Simply Dead

映画の感想文。

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『泥棒番付』(1966)

『泥棒番付』(1966)

 WOWOWの勝新太郎特集で観た。脚本=伊藤大輔、監督=池広一夫、主演=カツシンの持ち味が十二分に発揮された傑作活劇。幕末の動乱のさなかに、一人の大泥棒がひょんなことから新撰組を相手に勝負を仕掛けることになるという物語を、タイトにテンポよく描いていく。原作は司馬遼太郎の『盗賊と間者』。

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〈おはなし〉
 時は幕末。名うての大泥棒・佐渡八(勝新太郎)は、与力の田中松次郎(内田朝雄)に正体を見破られ、罪を見逃す代わりに奇妙な申し出を持ちかけられる。同じく牢屋にいた若い男・清七(青山良彦)と一緒に、カタギになって京都で店でもやれというのだ。

 佐渡八と清七は早速うどん屋を開業し、真面目に働き始める。そこに松次郎が送って寄越したお慶(小林哲子)という孤児の娘も加わり、店は新たに三人所帯となった。常連客もつき始め、その中には新撰組を名乗る壬生浪人たちもいた。

 佐渡八が察したとおり、やがて松次郎の真の狙いが明らかになっていく。松次郎は倒幕派であり、新撰組の動向を探るとともに、組内部に潜り込んだ元盗人・五大力(内藤武敏)の行方も追っていたのだ。五大はかつて佐渡八に濡れ衣を着せ、姿を消した宿敵でもあった……。

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 キャラ造形、筋運びの巧さはさすが伊藤大輔。特に前半、互いに素性を知らない者同士3人が集まり、共同体を形作っていくあたりの呼吸がたまらなくいい。池田屋騒動から幕開けするという構成も洒落ているし、新撰組をならず者集団のように描いているのも新鮮。

 池広一夫のシャープな演出も冴えまくっている。適度に様式的な構図を随所に活かしたカメラワーク、スピード感に満ちたカッティングのセンスが、実にモダンでかっこいい。ドライなユーモア感覚もいい案配だ。

 勝新太郎は「泥棒番付東の正横綱」を名乗る関西弁の大泥棒・佐渡八を、水を得た魚のごとく快演。義理人情に厚く色恋には奥手というキャラも軽妙に演じ、ヒロインと互いに真情を伝え合うラブシーンは特に素晴らしい。クライマックスで聞かせる口上は圧倒的。本作では片手の人指し指を失くしたという設定で、芝居作りに集中するポイントを身体に持たせる勝新の好きそうな演技メソッドが活きている。

 ヒロイン・お慶役の小林哲子もいい。最初に登場するシーンでは本当に小汚い田舎娘にしか見えないのだけど、中盤から見事に化ける。切れ者の与力を演じる内田朝雄のふてぶてしさも魅力的だ。内藤武敏の残忍そうな悪役ぶりは『KAMIKAZE TAXI』(1994)とまんま同じ。新撰組の山崎丞を戸浦六宏が演じていて、そこだけなんとなく大島渚の映画っぽかった(笑)。

 西岡嘉信による見事な美術セットも印象に残る。本当に素晴らしい快作。ソフト化されていないのが惜しい。


監督/池広一夫
原作/司馬遼太郎
脚本/伊藤大輔
撮影/武田千吉郎
美術/西岡嘉信
音楽/鏑木創
出演/勝新太郎、青山良彦、小林哲子、内田朝雄、内藤武敏、戸浦六宏、藤岡琢也

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