Simply Dead

映画の感想文。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ハリーに夢中』(2000)

『ハリーに夢中』
原題:Wild About Harry(2000)

wildaboutharry01.gif

 ノーザン・アイルランド・フィルム・フェスティバル2008上映作品。ツイストのきいたスリラーコメディの快作『ディボーシング・ジャック』(1998)の脚本家コリン・ベイトマンによる、秀逸なヒューマンコメディ。さんざん家族を泣かせてきたサイテー親父が、記憶喪失によって純真だった青年時代の心に退行し、いちから人生をやり直そうとするが……。主演は『28日後…』(2002)、『ベオウルフ 呪われし勇者』(2007)、『ハリー・ポッター』シリーズなどで名脇役として活躍するブレンダン・グリーソン。

_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
〈おはなし〉
 料理番組の人気司会者ハリー(ブレンダン・グリーソン)は、浮気癖と酒癖がもとで離婚の危機を迎えていた。妻ルース(アマンダ・ドノホー)や息子との仲も修復不可能。そんな時、チンピラに絡まれて頭に大怪我を負った彼は、前後不覚のままショーに出演。放送禁止用語を連発するわ、ゲストの議員夫婦のセックス・スキャンダルを暴露するわ、大失態を繰り広げたあげくに昏倒。目覚めた時、ハリーには18歳までの記憶しかなかった!
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/

 「見た目は中年だが中身は少年」というギャップ・ネタのコメディだが、ドタバタ色は抑えめ。劇中の台詞でいうところの「誰もが夢見る人生のリセット」を図らずも実現してしまった主人公の成長ドラマに振っているのがいい。料理ショーに出て寒いギャグを飛ばす自分のビデオを見ながら、「こんな大人になってるはずじゃなかったのに……」と落ち込む姿は可笑しくもあるが、大抵のオトナの観客には胸に痛いシーンでもある。さらに彼は18歳にして、扱いにくい子供たちの父親としても奮闘しなければならない(心境的には)。

 そして、妻にとって昨日まで憎むべき敵だった夫が、いま再び18歳の恋する少年の目で自分を見つめている、というシチュエーションがグッドアイディア。ラブストーリーとしても、家族の再生ドラマとしても巧くできている。都合よすぎだい、と思う部分もあるけど、ライトな作りなので観ている間は無理を感じさせない。

wildaboutharry02.jpg

 見どころはなんといってもブレンダン・グリーソンの妙演。あのルックスで18歳の少年になりきる姿は、こそばゆい笑いを誘いつつも、見事に純情そのものの表情を作り出していて素晴らしい。出世作となった『ジェネラル/天国は血の匂い』(1998)以来、イタズラ坊主っぽさを残したオヤジ役を得意としてきたグリーソンだが、本作ではそれとも違った魅力を堪能できる。

 共演陣も魅力的。夫の変身に戸惑いながら再び恋に落ちていく妻ルース役を、『ケン・ラッセルの白蛇伝説』(1988)のアマンダ・ドノホーが好演。映画ではしばらく見かけなかったけど、いい歳の取り方をしていて安心した(といっても8年前の映画だけど)。主人公が勤めるテレビ局のディレクターを演じるのは、『King of the Ants』(2003)の巨漢俳優、ジョージ・ウェント。この人と並ぶとグリーソンがスリムに見える。『ジェネラル』でグリーソンと共演していたエイドリアン・ダンバーもゲイの弁護士役で出演し、台詞回しの巧さで場をさらう。いちばん目立っているのが、主人公に人生を台無しにされて狂気に走る議員を演じたジェームズ・ネズビット。『ブラディ・サンデー』(2002)の名優が見せる、女装も辞さない怪演は必見。

 映画祭では同じくコリン・ベイトマンが脚本を執筆した18分の短編『ジャンパーズ』(1998)を同時上映。クリスマスの夜、おかしなきっかけでデパートの窓縁から飛び降りを図る羽目になった男たちを描いた小品コメディだ。こちらにもジェームズ・ネズビットが出演し、若々しい姿を見せている。


監督/デクラン・ラウニー
脚本/コリン・ベイトマン
撮影/ロン・フォーチュネット
編集/ティム・ワドル
出演/ブレンダン・グリーソン、アマンダ・ドノホー、ジェームズ・ネズビット、ジョージ・ウェント、エイドリアン・ダンバー、ブロナ・ギャラガー

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://simplydead.blog66.fc2.com/tb.php/248-c4e73128
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。