Simply Dead

映画の感想文。

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『ホット・ロッド めざせ!不死身のスタントマン』 (2007)

『ホット・ロッド めざせ!不死身のスタントマン』
原題:Hot Rod(2007)

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 傑作。今年に入って観たコメディ映画のなかでは断トツに面白かった。スタントマン志望のボンクラ無職青年ロッドが、重病を抱えた義父の手術費5万ドルを稼ぐため、仲間たちとスタントショー開催を目指して奮闘するスポ根ならぬスタ根コメディ。

 主演は「サタデー・ナイト・ライヴ」の人気者アンディ・サムバーグ。監督のアキヴァ・シェイファー、弟役で共演のヨーマ・タッコンと共に、「SNL」ではトリオとして活躍中なんだとか。共演は『寝取られ男のラブ・バカンス』(2008)のビル・ヘイダーや、『Mr.ボディガード/学園生活は命がけ』(2008)のダニー・マクブライドといった、ジャド・アパトウ作品でもおなじみの面々。てっきり映画自体もアパトウ系のベタなドタバタ喜劇なのかと思ったら、どちらかというと『ナポレオン・ダイナマイト』(2004)系の、スモールタウンに暮らすダメダメなアウトサイダーたちの生き様に迫る秀作だった。たいへんクオリティの高いバカがたくさん見られて、片時も目が離せない。

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 まず見どころは主人公ロッドが挑む壮絶かつバカバカしい「大失敗スタント」の数々。ギャグとしては『ジャッカス』シリーズの系譜ともいえるが、ジョン・ランディス風味の荒唐無稽なアクションもあったりして、コメディの初心に帰ったような懐かしさも感じる。しかし、そんなフィジカルな笑いだけにとどまらず、パロディや時代錯誤ギャグ、感動的なドラマ要素、アマチュアが根性でヒエラルキーを覆すサクセスストーリーなど、最近流行のコメディ映画によく見られるエッセンスも巧みに散りばめられているのが今っぽい。

 脚本は『サウスパーク』シリーズや『チーム★アメリカ/ワールドポリス』(2004)の製作・脚本を手がけてきた才媛、パム・ブレイディ。主人公が山の斜面をひたすら転がり落ちるシーンには、『チーム★アメリカ』のゲロと同じ匂いを感じた(イヤな言い方だな)。元々はウィル・フェレルのために書かれたシナリオだったらしいが、彼がやっていたらおそらく新鮮味のない、身勝手な変人が大暴れするいつものウィル・フェレル映画になっていただろう。まだコメディアンとしては未知数のアンディ・サムバーグが演じたからこそ「読めない面白さ」が溢れる快作になったのだと思うし、ニート青年の成長ドラマという面でも格段に初々しさと説得力が増した。

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 主人公がスタントで一攫千金を目指すきっかけになるのが、義父の手術代を稼ぐためという理由なのだが、単なるお涙頂戴の筋立てとは正反対。実はこの親子関係こそがストーリーの根幹であり、その描き方が本当に素晴らしいのだ。2人は毎日フルコンタクトの喧嘩ばかりしていて、連れ子のロッド君は常に惨敗。そんな時、にっくき義父の深刻な病状を知った彼は「俺を男として認めないうちに死ぬんじゃねえ、このクソオヤジ!」と、ほぼ怒りの衝動から義父の命を救おうとする。義父の方も「やれるもんならやってみな、このゴクツブシ!」と、死の床に臥してなおロッドの闘争心を煽り続ける。100%素直じゃないけど、そんじょそこらの冷たい親子関係なんかより、はるかに熱いもので結ばれている2人なのだ。

 義父に扮するのはイギリス出身の名優イアン・マクシェーン。最近では『カンフー・パンダ』(2008)の悪役で印象に残っている人もいるだろう。息子をからかい続けるのがホントに楽しいといった風情で、ひねくれオヤジを好演している。ストーリーが進むにつれて、この親子の絡みを観ているだけで本当に泣けてくるし、ラストはものすごい伏線の回収も併せて爆笑&号泣。彼らをやさしく見守る母親役シシー・スペイセクの佇まいも素晴らしかった。

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 主人公の義理の弟を演じるヨーマ・タッコンは、自身もコメディアンながらギャグは控え目にバイプレイヤーに徹し、主役のサムバーグをしっかりサポートしている(DVD特典のメイキング映像を観ると、どうも重度の露出狂らしい)。代わりにスパークしているのがスタントチームの仲間を演じるビル・ヘイダーとダニー・マクブライド。ちょっとこれ以上のバカにはお目にかかれないと思うくらい、本気のバカっぷりを見せてくれる。本筋とは関係なくヘイダーが病院へ行くエピソードが凄すぎて感動した。マクブライドは『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』(2008)と全く同じギャグを本作でもやっている。

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 キュートなヒロインを演じるのは、新作『お買いもの中毒な私!』(2008)の公開も控えるアイラ・フィッシャー。なんら詳しい人物設定もなく、ただ素で可愛いという役を自然体で好演。ちなみに実生活ではボラットことサシャ・バロン・コーエンの婚約者である(一女あり)。彼女のサイテーな恋人役を怪演するのは『俺たちフィギュアスケーター』(2007)のライバル役も鮮烈だったウィル・アーネット。今回もあのいやらしい悪役声を駆使し、異様なインパクトを与える。

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 アキヴァ・シェイファー監督の演出は、抑制を心得たシンプルな語り口と歯切れよいカッティングが心地よく、なかなか好感が持てた。バカコメディと家族ドラマのバランスもちょうどよく、感動的に盛り上がるところで細かいギャグを入れて中和する“照れ隠し”の按配もいい。前述のように、アメリカン・コメディのいいところをうまい具合に取り込んで消化したクレバーな作品という印象もある。「SNL」人脈の実力を久々に見たな、という気がした。

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DVD『ホット・ロッド めざせ!不死身のスタントマン』


製作/ローン・マイケルズ、ジョン・ゴールドウィン
製作総指揮/ウィル・フェレル、ジミー・ミラー、ジル・メシック
監督/アキヴァ・シェイファー
脚本/パム・ブレイディ
撮影/アンドリュー・ダン
プロダクションデザイン/スティーヴン・アルトマン
音楽/トレヴァー・ラビン
編集/マルコム・キャンベル
出演/アンディ・サムバーグ、ヨーマ・タッコン、ビル・ヘイダー、ダニー・マクブライド、アイラ・フィッシャー、イアン・マクシェーン、シシー・スペイセク、ウィル・アーネット

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