原題:United 93(2006)

すっごく面白い映画になっちゃってましたね。柳下毅一郎さんが「よくできたサスペンス映画だった」と一言で評していて思わず笑っちゃったんですけど、観たらホントにそうでした。見事なカットバックの編集と、音楽の効果も大きいと思いますが、撮り方にもちゃんと演出が入っていて、思ったよりよっぽど映画的な映画になってました。
だから、同じポール・グリーングラス監督のデビュー作『ブラディ・サンデー』ほどの衝撃はありません。
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『ブラディ・サンデー』
原題:Bloody Sunday(2002)

1972年1月30日、アイルランドのデリーで、平和行進中の市民たちが英国軍パラシュート部隊と衝突。非武装の一般人13名が死んだ。“血の日曜日”と呼ばれたこの事件で、アイルランド共和国軍(IRA)と英国の対立は決定的なものとなり、長く悲惨な戦いが幕を開けた。
『ブラディ・サンデー』は、30年の時を経て謎多き事件の真相に迫り、惨劇の舞台となった現地デリーでロケした実録映画。技巧的なカッティングを排除し、音楽も皆無。さながら報道カメラがその場に居合わせているかのような臨場感あふれる映像で、悪夢の一日が始まり、そして終わるまでを、克明に映し出していきます。
……とはいっても映画なので、そのうち無理が生じます。手持ちカメラの映像はあまりに臨場感がありすぎて、途中から「これって一体、誰の視点なの?」という疑問が湧いてきます。その時点で、映画は迫真のドキュメンタリータッチというより、シュールな領域に突入。
そこにいるはずのない誰かの視線とは、つまり、「幽霊」のまなざしです。
てっきり僕は『ユナイテッド93』も、そんな視点の無自覚さが暴走した凄い作品になっているのかと期待してたんですけど、かなり手際のいいエンターテインメント作品になってました。そうか、間に『ボーン・スプレマシー』(2005)なんて撮ってれば成長するか……(あれはつまんなかったけど)
ところで、おなじみ「大切な映画がファックされています」という黒い涙CMは、なんかもう慣れてきちゃったんでいいとして、『ユナイテッド93』のエンドロールが終わった後に、「さあ、映画の夢に飛びこもう!(Universal Studio in Japan)」って広告が出ちゃうのは、なんだかなあと思いましたよ。
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製作/ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー、ロイド・レヴィン
監督・脚本/ポール・グリーングラス
撮影/バリー・アクロイド
プロダクションデザイン/ドミニク・ワトキンス
編集/クレア・ダグラス、リチャード・ピアソン、クリストファー・ラウズ
音楽/ジョン・パウエル
出演/ハリド・アブダラ、ルイス・アルサマリ、オマー・バーデゥニ

