Simply Dead

映画の感想文。

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『一番うまい歩き方』(1976)

『一番うまい歩き方』
原題:La Meilleure Facon de Marcher
英語題:The Best way to Walk(1976)

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 『ニコラ』(1998)のクロード・ミレール監督のデビュー作。ある夏のキャンプ場を舞台に、ふたりの青年の間に起こる心の波紋を、シンプルかつシャープな演出で切り取った傑作。

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〈おはなし〉
 男の子ばかりのサマーキャンプで体育を教える指導員マルク(パトリック・ドヴェール)と、演劇クラスを受け持つフィリップ(パトリック・ブシテー)は、性格も体格もまったく正反対のふたり。ある夜、マルクはふとしたきっかけから、フィリップが自室で女装している姿を目撃してしまう。

 それ以来、マルクの面白半分のちょっかいが始まり、フィリップは精神的に追い詰められていく。マルクもまた、フィリップに対して湧き上がる奇妙な感情を抑えることができない。不安に駆られたフィリップは、恋人のシャンタル(クリスティーヌ・パスカル)をパリから呼び寄せるが……。
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 簡潔な設定とストーリーの中で描かれる、豊かな隠喩と機微。全編に滑稽なユーモアを漂わせながら、心地よい緊張感を持続させる演出が素晴らしい。登場人物の心の揺れを犯罪的要素も絡め、一貫して描き続けてきたミレールの、デビュー作ならではの才気のほとばしりに驚かされる。無駄なく歯切れ良い語り口、さりげなく連発されるキメ画の数々には、思わず溜め息が出る。キャメラを担当したブリュノ・ニュイッテンは、本作でセザール撮影賞を受賞した。

左手前がブシテー、右奥がドヴェール

 いかにも文科系で線の細い青年フィリップ役を、パトリック・ブシテーが好演。やや挙動不審気味な目つきがなんともおかしい。彼は後にチャールズ・ブコウスキー原作の『つめたく冷えた月』(1991)で監督デビューも果たした。

 そんなブシテーとは対照的な、粗野で陽気な人気者マルクを、『バルスーズ』(1973)のパトリック・ドヴェールが演じ、やはり圧倒的な存在感を放っている。70年代以降のフランス映画界に登場した最もパワフルな俳優で、類い希なカリスマ性を持った逸材だったが、惜しくも1982年に自殺してしまった。ジム・トンプスン原作の『セリ・ノワール』(1979)で見せた演技も素晴らしく、このまま個性派俳優として驀進してくれなかったのが、かえすがえすも残念。

 ヒロインを演じるクリスティーヌ・パスカルの神懸かり的な美しさにも、息を呑む。このころの彼女の出演作がもっと観てみたい。傍役で、当時人気だったコメディ・チーム「レ・ブロンゼ」の、というより『仕立て屋の恋』(1990)のミシェル・ブランも出演している。

シャンタル役のC・パスカルと、P・ブシテー


監督/クロード・ミレール
脚本/リュック・ベロー、クロード・ミレール
撮影/ブリュノ・ニュイッテン
編集/ジャン=ベルナール・ボニ
音楽/アラン・ジョミィ
出演/パトリック・ドヴェール、パトリック・ブシテー、クリスティーヌ・パスカル、クロード・ピエプリュ、マルク・シャピトー、ミシェル・ブラン

ドヴェールとミシェル・ブラン


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『一番うまい歩き方』DVD(US盤)
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