Simply Dead

映画の感想文。

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『The Missing Person』(2009)

『The Missing Person』(2009)

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 オスカー助演男優賞候補となった『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで』(2008)や、主演作『テイク・シェルター』(2011)などで注目を集める怪優マイケル・シャノンが、アル中気味の私立探偵を渋く演じた日本未公開のハードボイルド・ドラマ。監督・脚本はインディーズ映画作家のノア・ブシェル。3作目となる本作はサンダンス映画祭で初上映され、ニューヨークのインディペンデント映画賞「ゴッサム・アワード」の監督賞にもノミネートされた。

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〈おはなし〉
 シカゴ、まだ夜も空けきらぬ早朝。酒浸りの私立探偵ジョン・ロソウ(マイケル・シャノン)は、見知らぬ男からの電話で叩き起こされる。それは「ある男を尾行してほしい」というシンプルな依頼だった。電話が切れた直後、依頼主の秘書だという女性ミス・チャーリー(エイミー・ライアン)が現れ、写真と資料を置いていく。いかにも怪しげな物件だったが、金払いもよさそうなので引き受けることにするロソウ。

 依頼人の指示に従い、シカゴ発の長距離列車に乗り込むと、そこには尾行相手の男フルマー(フランク・ウッド)が、ヒスパニック系の少年とともに乗っていた。列車はL.A.に到着し、ロソウはフルマーたちと同じモーテルに部屋を取る。部屋での会話を盗み聞きしながら、フルマーが小児性愛者ではないかと疑うロソウ。

 翌日、タクシーで砂漠へと向かうフルマーたち。あとを追うロソウ。辿り着いた先は寂れた村で、フルマーはそこに少年を送り届けに来たのだった。次の瞬間、ロソウは警備の者に強烈な一撃を食らい、地べたに倒れ込む。……やがて彼は、フルマーが9.11テロの際に行方不明となった者であることを知り、同時になぜ自分がその尾行役に選ばれたのかも気づくのだった。

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 洒脱な台詞と、ひとクセある登場人物たち、平凡な日常の裏側にある世界の闇へと観る者をいざなう物語。ハードボイルド作品には欠かせない要素をしっかりと盛り込みながら、9.11という現代的モチーフを物語の核として巧みに活かしたプロットが新鮮だ。古きよき探偵映画の味わいと、現代性をバランスよく併せ持った逸品である。低予算のインディーズ作品ながら、モノクロに近い色調と陰影に富んだルックで雰囲気作りにもこだわっている。話としては非常にシンプルで、ハッキリ言って地味だし、謎解きに重点を置いた作品でもないので、やや食い足りない感はあるかもしれない(行方不明になっていたフルマーがなぜ見つかったのかという過程もハッキリしない)。ただ、捨てがたい魅力を持った小品であることは確かだ。

 狂気をはらんだエキセントリックな役柄のイメージが強いマイケル・シャノンだが、クラシックな探偵役も意外と似合う。いかつい風貌に滲む繊細さ、キザな台詞もサマになる渋い声を活かし、心に傷を負った孤独な男をナチュラルに好演。近年は出演作が引きも切らない人気者だが、本作を観ると確かに演技の幅も広く、魅力的な芸達者であることがよく分かる。先日『テイク・シェルター』絡みで電話取材した際には「複雑な人物を演じるのが好きなんだ」と語っていたが、この映画でも表面上は諦観を湛え、内奥には屈折を秘めた役柄を最小限のテンションで絶妙に演じきっている。

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 依頼人との連絡係をつとめる女性秘書チャーリー役のエイミー・ライアン、探偵と行きずりの関係を持つL.A.の女ラナ役のマーガレット・コリンら、脇を彩る女優陣の顔ぶれも印象的。同じニューヨーク出身者ということで主人公と仲良くなる『セルピコ』ファンのタクシー運転手、ジョン・ヴェンティミリアの愉快な芝居も忘れがたい。日本未公開が惜しい佳作である。

・DVD Fantasium
DVD『The Missing Person』(米国盤・リージョン1)

監督・脚本/ノア・ブシェル
撮影/ライアン・サムル
プロダクションデザイン/アレタ・シェファー
編集/モリー・ゴールドスタイン
出演/マイケル・シャノン、フランク・ウッド、エイミー・ライアン、マーガレット・コリン、ジョン・ヴェンティミリア、リンダ・エモンド、ポール・スパークス
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