Simply Dead

映画の感想文。

2008年に面白かったもの

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 2008年の映画界はベスト10が軽く3つは作れそうなくらい、傑作に恵まれた気がします。それだけ社会が荒れていて、題材やメッセージに困らなかった、ということかもしれませんが。そんな中からまず個人的にぶっ飛ばされた10本を選ぶと……

『It Is Fine! Everything Is Fine.』
『ダークナイト』
『その日のまえに』
『28週後…』
『劇場版 空の境界 ―矛盾螺旋―』
『カイバ』
『WALL・E/ウォーリー』
『陽もまた昇る』
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
『英国王給仕人に乾杯!』

 特に上位5本は、映画を観ながら完全に取り乱し、冷静な判断も批評眼も消し飛ぶカタルシスを与えてくれた傑作でした。中には完璧とは言えない作品もあるかもしれませんが、些細な欠点を猛然とカバーする過剰さ、演出のパッションが構成の美をぶち壊すほど昂った映画のほうが、ぼくは好きです。そんな言語道断もとい言語を絶する作品がいつになく多かったので、自分の文章力のなさを恨むことも多く……いまだに『その日のまえに』や『カイバ』の素晴らしさについて語る技量を持ち合わせていません(そのうち、ちゃんと書きたいとは思いますが)。『英国王給仕人に乾杯!』は大晦日に観に行って滑り込みランクイン。ちなみに、今年めでたく公開された二大傑作『エグザイル/絆』と『ホット・ファズ ―俺たちスーパーポリスメン!―』は昨年のベストに入ってるので外しました。

 もちろん、他にもベストテン級の作品はゴロゴロしてました。以下、ダラダラッと40本ほど列挙。

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『Futurama』(TV Series and DVD Features)
『イースタン・プロミス』
『ぐるりのこと。』
『フィクサー』
『Enfermes Dehors』
『The Lost』
『宮廷画家ゴヤは見た』
『ザ・クランプス 精神病院ライブ』
『12人の怒れる男』
『火女'82』
『カンフー・パンダ』
『ダージリン急行』
『残酷復讐拳』
『Never Apologize』
『実録・連合赤軍 ―あさま山荘への道程―』
『シークレット・サンシャイン』
『Red』
『文雀』
『おくりびと』
『アイアンマン』
『What Is It?』
『天皇伝説』
『Genius Party Beyond』
『人のセックスを笑うな』
『無ケーカクの命中男/ノックト・アップ』
『ラスト、コーション』
『ミスト』
『眠れる野獣』
『ダイアリー・オブ・ザ・デッド』
『ランボー 最後の戦場』
『スウィーニー・トッド ―フリート街の悪魔の理髪師―』
『フロンティア』
『デイ・ウォッチ』
『崖の上のポニョ』
『スーパーバッド/童貞ウォーズ』
『ハッピー・ゴー・ラッキー』
『セックス・カウントダウン』
『インファナル・ディパーテッド』
『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』
『ミラクル7号』

 鳴呼、こんだけ並べても『屋敷女』や『グラディーヴァ』や『タクシデルミア』や『寝盗られ男のラブ・バカンス』が入りきらないってどういうことよ……と自分でも唖然としますが、それだけ豊作だったということかと。今年はなにげに仕事が忙しかったせいもあり、『少林少女』とか『20世紀少年』といった消化器系に悪そうな映画はなるべく観ないようにしたので、いいものに当たる率が増えたのかもしれません。

 しかし、それでもカスには当たります。栄えある2008年ワーストは次の5本。

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1位:『ライラの冒険 黄金の羅針盤』
2位:『デトロイト・メタル・シティ(実写版)』
3位:『ブラブラバンバン』
4位:『純喫茶磯辺』
5位:『レディアサシン』

 『ライラ?』や『DMC(実写版)』は感想を読み返すと、あの時の怒りを100パーセントは伝えていなくて、まだまだ力量不足だなあと思います。あと、よく周りから「そんなに怒ることないじゃん……」と引かれるぐらい細かいことを気にするたちなのに、『ダークナイト』や『28週後…』について説得力十分の大チョンボを指摘されても「えー、面白いからいいじゃないっすかあ」と大雑把に考えてしまうバランスの悪さが、自分でもどうかと思います。

 でもまあ少しだけ言わせてもらうと、『純喫茶磯辺』の志の低さときたらないです。こういうジコーケーサツ的なオフビート感とか、スローライフみたいなムードが売れ線なんでしょ? という下卑た商売っ気まるだしのくせに、その土俵の上で面白いものを生み出す意欲がまるでない、体に悪い映画でした。一方、『ブラブラバンバン』は清々しいほど演出力が皆無。ついでに『カメレオン』や『グーグーだって猫である』も、ワーストとは言わないまでも本当につまらなかったです。演出やシナリオが素材(役者・原作)を殺しすぎ。

 ……つまんない映画の話ばっかしてても仕方ないので、素晴らしい仕事をした人たちの話を。まずはなんといっても金沢で奇跡のビッグ・スライドショウ公演を果たし、期待に違わぬ「とてつもないもの」を見せてくれたクリスピン・グローヴァー。そして『It Is Fine! Everything Is Fine.』 の脚本・主演を務めたスティーヴン・C・ステュアート。このふたりの与えたインパクトが何しろ抜きん出ていました。きわめてピースフルなムードの中、狂い果てたプログラムを次々と実現させたカナザワ映画祭は本当に素晴らしい。まさに気違い沙汰でした(褒め言葉)。

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 監督部門で「最も酔わせてくれた(いろんな意味で)3人」を選ぶなら、『その日のまえに』の大林宣彦、『劇場版 空の境界 ―矛盾螺旋―』の平尾隆之、『英国王給仕人に乾杯!』のイジィ・メンツェルの御三方を。役者では『ダークナイト』のヒース・レジャー、『その日のまえに』&『おくりびと』の山田辰夫、『クライマーズ・ハイ』の皆川猿時が素晴らしかったです。撮影では『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』&『フィクサー』のロバート・エルスウィットを筆頭に、『ダークナイト』のウォリー・フィスター、『陽はまた昇る』三人チームの仕事が圧巻でした。音楽では『28週後…』のジョン・マーフィ、『ダークナイト』のハンス・ジマー&ジェームズ・ニュートン・ハワード、『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』のジョニー・グリーンウッドらによるダークな旋律が忘れられません。それと、ここ最近はあんまりピンとくる作品のなかった久石譲が、『おくりびと』と『陽もまた昇る』では素晴らしいスコアを書き下ろしていたのも印象的でした。

 2009年も楽しみです。それではよいお年を。

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