Simply Dead

映画の感想文。

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『韓国の丘』(1956)

『韓国の丘』
原題:A Hill in Korea(1956)

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 朝鮮戦争を舞台にした、英国製戦争アクションの佳作。敵軍に包囲され、丘の上の寺院に追い詰められた英軍小隊の攻防戦を、70分というタイトな尺で手際よく見せていく。頼りなさげな若い隊長と個性的な部下たちのキャラクター描写も、なかなかうまい。実際に元軍人だった『ジョーカー野郎』(1967)のハリー・アンドリュースや、『エヴァの匂い』(1960)のスタンリー・ベイカーなど、印象的な顔の役者を多く揃えているためでもある。さすが、性格俳優の数では事欠かないイギリス映画らしい。

 この小品が有名なのは、マイケル・ケインの映画デビュー作だからだ。兵卒の一人として登場する彼は、ちょっとノーブルな雰囲気の漂う細身の美青年といった感じ。そしてものすごく若い(当たり前だ)。前半はずっとフレームの外にいるが、後半では何度かアップにもなる。台詞もいくつかあって、スタンリー・ベイカー演じる仲間の兵が死んだ時に「惜しいな、骨のある奴だったのに」とか言い捨てる軽い感じが、いかにもケインぽかった。喋ると確かに『狙撃者』(1971)というか『Pulp』(1972)のイメージとも重なる。ちなみにケインだけでなく、『雪崩』(1970)や『ジョーズ』(1975)のロバート・ショウも顔を見せている(前半で死んでしまう役だけど)。

 とにかくシンプルに物語が進行する代わり、英軍兵士たちのドラマ以外には目もくれない。朝鮮は砂と土しかない未開の地として描かれるだけで、台詞のある朝鮮人も通訳兵一人だけ(それもおそろしく無個性)。口の悪いイギリス人兵士たちが「気が滅入るほど何もないな」「こんな村さっさと焼き払っちまえ」「あいつらには文化を楽しむ習慣がないんだ」とか散々こきおろしても、なんのフォローもない。そういう時代の映画である(今の戦争映画も実は大して変わらないかもしれないけど)。そんな兵士たちのボヤキが何度も繰り返されるところも、イギリス映画らしいといえばらしい。

 製作・脚本はイアン・ダリンプルとアンソニー・スクワイア。監督はジュリアン・エイミーズ。劇場作品は数本しか撮っておらず、主にテレビで活躍した人で、『ハロルド・ピンター/誰もいない国』(1978)の演出も手がけている(そっちはあんまり大した仕事ではなかったけど)。撮影を手がけたのは、のちに映画監督となってアミカス・ホラーを多く手がけ、『エレファント・マン』(1980)でキャメラマンとして復帰した名手フレディ・フランシス。編集のピーター・ハントも、『女王陛下の007』(1969)で監督デビューした才人だ。


製作/イアン・ダリンプル、アンソニー・スクワイア
監督/ジュリアン・エイミーズ
原作/マックス・カット
脚本/イアン・ダリンプル、ロナルド・スペンサー、アンソニー・スクワイア
撮影/フレディ・フランシス
編集/ピーター・ハント
音楽/マルコム・アーノルド
出演/ジョージ・ベイカー、ハリー・アンドリュース、スタンリー・ベイカー、マイケル・メドウィン、ロナルド・ルイス、スティーヴン・ボイド、ロバート・ショウ、マイケル・ケイン

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