Simply Dead

映画の感想文。

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『Futurama』 Third Series(2001?2002)

『Futurama』 Third Series(2001?2002)

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 メチャクチャ面白いのに日本では放映もソフト化もされていない、マット・グレーニング製作のSFコメディアニメ『Futurama』の第3シリーズ(全22話)。第1シリーズ第2シリーズに比べて、胸にしみる感動的なエピソードや秀逸なストーリーが多く、個人的には『Futurama』全体を通していちばん好きかも。どの作品も素晴らしいけど、特にオススメの16エピソードを紹介。

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「Amazon Women in the Mood」
ブラニガン船長と副官のキフ、そしてリーラとエイミーは、ダブルデートの最中にアマゾネスの惑星へ墜落。救出に来たフライたち共々、男たちは檻に幽閉されてしまう……。エイミーとキフの恋模様を軸に、いつも無神経な言動で女性陣を怒らせている男性キャラたちが酷い目に遭うエピソード。今回もブラニガン船長のバカっぷりが弾けている(作画もムダに気合いが入ってて呆れる)。タイトルはコメディ映画『アメリカン・パロディ・シアター(Amazon Women in the Moon)』から。アマゾネス村のスピーカーに“Sonya”って書いてあって吹いた。

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「Parasites Lost」
トイレの自販機で買った怪しげなタマゴサンドを食べて以来、フライの調子がおかしい。実はタマゴサンドに潜んでいた寄生虫が、体内で都市を築いていたのだ! ファーンズワース教授たちは寄生虫を退治するため、自分たちをコピーしたナノロボットを使って体内に潜入。一方、寄生虫によって身も心も改善されたフライは、リーラに愛を告白する……。切ないラブストーリー要素を絡めた『ミクロの決死圏』のパロディ編。自分の脳神経をビシバシ切断しながら寄生虫と戦うフライの姿は爆笑必至! リーラとのロマンティックなラブシーンも秀逸。題名はもちろんミルトンの『失楽園(Paradise Lost)』から。

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「The Luck of the Fryrish」
自分の運のなさを嘆くフライは、少年時代に持っていた幸運のお守り“七つ葉のクローバー”を探しに、地下の旧ニューヨークにある自宅跡地へ。そこで彼が見たものは、英雄として称えられる兄ヤンシーの銅像だった。その銘板にはフライの名前が! ひょっとして兄はクローバーを奪った上に、自分と取って代わったのか……!? 1970?90年代にわたるフライの過去と、30世紀の現在をスイッチバックで描き、見事なオチで号泣させる傑作エピソード。ギャグ少なめの演出も異色。

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「The Birdbot of Ice-Catraz」
輸送していた高密度燃料が、ベンダーのヘマで冥王星の氷の海にダダモレ。真っ黒に汚染された冥王ペンギンたちを救おうと、リーラはボランティアに参加する。一方、ベンダーはペンギンの群れに紛れて逃げ出そうとするが……。湾岸戦争時の原油にまみれた海鳥たちをモチーフにした、動物保護テーマの一編。燕尾服を着てペンギンになりすますベンダーが可愛い。タイトルはジョン・フランケンハイマー監督の映画『終身犯(Birdman of Alcatraz)』から。

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「The Day the Earth Stood Stupid」
高度な知能を持った脳型エイリアン軍団が地球を急襲! 催眠状態にかかった人類は残らずバカになってしまうが、リーラだけはペットのニブラーに助けられ、からくも脱出。侵略者に対抗しうる唯一の希望は、なぜか催眠を免れたフライだけだった……。『顔のない悪魔』みたいな脳型エイリアンと、地上最強のボンクラ・フライが繰り広げる頭脳戦(!)が見どころの侵略SF編。タイトルはSF映画のクラシック『地球の静止する日(The Day the Earth Stood Still)』から。二ブラーを演じる動物声優のエキスパート、フランク・ウィルカーの地声の芝居も聞けるレアな作品だ。本筋とは関係ないが、冒頭に出てくる催眠ガエルのキャラクターが最高におかしい。

