Simply Dead

映画の感想文。

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『脱獄囚』(1957)

『脱獄囚』(1957)

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〈おはなし〉
 刑務所から3人の囚人が脱獄した。そのうち2人は捕まるが、最も危険な死刑囚・山下(佐藤允)だけは、仲間から買ったピストルを手に逃亡を続ける。

 山下の恋人は死刑判決を聞き、悲嘆にくれて自殺した。その復讐のため、彼は判決を下した判事の自宅に侵入し、妻を射殺。次に、自分を逮捕した刑事・星野(池部良)の家へ向かう。狙うは刑事の妻・節子(草笛光子)の命だ。

 星野たち捜査チームは山下の狙いを知るが、逮捕を優先すべく節子を囮にし、ホシが現れるのを待ち受ける。その頃、山下は向かいの家に忍び込み、母娘を人質にとってチャンスをうかがっていた。

 そして、自分が犯人逮捕の囮にされていると知った時、妻は……。

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 復讐に燃える脱獄囚、標的となる刑事とその妻の息詰まる対決を描いた、サスペンス映画の秀作。これもシネマアートン下北沢の特集「監督 鈴木英夫」で観てきました。

 ファーストシーンから実に無駄なくストーリーが展開し、その歯切れ良い語り口は圧巻。スピーディな前半、日常描写を積み重ねてジリジリとサスペンスを高めていく中盤、緊迫感に満ちた後半、というメリハリの利いた構成で魅せてくれます。それぞれのキャラクター描写がしっかりしていて、妻を囮に使うという行為の非道さも巧みにフォローされた脚色も上出来(最後までそれを正当化しないまま、犯人との対決を選ぶ妻を主役にスライドさせていく)。

 ドリーやクレーンを効果的に使ったカメラワークが、相変わらずかっこいいです。洋の東西、時代の新旧を問わず、この監督の移動ショットの巧さは、ちょっと他の追随を許しません。前半の工場内を映したスタイリッシュな照明、後半の闇に包まれた家の中でのサスペンスなど、日本人離れした映像感覚が随所に見られて嬉しくなります。撮影担当は名手・玉井正夫。パンやティルトの精緻な動きは驚異的。シネマスコープで「開かれた密室」のサスペンスを巧みに捉えています。

 凶悪犯の囮となる刑事の良妻を、草笛光子が好演。恐怖におののく表情が、モノクロームの映像に実に美しく捉えられています。家庭の安全よりも職務を優先してしまう古風な刑事役、池部良のどこか疲れたハンサムぶりも魅力的。佐藤允のギラギラした悪役演技も素敵でした。一瞬しか出ませんが、山下の恋人役・岸田翠が素晴らしくイイ女に撮られていて、監督のセンスのよさに感動しました。


製作/田中友幸
監督/鈴木英夫
原案/石川年 「囮」
脚本/村田武雄
撮影/玉井正夫
美術/小川一男
音楽/芥川也寸志
出演/池部良、草笛光子、佐藤允、中北千栄子、家田佳子、藤田進、河内桃子
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