Simply Dead

映画の感想文。

『必殺! サンダーボルト』(1973)

『必殺! サンダーボルト』
原題:五雷轟頂(1973)

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 シネマート六本木で開催中の「アンジェラ・マオ復活祭」で観た。来春DVDが連続リリースされるアンジェラ・マオ主演作の先行上映イベントで、初日の『破戒』(1977)上映後には本人の舞台挨拶もあった。若い頃とはまた違った美しさとスターらしい華やかさに溢れていて、話し方も表情豊かで魅力的な女性だった。現在はニューヨークでレストランを経営しているという。写真撮影タイムでは記者から「功夫ポーズを!」と乞われて「いいわよ」とサッと見事な構えを披露。そのためらいのなさとかっこよさに客席から「おおー!」という声が上がっていた。

 本作『五雷轟頂(必殺! サンダーボルト)』は、初期ゴールデン・ハーベスト社を支えたロー・チー監督による1973年作品。邦題はC級カンフー映画みたいだけど、中身は武侠アクションの傑作である。テンポのいい演出と、バラエティに富んだアクションのつるべ打ちで魅せる一級の娯楽作だ。

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〈おはなし〉
 武林の名門・飛龍寨。義兄弟の契りを結んで国の再興を目指す龍・貝・陳のもとに、かつて同門でありながら武林を去った洪(パイ・イン)が戻ってきた。しかし、彼の正体は敵対する黒虎党の一味であり、その目的は武林制覇と飛龍四家が守ってきた財宝を奪うことだった。

 洪の狡猾な作戦により、飛龍寨はあっけなく黒虎党に乗っ取られてしまう。初めから洪を怪しんでいた陳(ジェームズ・ティエン)は、裏切り者の濡衣を着せられ、双方から追われる身に。彼は洪に捕われていた龍の妹(アンジェラ・マオ)を救い出し、彼女の必殺技“飛鷹劈雷掌”の力を借りて、たった2人で黒虎党に戦いを挑む!
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 チェン・カンタイが武術指導を務めた流麗かつダイナミックなアクションが素晴らしい。ワイヤーを駆使した文字どおり突飛な剣戟と、スピーディな功夫アクションがバランスよく織り混ぜられ、見応えあるバトルシーンが随所に構築されている。きびきびしたカッティング、的確なカメラワークとも相まって、全く飽きさせない。アン・リーやチャン・イーモウも本当はこういうことがやりたかったんだろうけど、未来永劫このレベルには届かないだろう。ワンダーを信じる力が違うというか、フィルムとアクションの親和度が違う。

 アンジェラ・マオは主人公を慕う妹分を好演(もちろんやたら強い)。おなじみの勝気でパワフルなイメージもありつつ、義兄に兄弟愛とも恋愛感情ともつかない微妙な思慕を抱いているキャラクターを演じ、健気な愛らしさも醸し出している。両手に短刀を携えて繰り広げる殺陣は最高にかっこよく、ワイヤーアクションも見事にこなし、キメポーズの取り方も天才的に美しい。本人は舞台挨拶で、この映画の撮影中に腰を骨折して大変だったと言っていた(15日間だけ休んで、16日めにはワイヤーで吊られていたとか)。

 強敵・洪を演じるパイ・インがまたかっこいい。あまりにいい男なので、最初は本当に味方キャラなのかと思い込んでしまった。個人的に、キン・フー監督の『忠烈図』(1975)で演じていた正義の剣士のイメージが強いもんで、つい。冒頭で見せる必殺技“旋風掌”の荒唐無稽なアクションが凄い(ガメラよろしく横に回転しながら宙を飛んで竹林を叩き斬っていく)。

▼イイ男すぎるパイ・イン
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 観ていていちばん度肝を抜かれたのは、映画の後半、ジェームズ・ティエン演じる主人公が敵地に潜入するため、素性を隠すために薬で顔面を焼いてしまうという展開。「勝っても顔は戻らないのよ!?」というヒロインの説得力満点な言葉に対し、血まみれでのたうち回りながら「どうせ命を捨てる覚悟の戦いだ。顔ぐらいなんだ!」と返すジェームズ・ティエンの台詞が漢気ありすぎ。最後の最後になって、主役がほとんど『ファントム・オブ・ザ・パラダイス』(1974)のウィンスロウ状態でクライマックスに臨むというのが、無茶苦茶かっけぇー! と思った。

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 いやあ、観てよかった(大部分の客は『破戒』と舞台挨拶だけで帰っちゃったけど)。画質も綺麗だったし、DVDが出たら欲しい。

・Amazon.co.jp
DVD『必殺!サンダーボルト』



製作/レイモンド・チョウ
監督/ロー・チー
アクション監督/チェン・カンタイ
出演/アンジェラ・マオ、ジェームズ・ティエン、パイ・イン、チェン・カンタイ
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