Simply Dead

映画の感想文。

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『Futurama』 Fourth Series (2002-2003)

『Futurama』 Fourth Series (2002-2003)

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 『ザ・シンプソンズ』のマット・グレーニングが原案・プロデュースを手がけたSFコメディアニメの第4シリーズ。31世紀の未来世界を舞台に、宇宙運送屋“プラネットエクスプレス社”で働く20世紀生まれのボンクラ青年フライと、その仲間たちが繰り広げるおかしな日常と冒険をギャグ満載で描いた快作だ。今回のシリーズでは、登場人物の過去にまつわるストーリーや、関係性に微妙な変化の生まれるドラマチックなエピソードが多く、ファンには特に人気の高いタイトルが集中している。なんとなくシリーズ終焉の匂いがするのが寂しいが……。

 実際、この第4シリーズで『Futurama』はひとまず幕を閉じる。作品のクオリティも高く、熱狂的なファン層も獲得したものの、『ザ・シンプソンズ』ほどのポピュラリティは得られなかったためか、FOXは放映打ち切りを決定。一部のエピソードは未放映のままDVD化された。また、9.11の影響を受けて、カットや変更を余儀なくされたギャグもいくつかあるという。

 第4シリーズは、傑作揃いだった第3シリーズに比べると全体的にバラつきはあるが、幕引きにふさわしいドラマチックな展開と、ほんのり切ない雰囲気が楽しめるシリーズだ。『ロッキー・ホラー・ショー』や『ファントム・オブ・ザ・パラダイス』や『クレヨンしんちゃん/雲黒斎の野望』といった名作群と同じで、この観終わったあとの寂しさ・切なさこそ、何度も繰り返し観てしまう秘密なんだと思う。その中からいくつか、個人的にお気に入りのエピソードを以下に紹介。


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「Leela's Homeworld」
 ベンダーが核廃棄物を下水道に垂れ流したせいで、地下に棲むミュータントたちは怒ってベンダーたちを拉致。巻き添えを食ったフライとリーラともども処刑されそうになるが、何者かに助け出される。行く先々でリーラを守護天使のように助けてくれる、彼らの正体は一体……? みなしごと思われていたリーラが、実の両親と思いがけない再会を果たす感動的エピソード。ラストで流れるピチカート・ファイブの「Baby Love Child」が泣かせる。脚本のクリスティン・ゴアは、元アメリカ合衆国副大統領のアル・ゴアの娘。再会シーンをエピソードの最後の最後まで引っ張る構成がなかなか異色だ。ちなみにアル・ゴアも本作のファンで、第2シリーズの「Anthology of Interest I」、そして第4シリーズ「Crimes of the Hot」に本人役で出演している。

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「Love and Rocket」
 プラネットエクスプレス社のスペースシップとベンダーが恋に落ちた!? シップに搭載されたコンピュータをアップグレードしたところ、人工知能が女性の人格になり、ベンダーとイイ仲になってしまったのだ。ふたりはロマンティックなデートを重ねるが、飽きっぽいベンダーはすぐに別の女性ロボットに目移り。純情なスペースシップは嫉妬のあまり、ベンダーを永遠に我が物にしようとする……。ギャップを抱えた恋愛関係の難しさと、恋に狂った女性の恐ろしさを、ロボット同士の恋模様を通して描くエピソード。スペースシップを演じた女性声優がやたらキュートかつ巧いので、誰かなーと思ったらシガーニー・ウィーヴァーだった! さすが! ラブシーンで「デイジー」を流したり、密室でのベンダーたちの会話を読唇術で読み取ろうとしたり、ふんだんに盛り込まれた『2001年宇宙の旅』のパロディが楽しい。ルーシー・リューもちょこっと出演。

