながら、最後には物語の絶対法則へと誘導する語り口が見事。下世話な期待もしっかり裏切らない。見たまんまの印象だが、アンソニー・ウォラー監督の秀作『ミュート・ウィットネス』(1994)を観た時のいい感じを思い出した。

 話自体は「アメリカ人のボンクラ学生がヨーロッパ旅行に来てハメを外してハメまくるうちに大変ヒドイ目に遭う」という、いくらでも下品に落とせるストーリーだが、さほど浮わついた感じはない。もちろんエロもバカも前半ではたっぷり見られるが、予想外にきっちり撮っていて、適当なモンタージュも廃している。後半、チャラい服装だった主人公がフォーマルな格好にドレスチェンジするのも、分かりやすく映画的な演出でいい。

 前作『キャビン・フィーバー』(2003)の子供っぽい露悪趣味を最低限まで封じ、イーライ・ロス監督は地に足のついた演出を貫いている。そこがいちばんの驚きだった。一方で、パク・チャヌク監督の『復讐者に憐れみを』(2002)や、ジャパニーズホラーからの無邪気な引用(日本でもっとも有名な怪談のビジュアルまで! 演じた女優が呪われていないか心配だ)もある。そのてらいのなさが可愛い。

 この映画のスターはなんといってもヤン・ヴラサークだろう。人当たりのいいオランダ人中年男を好演し、観客を恐怖の奈落へ突き落とす。『セルラー』(2004)でのコメディリリーフぶりが印象深いリック・ホフマンが、またしても怪演を見せているのも嬉しかった。

▼この先キケン(ネタバレの)
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 『ホステル』の優れたオリジナリティは、悪を個のキャラクターに仮託せず、多くの人間が持つ欲望として極めてシンプルなかたちで描き出した点だ。不運な主人公たちは、狂った殺人鬼や邪悪な狂信集団の餌食になるわけではない。

 そこにはみんながやってくる。

 ここで殺人ビジネスの元締めや、マフィアのボスなどを劇中に出さなかったのも賢明だ。人間の欲望が一人歩きして生まれた場所、という恐怖がより伝わる。だから第2作で余計なことをしやしないか心配なのだけど……。

監督・脚本/イーライ・ロス
製作/イーライ・ロス、クリス・ブリッグス、マイク・フレイス
製作総指揮/クエンティン・タランティーノ、スコット・スピーゲル、ボアズ・イェーキン
撮影/ミラン・チャディマ
特殊メイク/グレゴリー・ニコテロ、ハワード・バーガー
編集/ジョージ・フォルシーJr.
音楽/ネイサン・バー
出演/ジェイ・ヘルナンデス、デレク・リチャードソン、エイゾール・グジョンソン、バルバラ・ネデルヤコーヴァ、ヤナ・カデラブコーヴァ、ヤン・ヴラサーク、リック・ホフマン、三池崇史

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『ホステル』コレクターズ・エディション 無修正版DVD
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