Simply Dead

映画の感想文。

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『クレイジー・ボーイ』(1985)

『クレイジー・ボーイ』
原題:돌아이(1985)
英語題:Crazy Boy

dolai_poster.jpg

 韓国の人気歌手・タレントのチョン・ヨンロクが主演した痛快アクションコメディ。彼が演じるのは5人組ガールズバンド“スリラー”のマネージャー兼用心棒。でっかい黒縁メガネと小柄な身体がトレードマークの彼は、見た目は冴えないが実はクンフーの使い手。気が短くて正義感が強すぎるあまり、常に揉めごとや生傷が絶えず、バンドのメンバーに叱られることもしばしば……。そんなキレやすくも心優しい“クレイジーボーイ”が、自由奔放でわがままな美女たちを守るため四苦八苦する姿をテンポよく描いた、80年代ムードたっぷりの娯楽活劇だ。韓国では大ヒットを記録し、3本の続編も製作された。

 監督は『最後の証人』(1980)のイ・ドゥヨン。70年代にはテコンドー映画を数多く手がけ、年間6本も撮ったことがあるというイ監督の職人ぶりが、本作でも遺憾なく発揮されている。コメディ、お色気、クンフーアクション、カーアクション、人情ドラマと、娯楽映画の要素を(ほとんど思いつきのように)盛り込めるだけ盛り込み、上映時間114分をまったく飽きさせない。イ監督は同年に韓国版『東京物語』といわれる家族ドラマ『長男』も撮っていて、翌年には大ヒット作『桑の葉』(1986)を放つ。とにかく韓国の職人監督はジャンルの幅が広い。

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 重厚な社会派サスペンス映画である『最後の証人』でもやたら迫力あるアクションシーンに度胆を抜かれたが、この『クレイジー・ボーイ』にも見応えある立ち回りが満載。本作では当時大人気だったジャッキー・チェン主演映画の影響をモロに受けており、コミカルでハイテンポな格闘様式が採り入れられている。本家ジャッキーに比べれば若干見劣りするものの、チョン・ヨンロクのアクションには充分以上のスピードと迫力があり、特に足技のキレが素晴らしい。かなりハードなスタントにも挑戦していて、歌手が片手間でやっているというレベルではない。

 でもいちばん楽しいのは、主人公がガールズバンドのマネージャーであるという設定。カラフルな80年代ファッションに身を包んだスタイル抜群の長身美女たちの周りを、使いっ走りみたいな主人公がちょこまか駆け回る姿が何ともおかしくて愛らしい(「あー、日本語でいう太鼓持ちか」なんて台詞も出てくる)。やること為すこと裏目に出たり、なんだかんだ文句を言われたりしながら、最終的には女の子たちから「オッパ?!(=お兄ちゃん)」と慕われるという、ある種の理想的ヒーロー像でもある。コミカルな三枚目と、目の奥に殺気を宿したファイターという2つの表情を、チョン・ヨンロクは嫌味なく好演。確かにハマリ役だ。

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 バンドメンバーを演じる美女たちも全員キャラが立っていて、本作のもう一方の主役としてしっかりドラマを引っ張っている。ステージでの演奏シーンも結構かっこいい。曲ものっけからザ・ゴーゴーズ「We Got The Beat」のカヴァーだったりして、エイティーズ好きの方にはたまらないのではないか。そこにまた80年代アジア圏ならではのイナタイ都会的センスが加わり、いい風味を醸し出している。バンドのオリジナル曲はポップソングとして完成度が高く、今聴いても普通にアガル名曲揃い。主題歌「DOLAI」もすごくいいし、ヨンロクのヴォーカル曲も耳に残る。

 また、奔放なヒロインたちが見せるセクシーショットの数々も、本作の大事な見どころ。水着の股間を執拗に狙ったりするカメラワークは、女性が見るとちょっとカチンとくるかもしれない。彼女たちを野郎どもの魔の手からいかに守り抜くか、というのが主人公の重要なミッションでもあるわけだが、努力の甲斐なく結構ハードな展開になったりするのが韓国映画らしい。

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 脚本は『最後の証人』や『桑の葉』(1986)など、イ・ドゥヨン監督とたびたび組んでいるユン・サミュク。細かい事件のエピソードを次々に積み重ねていく構成は『Mr.BOO!』シリーズを思わせるが、その畳み掛け方があまりにも早急なので、どんだけ矢継ぎ早にトラブルが舞い込んでくるのかと途中で思わず笑ってしまう。もう最後になると戦ってる相手の正体が誰なんだかよく分からないほどだ(ちょっと阪本順治監督の『鉄拳』っぽい)。でもまあ別にいいか、と思わせる大らかさが本作の魅力である。

 80年代アジア圏の娯楽映画ならではの、懐かしい魅力がいっぱいに詰まった快作。荒っぽいところも「そこでそれはどうなの!?」というツッコミどころも多々あるが、それもまた面白みのひとつだ。こういう映画がもっと観てみたい。

▼続編『クレイジー・ボーイ2』のサントラCDジャケット
dolai2_soundtrack.jpg

・Yesasia.com
DVD『クレイジー・ボーイ』(韓国盤・リージョンオール・英語字幕つき)


製作/イ・テウォン
監督/イ・ドゥヨン
脚本/ユン・サミュク
撮影/ソン・ヒョンチェ
音楽/イ・ジョンシク
編集/イ・キョンジャ
出演/チョン・ヨンロク、ソン・ユンジュ、シン・ユンジョン、ミン・ボッキ、キム・ミヒョン、オ・ドク
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