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「Less Than Hero」
 ドクター・ゾイドバーグからもらった特殊なスキンクリームで、スーパーパワーを手に入れたリーラとフライ。彼らはベンダーを加えた3人で無敵の最強チームを結成。正体を隠し、町を守るヒーローとして活躍する彼らは、たちまち英雄として称えられる。しかしある時、リーラは地下に住む両親に、自分がスーパーヒーローだと明かしてしまう……。おなじみ主役トリオがヒーローとなって活躍する一編。気合いの入ったコスプレ、無理やりな変身シーン、ヒーローには付き物のテーマソングなど見どころ満載。もちろん『Futurama』なので、彼らのスーパーパワーも正義感も、後半ではグダグダに……。タイトルは映画化もされたブレット・イーストン・エリスの小説『レス・ザン・ゼロ(Less Than Zero)』から。

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「Jurassic Bark」
 フライは20世紀の遺跡展で、見覚えのある化石を見つける。それは昔働いていたピザ屋で飼っていた駄犬のシーモアだった。彼はシーモアをなんとか蘇生させてほしいとファーンズワース教授に懇願。ベンダーは親友の立場を奪われるような気がして、シーモアの化石に嫉妬し始める……。フライと愛犬の友情物語を、現在と回想シーンのカットバックで見せていく、ペーソスあふれるエピソード。飼い主フライを失ったシーモアの後半生をつづる『ハチ公物語』的なエピローグが秀逸で、シリーズ中でも屈指の泣かせる話として高い評価を受けている。タイトルはもちろん『ジュラシック・パーク(Jurassic Park)』と犬の吠える声(Bark)の合体。

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「Teenage Mutant Leela's Hurdles」
 ファーンズワース教授のあまりのボケっぷりに業を煮やしたプラネットエクスプレス社の面々は、教授を強引に若返りスパへ連れて行く。ところが、ふとしたことからフライたちまで若返り物質を浴びてしまい、全員がティーンエイジャーに! レギュラーキャラがそれぞれ青春まっさかりの状態になってしまう愉快なエピソード。孤児院育ちのせいで「親の目を盗んで」遊ぶのが夢だったリーラは、フライと『アメリカン・グラフィティ』のようなデートを楽しむ(お約束のカーレース・シーンが楽しい)。ジェームズ・ディーンのような反抗児になってしまうベンダー、どんどん幼生状態に戻っていくドクター・ゾイドバーグがえらいことキュート。若かりし日に戻った教授の70年代風ファッションも見どころだ。ラストシーンが本筋と全く関係ないんだけど、異常にかっこいい! タイトルの由来は言うまでもなく亀のアレ。

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「The Why of Fry」
 リーラにふられ続け、仕事でも必要とされず、もはや人生の意味を失ったフライ。そんな時、ペットのニブラーはフライを母星に連れて行き、彼が未来へやってきた“本当の理由”を教える。フライこそ、地球の救世主だったのだ! フライが未来へ来たのは偶然ではなかった、という大ネタが明かされる重要エピソード。第3シリーズ「The Day the Earth Stood Stupid」でも描かれた、宇宙征服をもくろむ脳型エイリアンとニブロニアンたち(外見は可愛いペットみたいだけど、実は高度な知的生命体)との抗争に巻き込まれ、フライは自らに課せられた使命と対峙する。このエピソードのために、第1シリーズの第1話もちょっぴり作り変えられたという。

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「Where No Fan Has Gone Before」
 31世紀の地球では、『スター・トレック』は危険な宗教として封印されていた。すべての映像素材や資料は遠い辺境の惑星オメガ3に葬り去られ、迫害を恐れたレギュラーキャストの保存生首も、レナード・ニモイを除いて宇宙へ旅立ってしまった……。その事実を知ったフライたちは、ニモイの首を連れて惑星オメガ3へ。そこでは生身の肉体を得たキャストたちが、張りぼてのセットに囲まれて『スター・トレック』のキャラクターを演じていた! 第1シリーズの第1話「Space Pilot 3000」以来の出演となるレナード・ニモイを始め、ウィリアム・シャトナーやジョージ・タケイなど『スター・トレック(宇宙大作戦)』の出演陣が一堂に会した、全世界のスタトレ・マニア大喜びのエピソード。ただし痛烈なオタク風刺ギャグも満載。いきなりブラニガン艦長による裁判シーンから始まって、回想スタイルで進んでいくシナリオの凝り方も初期『スタトレ』っぽい(?)。ちょっとウィリアム・シャトナーがよく描かれすぎていると思うが、こうでもしないと出てくれないんだろうなあ。タイトルは『スター・トレック』第2話「光るめだま(Where No Man Has Gone Before)」から。

