Simply Dead

映画の感想文。

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『Futurama:Bender's Big Score』(2007)

『Futurama:Bender's Big Score』(2007)

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 『ザ・シンプソンズ』の生みの親として知られるマット・グレーニングが、原案・プロデュースを手がけたテレビアニメシリーズ『Futurama』。31世紀のニューヨークを舞台に、20世紀生まれのボンクラ青年フライと、酒びたりのダメロボット・ベンダーを始めとする仲間たちが繰り広げる、ハチャメチャな冒険と日常を描いたSFコメディだ。シリーズの大まかな内容については、下記リンク参照。

・『Futurama』 First Series(1999)
・『Futurama』 Second Series(1999-2000)
・『Futurama』 Third Series(2001-2002)
・『Futurama』 Fourth Series(2002-2003)

 1999年から4シーズンにわたって放映され、一部のファンからは「『ザ・シンプソンズ』よりも面白い」とカルトな人気を博しながらも、放送局フォックス・ネットワークは2003年に番組を打ち切ってしまう。作り手もファンも突然の終了を悲しみ、再開を望む声も多かった。そして2006年、ようやくオリジナルスタッフによって製作再開が決定。4本の長編オリジナルストーリーがDVDでリリースされることになり、その第1弾として2007年11月に発売されたのが、本作『Bender's Big Score』である。

 4年ぶりの新作ということで、期待と不安が入り混じりつつ観てみたら、予想以上に素晴らしい出来栄えだった。あらゆるギャグを満載した相変わらずの面白さと、映像・ストーリーの両面で長編らしい見応えを兼ね備えた、意欲的な力作に仕上がっている。ブランクをものともしないスタッフの仕事ぶりに感動した。

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〈おはなし〉
 西暦3007年。主人公フライたちが働く宇宙宅配便「プラネット・エクスプレス」社は、親会社の「ボックス・ネットワーク」によって営業停止となっていた。しかし、ボックス社のバカ重役どもが全員おっ死んだので、めでたく営業再開!

 ところがそれも束の間、会社は強欲なエイリアンたちの詐偽によって乗っ取られてしまった。彼らはさらに“情報”をかぎつける嗅覚を駆使し、なぜかフライの尻に彫られていたベンダーの刺青に、ある重大な秘密が隠されているのを突き止める。そこには、パラドックス抜きでの時間移動を可能にするタイムホールの召喚コードが隠されていたのだ! ベンダーはエイリアンたちにコンピュータ・ウィルスを仕込まれて下僕と化し、タイムホールを乱用して泥棒を繰り返す。巨万の富を得たエイリアンたちは、ついに地球の乗っ取り計画までスタートさせた。

 一方、フライが想いを寄せ続けている一つ目美女のリーラは、最近ラーズというハゲの中年男と急接近中。どうやら彼女は今度こそ“運命の人”と出会ってしまったらしい。傷心のフライは、自らタイムホールを召喚し、西暦2000年に戻って人生をやり直そうとする。そこへ、コードを知るフライ抹殺の命を帯びたベンダーもやってきて……。

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 TVシリーズ同様、様々なサブストーリーが盛り込まれているが、前半の主軸となるのは詐欺師エイリアンたちの悪だくみと、タイムトリップによって巻き起こる騒動。後半では、千年の時を越えたフライとリーラの一途なラブストーリーへと比重が傾いていく。脚本を手がけたのは、第3シリーズの「Time Keeps on Slippin'」など、数々の秀作エピソードを手がけているメインライターのひとり、ケン・キーラー。複雑に入り組んだ時間SFのプロットを、多少荒っぽいながらも大胆な引っ張り方で見せきる手腕はさすが。とはいえ、途中からいきなり過去と現在のスイッチバック形式で物語が進み始め、叙述のスタイルが一変するあたりは、賛否が分かれるかもしれない。TVシリーズのエピソードと辻褄が合わなくなる部分も出てきたりする。しかし、その無頓着な語りの自由さが、最終的には意外な感動をもたらすので侮れない。本作では時間SFを切ないラブストーリーとして見事に着地させ、ジャック・フィニィの伝統に則ったSFの醍醐味を感じさせてくれる。

