Simply Dead

映画の感想文。

『Dillinger è morto』(1969)

『Dillinger è morto』
英語題:Dillinger is Dead(1969)

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 イタリアの奇才、マルコ・フェレーリ監督が1969年に製作した作品(日本未公開)。本国で英語音声つきのDVDが出ていると知り、DVD Fantasiumで注文してみました。キャストはフェレーリ作品ゆかりのメンバーで、『最後の晩餐』(1973)のミシェル・ピコリが主演。初期の名作『猿女』(1963)で主演したアニー・ジラルドが、ここではとても艶っぽく美しく撮られています。主人公の若妻を演じているのは、ローリング・ストーンズのファム・ファタルとして知られる、アニタ・パレンバーグ。

〔おはなし〕
 仕事を終えた男(ミシェル・ピコリ)が帰宅すると、若い妻(アニタ・パレンバーグ)は「疲れた」と言って寝ていた。仕方なく彼は一人で夕食を作り始める。

 調味料を探している途中で、男は戸棚の奥から古い銃を見つけた。中身はそっちのけで、包み紙の古新聞を読み耽る男。アメリカの犯罪王デリンジャーの記録映像がフラッシュバックする。銃はひどく錆びついていたので、分解してオリーブ油に浸けたりする。その間も着々と夕食の準備は進む。

 やがて料理が出来上がり、男は一人優雅にディナーを楽しむ。食べ終わると、今度は映写機でプライベートフィルムを見始める。スペイン旅行の思い出、遊びで撮った手のエロティックなダンス。その間、銃の手入れも着々と進む。やがてフィルムも終了。まだ眠れない。

 寝ている妻にちょっかいを出したり、セクシーなメイド(アニー・ジラルド)のベッドに忍び込んだり、銃を水玉模様にペイントしたり、男の長い一夜は終わらない。弾も見つかった。そんな中、妻は依然ぐっすりと眠ったまま……。

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 万事この調子で、暇を持て余す中年男の姿がだらだらと、不気味な緊張感を漂わせながら描かれていくのみ。真剣みのない状況で、約束された破綻(しかし、それすらドラマにならない)を描かせたら、フェレーリの右に出る者はいません。リアリスト的な目線で、おっさんの一人遊びを余すところなく描いていきますが、全編ラジオやレコードで音楽がひっきりなしに流れているせいか、不思議と退屈しません。手のダンスシーンは圧巻。テオ・ウスエリのサントラ、素晴らしいです(CD出てないのかな?)。もちろんミシェル・ピコリの魅力に因るところも大。不思議な愛嬌と凄味がありますよね、この人。

 銃を手にした男の気まぐれは、誰もが思った通りの展開に帰結し、さらに予想だにしない地獄のように楽天的なエピローグへとなだれ込みます。さすがフェレーリ!って感じのエンディングで、爆笑しました。イメージ的には後年の快作『I LOVE YOU』(1986)と全く一緒だったりします。

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 DVDの特典映像に収録されていたインタビュー集で、撮影監督のマリオ・ヴルピアーニは「フェレーリのベストフィルムの1本だと思う」と語っていますが、それも納得の内容。とんでもない低予算で作ったらしく、ラストの海のシーンではスタッフが3人しかいなくて、主演のミシェル・ピコリが移動撮影を手伝ったとか(笑)。キッチンの場面は常連俳優ウーゴ・トニャッツィの家で撮影したそうです。

・DVD Fantasium
『Dillinger è morto』DVD(イタリア盤)


製作/エヴァ・ハギアグ、アルフレッド・レヴィ
監督・原案/マルコ・フェレーリ
脚本/セルジオ・バッジーニ、マルコ・フェレーリ
撮影/マリオ・ヴルピアーニ
編集/ミレラ・メルシオ
音楽/テオ・ウスエリ
出演/ミシェル・ピコリ、アニタ・パレンバーグ、アニー・ジラルド、キャロル・アンドレ

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