Simply Dead

映画の感想文。

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『オリバー・ツイスト』(2005)

『オリバー・ツイスト』
原題:Oliver Twist(2005)

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 『戦場のピアニスト』(2002)で何もかもやりきってしまったはずのロマン・ポランスキー監督による名作文学の映画化。演出タッチは前作と同じ。とてつもなく見事なセットの中で、ロンドンのどん底がカリカチュアなしに淡々と描かれます。死も暴力も仮借なく、かといって過度な作為を廃した語り口は、文芸映画としてはあまり例を見ないものです。

 自身の戦争体験に基づく「ひもじさ」のリアリティは揺るぎなく、感情の発露もままならない生活が見事に表現されています。ロンドンに辿り着いたオリバー少年が地面にへたばっている姿勢が秀逸。「もう動けない人間ってのは、こうなんだ」という真実味があります。

 ポランスキーは、様々な困難を乗り越えていくオリバー少年の成長ドラマにはさほど眼もくれず、彼と出逢って運命を変えていく周囲の人々(そのうち3人は死ぬ)のドラマの方に気持ちを入れています。泣かせに泣かせる感動作を期待すると肩透かしを食うと思いますが、ラストではしんみり感動させます。ベン・キングスレーはやっぱり巧いですね。

 貧困からは脱出できたけれども、「彼の未来はこの先も多難が待ち受けているのだろうな」と思わせるエンディングには、ポランスキーの実感がこもってます。でも、楽天的な結末よりはずっと誠実で、悪い感じはまったくしません。

 ポランスキーらしさが分かり易く出ているのは、一部屋に群れをなす大人達の不気味さ(冒頭の孤児院のシーン)、そしてクライマックスにおける、屋根の上でのサスペンス。『ポランスキーの吸血鬼』(1968)といい『テナント/恐怖を借りた男』(1976)といい『フランティック』(1988)といい、やっぱりポランスキーの描く屋根は魅力的です。本作ではかなりあっさりしたものですが、相変わらず真に迫った恐怖があります。

 この映画にも、マイク・ホッジス作品に縁のある俳優が何人か出演しています。悪党ビル・サイクスをリアルな恐怖感と共に演じたのは、『ブラザー・ハート』(2003)のミクサー役で好演を見せたジェイミー・フォアマン。最近わりと売れっ子みたい。そして、前半に登場する無茶苦茶な言動の判事ファング役を楽しそうに快演しているのが、『狙撃者』(1971)で不運な若者キースを演じたアラン・アームストロング。今やイギリスを代表する名バイプレイヤーです。


製作/アラン・サルド、ロベール・ベンムッサ、ロマン・ポランスキー
監督/ロマン・ポランスキー
原作/チャールズ・ディケンズ
脚本/ロナルド・ハーウッド
撮影/パーヴェル・エデルマン
プロダクションデザイン/アラン・スタルスキ
衣装デザイン: アンナ・シェパード
編集/エルヴェ・ド・ルーズ
音楽/レイチェル・ポートマン
出演/バーニー・クラーク、ベン・キングズレー、ハリー・イーデン、ジェイミー・フォアマン、エドワード・ハードウィック、リアン・ロウ

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