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「The Sting」
 フライ、リーラ、ベンダーが新たに引き受けた仕事は、巨大宇宙蜂のハチミツを採取してくること。3人はこっそり巣の中へ潜入し、順調にハチミツを運び出すが、途中でバレて蜂軍団に襲撃される羽目に。そしてなんと、フライが刺されて殉職! 彼を死なせたのは自分のせいだと落ち込むリーラ。しめやかに葬儀が行われ、皆が彼の思い出に別れを告げた頃、リーラの前に死んだはずのフライの姿が……! 主人公フライの死という驚きの展開で幕を開ける、衝撃的なエピソード。後半は『うる星やつら2/ビューティフルドリーマー』のように、リーラが虚実の境目を見失っていくさまをスピード感あふれる演出でたたみかけ、なかなか圧巻。リーラとフライの生死を越えた絆を描くラブストーリーとしても感動的だ。タイトルはもちろん「蜂のひと刺し」の意味と、ラストのどんでん返しで有名な映画『スティング』のダブルミーニング。

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「Obsoletely Fabulous」
 ファーンズワース教授が新型ロボットを購入してからというもの、居場所のないベンダー。彼は自ら工場へ行ってアップグレードしてもらおうとするが、怖くなって逃げだしてしまう。ボートで海の外へ出たベンダーは、とある孤島に流れつく。そこはテクノロジーに頼らないスローライフを送るポンコツロボットたちの楽園だった。彼らの思想に感化されたベンダーは全身を木製パーツに“ダウングレード”。生まれ変わったベンダーは仲間とともにニューヨークへ戻り、テクノロジー社会に対してテロを開始するが……。クリストファー・ティンのパンクな音楽に乗せて、ベンダーたちが子供のいたずらみたいなテロを繰り返すシークェンスがおかしい。ラストには『未来世紀ブラジル』のようなどんでん返しが。タイトルはイギリスの人気TVコメディドラマ『アブソリュートリー・ファビュラス(Absolutely Fabulous)』から。Obsoletelyは「すたれた/時代遅れの」という意味。

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「The Farnsworth Parabox」
 ファーンズワース教授はパラレルワールドへの行き来をかなえる箱を開発。世界の法則を覆しかねない危険から、教授はそれを破棄しようとする。が、リーラは好奇心からその箱の中へ入ってしまう。そこで見たのは、何もかもが自分たちと同じようで、何かが異なる世界。髪の色も違うし、ベンダーのボディも金色だし、リーラとフライは結婚していた! パラレルワールド側の教授たちは、真逆の世界=悪の人格を持った分身がやってきたと思い込み、リーラたちを信じようとしない……。並行宇宙を題材にした、正統派SFタッチのエピソード。「正反対の世界」と聞いてSFファンが頭に浮かべるイメージを、スマートにひっくり返してみせるのが『Futurama』らしい。幾通りものパラレルワールドが登場し、バラエティ豊かな『Futurama』のバリエーションが楽しめる。極寒の世界だったり、盲人しかいない世界だったり、全員がバネ人形だったり、ローマ帝国風だったり……。そして、ドクター・ゾイドバーグはどの世界に行っても鼻つまみ者であることが発覚(涙)。

