Simply Dead

映画の感想文。

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『黒い画集 第二話 寒流』(1961)

『黒い画集 第二話 寒流』(1961)

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〈おはなし〉
 支店長に出世した銀行マン・沖野(池部良)は、得意先の料亭の女将・奈美(新珠三千代)と恋仲になる。しかし、上司の桑山常務(平田昭彦)も彼女に惚れてしまい、それがきっかけで沖野は左遷。奈美も桑山にあっさりと乗り換えた。沖野は彼らに復讐しようと、探偵に素行調査を依頼するが……

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 堀川弘通監督の『黒い画集 あるサラリーマンの証言』(1960) に続き、松本清張のシリーズ小説『黒い画集』の一編「寒流」を映画化した作品。監督は鈴木英夫。

 前半は主人公とヒロインの不倫劇をじっくりと描き、後半は転落した男の復讐劇をサスペンスフルに活写する……かと思いきや、彼の努力はことごとく叩き潰され、なんの救いも得られないまま終わってしまう。相手は常に一歩先を読み、サラリーマンの浅知恵では上層機構には勝てない、というダークな結末が待っている。

 ものすごく凹む映画だった。それが極めて現実的な話だからだ。勧善懲悪の娯楽映画としては異色作かもしれないが、普通の大人が見れば身につまされる内容だろう。懸命に立ち回った結果、全てが裏目に出てしまい、挙げ句に上司から叱責される。そのイヤな感じがとてもよく出ている。特に、ラストで主人公を激しく叱責する副頭取役の中村伸郎が、ものすごい迫力。この人にこんなことを言われたら、ちょっと立ち直れない。

 とはいえ、ガチガチの社会派ドラマではなく、基調となっているのは不条理劇的なムード。たびたび妙ちきりんな展開になったりして、驚かされる。

 中盤のあるシーンでは、温泉宿に一泊した主人公とヒロインと上司が「宿を出るまで一眠りしようか」と言って、明るいうちから布団を敷いて川の字で寝てしまう。緊張感に満ちた場面だが、その状況がまずおかしい。さらに後半、主人公が唐突に料亭に連れて行かれると、丹波哲郎率いるスジモノの一団が待ち受けているシーンも、呆気にとられる。ここで主人公は丹波から「もう小細工は止しましょう」と警告されるのだが、コミカルなタッチに急展開して最後にぞっとさせる、というのが巧い。巧いけど、あまりやらない。

 白黒・スコープ作品だが、これはきっとスタンダードで撮りたかった内容だろうな、と思わせる構図が多かった。新珠三千代は個人的に苦手な女優さんなのだけど、この映画の彼女はとても良かった。


製作/三輪礼二
監督/鈴木英夫
脚本/若尾徳平
原作/松本清張
撮影/逢沢譲
音楽/斎藤一郎
美術/河東安英
照明/猪原一郎
出演/池部良、新珠三千代、平田昭彦、志村喬、宮口精二、丹波哲郎、中村伸郎

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