
〈おはなし〉
消防士のスティーヴン(マシュー・マコナヘイ)は、画家のキャロル(ケイト・ベッキンセール)と婚約中。ある日、彼女が妊娠したことを知ったスティーヴンは、激しく動揺する。自分が小人の一家に生まれ、ひとりだけ健常者として育ったことを、彼女に隠していたからだ。
その頃、スティーヴンの双子の兄ロルフ(ゲイリー・オールドマン)は、小人仲間でフランス生まれのアウトロー、モーリス(ピーター・ディンクレージ)とバイクで旅を続けていた。しかし、喧嘩っ早いモーリスの言動に付き合いきれず、別れて弟の家に行くことに。出迎えたのは、何も事情を知らないキャロルだった。
ショックを受けるキャロルをなぐさめ、ロルフは彼女を叔父一家の家に連れて行く。人々のやさしさに触れ、自分の混乱ぶりを恥じ入るキャロルを、皆は温かく受け入れた。だが、スティーヴンだけは……。
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先日、飲みの席で「マシュー・ブライト監督っていいよね」という話になったので、買いっぱなしで放ってあったDVDを観てみました。
いい映画だった……
『連鎖犯罪』(1996)や『トリック・ベイビー』(1999)の監督だからといって、別に凶悪なコメディでもなんでもなく、すごく誠実なドラマ。明るい色調のコミカルなタッチを守りながら、嘘くさいわざとらしさを排除し、時に過酷な現実問題とも真摯に向き合っていて、やっぱり信頼の置ける監督だなあと思いました。
ただし、その「誠実さ」がドラマの枷になっているところはあって、類型的だったり描きこみ不足だったり、欠点もあります。でも、他の生半可な“感動作”や、登場人物が正しいことしか言わないイイ子ちゃんだったりするダメ映画とは、一線を画してます。
どんな人も不用意なことを言うし、間違った行動もする。恐れていたことは現実に起こるし、それでも救いは思わぬところにある。そういうことがちゃんと描かれている、「正しい」映画。
特殊撮影で小人を演じるゲイリー・オールドマンの好演と、ヒロイン役のケイト・ベッキンセールの美しさが際立っています。破天荒なアナーキストを演じたピーター・ディンクレージは、この映画の良心。

しかし、マシュー・ブライト自身はこの映画を撮り終えた後、製作会社から編集権を取り上げられ、いまだに完成版を観ていないし、観る気もないと公言しています。監督抜きで編集された『Tiptoes』は2004年のサンダンス映画祭でプレミア上映された後、劇場では公開されずにDVDスルー。幼なじみで共に『フォービデン・ゾーン』(1980)を作ったリチャード・エルフマン監督によると、しばらく業界から離れ、メキシコの売春宿で隠遁生活を送っているとか(?)。
おそらく小人の出演者の登場シーンや、オフビートな部分が大幅に削られ、ヒューマニズムやコレクトネスに偏った編集をされた完成版からでも、ブライトの意図はハッキリと読み取れます。DVDだけでも日本でリリースしてくれないだろうか……
監督/マシュー・ブライト
脚本/ビル・ウィーナー
撮影/ソーニャ・ロム
音楽/カート・ソベル
出演/ゲイリー・オールドマン、ケイト・ベッキンセール、マシュー・マコナヘイ、ピーター・ディンクレージ、パトリシア・アークェット、デビー・リー・キャリントン、マイケル・J・アンダーソン、ブリジット・パワーズ
・DVD Fantasium
『Tiptoes』DVD(US盤)