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「Three Hundred Big Boys」
 宇宙での戦勝を祝って、ニクソン大統領から全地球住民に300ドルの記念紙幣が配られた。思いがけないボーナスを得た人々は、それぞれお金の使い道を考え始める。キフは恋人エイミーにプレゼントを贈ることにし、エイミーは喋るタトゥーを入れ、ベンダーは高級葉巻を買い、リーラは水族館のシャチ乗りにチャレンジし、ファーンズワース教授は若返りセラピーを受けて超年下のガールフレンドをゲット。そしてフライはコーヒーを100杯飲み尽すことに決めるが……? 『Futurama』の数あるエピソードの中でも特に異色のくだらなさにあふれた、群像パズル風ストーリー。『パルプ・フィクション』に影響を受けた『ザ・シンプソンズ』シーズン7の「スプリングフィールドに関する22の短いフィルム」を意識して作られたのだとか。コーヒーを100杯飲むって何か意味があるのか? と思ってると、予想だにしない感動的ラストが待っていたりする。

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「The Devil's Hands Are Idle Playthings」
 4シリーズにわたって続いてきた『Futurama』、堂々の最終回。第1シリーズの傑作エピソード「Hell is Other Robots」に出てきたロボ悪魔が再び登場し、第3シリーズの「Parasites Lost」ともセットになった『ファウスト』仕立てのストーリー。感情を映像化する楽器“ホロフォーナー”がなかなか上達しないフライは、ロボ悪魔の助けを借りることに。危険な賭けに勝って悪魔の手を得たフライは、天才ホロフォーニストとして頭角を現し、世間からの注目を集める。彼はリーラに捧げる自作のオペラを上演しようとするが、そこに自らの手を奪い返そうとロボ悪魔が乗り込んできた……。悪魔を演じるのは『ザ・シンプソンズ』のホーマー・シンプソン役でおなじみ、ダン・カステラネタ。「Hell is Other Robots」同様、ミュージカルとしての見せ場をふんだんに盛り込み、クライマックスではキャスト陣によるオペラシーンが展開。彼らの芸達者ぶりを堪能できる。いつも肝心なところで恋を成就できなかったフライの一途な思いが、リーラの心をかすかにとらえるエンディングが美しい。


▼今年6月にDVD発売予定の新作長編第2弾『Futurama: Beast With A Billion Backs』
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 シリーズ終了後、作り手にとってもファンにとっても寂しい日々が続いたが、2007年にようやく製作再開が決定。オリジナル長編エピソード『Futurama: Bender's Big Score』が作られ、07年11月にDVDリリースされた後、アメリカのコメディ専門チャンネル「コメディセントラル」でも25分×4回に分けて放映された(第4シリーズの未放映分も合わせてオンエア)。現在、新作長編第2弾『Futurama: Beast With A Billion Backs』の発売が今年6月に控えており、第3弾『Futurama: Into the Wild Green Yonder』の製作も進められている。まだまだ『Futurama』には明るい未来が期待できそうだ。

・Amazon.co.jp
DVD『Futurama』Vol 1(3枚組)
DVD『Futurama』Vol 2(4枚組)
DVD『Futurama』Vol 3(4枚組)
DVD『Futurama』Vol 4(4枚組)

・DVD Fantasium
DVD『Futurama: Bender's Big Score』
DVD『Futurama: Beast With A Billion Backs』

※すべて米国盤


製作総指揮/マット・グレーニング、デイヴィッド・コーエン
スーパーバイジング・ディレクター/リッチ・ムーア、グレッグ・ヴァンゾ
CGディレクター/スコット・ヴァンゾ
音楽/クリストファー・ティン
声の出演/ビリー・ウェスト、ケイティ・セーガル、ジョン・ディマジオ、トレス・マクニール、モーリス・ラマーシュ、フィル・ラマー、ローレン・トム、デイヴィッド・ハーマン、フランク・ウェルカー
ゲスト声優/シガーニー・ウィーヴァー、ルーシー・リュー、アル・ゴア、ウィリアム・シャトナー、レナード・ニモイ、ウォルター・コーニグ、ジョージ・タケイ、ニシェル・ニコルズ、ジョナサン・フレイクス、ロザンヌ・バー、ダン・カステラネタ
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