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「Where the Buggalo Roam」
エイミーの両親が営む火星の牧場にやってきたフライたち。そこに火星人たちの操る竜巻が現れ、エイミーがさらわれてしまった! 気弱なキフはなんとか恋人を救おうとするが……。『捜索者』+『ゴースト・オブ・マーズ』といった感じの一編。タイトルは「峠の我が家」の歌詞“Where the Buffalo Roam”から。なぜかエイミーの両親に対して異常に馴れ馴れしいドクター・ゾイドバーグがすごく面白い。

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「The Cyber House Rules」
リーラは孤児院の同窓会で、憧れの同級生アドレーと再会。エリート医師になっていた彼に2つめの目をプレゼントされる。晴れて他の人間と同じになった彼女は、知的でハンサムなアドレーに夢中になるが、フライだけは「1つ目の君の方がよかった」と言う……。リーラが2つ目となり、幼馴染みと婚約するエピソード。ベンダーが政府の援助金めあてに孤児たちを育てるサブストーリーも楽しい。タイトルはジョン・アーヴィングの小説『サイダー・ハウス・ルール』から。

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「Insane in the Mainframe」
銀行強盗の濡れ衣を着せられたフライとベンダーは、2人まとめてロボット専門の精神医療刑務所へ送られてしまう。ノイローゼに陥るフライの前に、強盗の真犯人ロベルトが出現! 精神病院で文字通り「ロボット化(ロボトミー)」されてしまうフライの悪夢を描いた『カッコーの巣の上で』風エピソード。シュモクザメみたいな形の極悪サイコパス・ロボ、ロベルト役をデイヴィッド・ハーマンが怪演。本気で怖い。ハーマンは『Idiocracy』(2006)などの実写作品にも出演している。

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「The Route of All Evil」
ファーンズワース教授と会計士ハーミーズの息子たちは、理解のないオトナたちに認められようと新聞配達でひと儲け。だが、その繁盛ぶりには裏があって……という本筋よりも、フライとリーラとベンダーが自分たちのオリジナル銘柄ビールを作ろうとするサブストーリーの方が面白い。歩く醸造工場と化し、妊婦のようにお腹を膨らませたベンダーがキュート。タイトルは『カンタベリー物語』の一節“The love of money is the root of all evil.”から。

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「Bendin' in the Wind」
ベンダーが巨大缶切りに巻き込まれ、全身麻痺に! 落ち込む彼は、たまたまベックの保存生首と出会い、一緒にライブツアーへ出ることになる。自分の壊れたボディを楽器代わりにして、スクラップになってもステージで活躍するベンダーは、ロボットたちのヒーローとなるが……。ゲストにベックを迎えた音楽ロードムービー編。タイトルはボブ・ディランの名曲「風に吹かれて(Blowin' in the Wind)」から。

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「Time Keeps on Slippin'」
宇宙人バブルガム率いる銀河バスケチームが、地球を賭けた勝負を挑んできた。ファーンズワース教授は彼らに対抗すべく、宇宙に漂うエネルギー物質クロニトンを使い、最強ミュータントチームを作り出す。ところがクロニトンを採取した“穴”から時空に歪みが生じ、時間がジャンプしてしまう現象が発生。気が付くとフライとリーラは理由も分からず結婚していた!? 理論SFとラブストーリーを絡めた秀作エピソード。リーラへの想いに破れるフライの切ない心情と、まるで『トップをねらえ!』のようなラストシーンが泣かせる。バブルガム役のフィル・ラマーの演技も最高。脚本のケン・キーラーは、カルトSF作家ハリー・スティーヴン・キーラーの作品をもとにストーリーを考えたとか(2人に血縁関係はなし)。

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「I Dated a Robot」
インターネットでルーシー・リューの模造人格をダウンロードしたフライは、ルーシー・ロボとのデートに夢中。だがそれは、悪徳業者がルーシー本人の保存生首から違法コピーしたデータだった。真相を知ったリーラたちは、業者に捕まっていた彼女の生首を連れて逃げ出す。が、そこに100人のルーシー・ロボ軍団が現れた! ルーシー・リューが本人役で出演したスペシャル・エピソード。声だけの芝居も結構達者でビックリする。さほど美人に描かれてないけど、怒らなかったんだろうか? ドクター・ゾイドバーグの物真似がクール!