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 複雑なプロットを展開させていく上で大いに役立っているのが、隅々にまで詰め込まれたギャグ。とにかくその物量たるや凄まじく、ストーリー的に視聴者が混乱する暇を与えない。のっけから放送局フォックスに喧嘩を売ったり(BOXのネオンが壊れていて「FOX」に見えるというアイディアが秀逸)、主要キャラが途中で首を切断されたり、やたらと登場人物の尻ばっかり露出したり、アル・ゴアが大統領選に敗れた衝撃的理由が判明したり……。中学生レベルの下ネタからスラップスティックな破壊的ギャグ、ウィットに富んだ政治ネタまでが矢継ぎ早に繰り出される。ライタールームはきっと戦場なんだろうなあ、と思いを馳せてしまうほど。

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 ビリー・ウェストを始め、レギュラー声優陣の演技が相変わらず絶好調なのも嬉しい。歳月を感じさせずに同じ役を演じられるのも、プロの声優さんの素晴らしさ。特に今回は、ウェストの巧みな声の演じ分けが特別な感動を呼ぶのだ。ウェストは実際に4年という歳月を経て、主人公フライの声を変わらぬ調子で演じつつ、フライが20世紀に戻ってやり直す「もうひとつの人生」の歳月も見事に演じ分ける。その「不変」と「成熟」は、今回の作品自体のキーであり、現実に『Futurama』再開までに費やされた時の流れをも伝えるようで、非常に感慨深いものがある。

 千年の眠りを経て目覚めた青年フライの成長物語である『Futurama』において、常に“時間”は重要なテーマであった。切なくも美しいどんでん返しが待ちうける『Bender's Big Score』は、ある種、フライの辿ってきた長大な旅の到達点を描くクライマックスでもある。もちろん、それはパラレルな結末のうちのひとつにすぎないけれども。

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 随所に現れる過去のエピソードの引用や、愛すべきサブキャラたちの再登場も、ファンにとっては嬉しい。みんな大好きヒプノトード様もしっかり登場する。本作単体で観ても十分に面白いが、やはりTVシリーズを観ていた方が遥かに楽しめるのも事実。とりあえず第1シリーズの「Space Pilot 3000」、第2シリーズの「Xmas Story」「Anthology of Interest I」「The Cryonic Woman」、第3シリーズの「A Tale of Two Santas」「The Luck of the Fryrish」「Godfellas」、第4シリーズの「Jurassic Bark」「The Why of Fry」は観ておいたほうがいいかもしれない。

 カメオ出演陣の顔ぶれも長編だけあって豪華。もはや常連となったアル・ゴアを筆頭に、クーリオ、サラ・シルヴァーマンなどが再登場するほか、あのルーク・スカイウォーカーことマーク・ハミルが“ハヌカ・ゾンビ”役でミュージカル・パートに出演!(なんのこっちゃ)

 映像の密度もHDフォーマット化によってグレードアップ。デジタル技術の進歩も大きな影響を与えており、特にクライマックスで展開するフルCGの宇宙船バトルは、TVシリーズ放映当時では表現できなかったであろう迫力。そのあたりのクオリティの違いも見どころだ。第2弾『Futurama:The Beast with A Billion Backs』への期待も否応なしに高まる快作である。

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・DVD Fantasium
DVD『Futurama:Bender's Big Score』(米国盤・リージョン1)

製作総指揮/マット・グレーニング、デイヴィッド・X・コーエン
監督/ドウェイン・キャリー=ヒル
脚本/ケン・キーラー
音楽/クリストファー・ティン
出演/ビリー・ウェスト、ケイティ・セガール、ジョン・ディマジオ、ローレン・トム、フィル・ラマー、モーリス・ラマーシュ、トレス・マクニール、デイヴィッド・ハーマン、フランク・ウェルカー
特別出演/サラ・シルヴァーマン、アル・ゴア、クーリオ、マーク・ハミル
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