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「A Leela of Her Own」
ひょんなことから野球選手になったリーラは、その投球センスのヒドさから「ビーンボール・スター」として有名になってしまう。彼女は汚名を挽回すべく、史上最低の打者ハンク・アーロン24世と共に、特訓を開始した! 伝説のホームランバッター、ハンク・アーロンをゲストに迎え、最悪の野球選手を演じさせたバチ当たりなエピソード。『メジャー・リーグ』の解説者役でお馴染み、ボブ・ユッカーも本人役で特別出演。タイトルは映画『プリティ・リーグ(A League of Their Own)』から。

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「Anthology of Interest II」
もしもマシンを通して映し出される3つの奇妙な世界……『ザ・シンプソンズ』のハロウィン・エピソードのようなオムニバス編。第1話ではベンダーが人間化。暴飲暴食を繰り返した挙げ句に、『AKIRA』のような肉の塊になってしまう。ベンダーが酒場やストリップクラブで享楽の限りを尽くすシーンの作画が凄い。第2話はテレビゲーム化した世界でフライが地球の救世主となる『デビルゾーン』みたいな話。パックマン将軍が可愛い。そして第3話は、みなしごのリーラが案山子のフライやブリキのベンダーらと共に「おうち」に帰ろうとする、『オズの魔法使』の秀逸なパロディ編。

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「Roswell That Ends Well」
ふとしたことでタイムスリップしてしまったフライ一行。辿り着いた先は、1947年のロズウェルだった! 軍に捕えられたベンダーとゾイドバーグを救うべく、教授は策を練るが……。タイムパラドックスをテーマに、SFファンと「ムー」読者なら誰でも知っているロズウェル事件を絡めた、エミー賞受賞作。従来のSFセオリーをひっくり返す思いきったプロットに、20世紀の歴史的要素と、ギャグとアクションをふんだんに加え、バランス良くまとめた一編。さすがエミー賞。

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「Godfellas」
宇宙海賊と交戦中、船外に放り出されてしまったベンダー。広大な宇宙を漂っていると、故郷を失った異星人たちが体に付着していた。ベンダーは彼らの居住を許す代わりに“神”として崇められる。だが、やがて内戦が勃発し……。宇宙の果てで神となり、神として挫折し、ついには神と出会ってしまうベンダーの旅を描いた傑作エピソード。終盤の展開もよくできてる。元ネタはスウィフトの『ガリバー旅行記』だが、今なら『電脳コイル』14話の先取り? タイトルはもちろん『グッドフェローズ(The Goodfellas)』から。

▼『Futurama』のスタッフたち。左がマット・グレーニング、右がベンダーとデイヴィッド・コーエン
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 上に挙げなかったエピソードも十分面白い。第2シリーズの凶悪ロボサンタが再登場する「A Tale of Two Santas」や、80年代バブル野郎に会社を潰されかかる「Future Stock」は必見。日本人としては、『料理の鉄人』のパロディが登場する「The 30% Iron Chef」も強烈なインパクト。鹿賀丈史の役をデイヴィッド・ハーマンがものすごく熱演してて爆笑する。

 特に何度も繰り返し見てしまうのは、「Parasites Lost」、「The Luck of the Fryrish」、「Time Keeps on Slippin'」、「Roswell That Ends Wel」、「Godfellas」の5本だろうか。ギャグアニメだと思って甘く見ていると、思いがけず胸を揺さぶられ、泣かされてしまう。それが『Futurama』の恐ろしいところだ。

・Amazon.co.jp
DVD『Futurama』Vol 3(4枚組)


製作総指揮/マット・グレーニング、デイヴィッド・コーエン
スーパーバイジング・ディレクター/リッチ・ムーア、グレッグ・ヴァンゾ
CGディレクター/スコット・ヴァンゾ
音楽/クリストファー・ティン
声の出演/ビリー・ウェスト、ケイティ・セーガル、ジョン・ディマジオ、トレス・マクニール、モーリス・ラマーシュ、フィル・ラマー、ローレン・トム、デイヴィッド・ハーマン、フランク・ウィルカー
ゲスト声優/クーリオ、ハンク・アザリア、ベック、ルーシー・リュー、ハンク・アーロン、ボブ・ユッカー

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