《ディレクターズ・カット》』
原題:Manhunter(1986)

こないだ、米アンカーベイ社からリリースされていた2枚組DVD(現在は廃盤)を中古で買った。劇場公開版とディレクターズ・カット版の2バージョンが入っていて、前者はTHX高画質リマスターによる121分バージョン、後者はビデオから落としたような画質だが124分の最長バージョン。多分、ファーストカット素材ということだろう(後に高画質盤もリリースされた)。実はどちらも、日本で現在DVDリリースされている普及版(119分)とは中身が違う。
まず3バージョン全てで異なっているのはオープニング。メインスタッフタイトルの出方、文字色、編集がそれぞれ異なっている。ディレクターズ・カット版では、グレアムとクロフォードの会話シーンはカット割りが変わっており、若干短い(スタッフタイトルが会話する画の上に被るかたち)。
▼ディレクターズ・カットのオープニング

以下は、普及版にはなくて、ディレクターズ・カット版にはある主なシーン、または差異。
・アトランタ市警による捜査会議のシークェンスがやや長い。捜査員たちが会議室に入ってくるショットから始まり、彼らの前でグレアムが犯人像について語るシーンもある。
・レクターに会いに行く前夜、グレアムと妻モリーが電話で話すシーン。
・グレアムがレクターとの面会前、チルトン博士と話す場面。
・レクターとグレアムの最初の会話シーンが長い。
・グレアムがバーミンガムにある被害者宅を訪ねるシーンで、管理人が鍵を開けて家の中に通される部分が足されている。
・タブロイド記者ラウンズの取材を受けた後、グレアムとクロフォードが会話するシーンが長い(モリーがワシントンに来ることを伝える)。
・モリーがグレアムの泊まるホテルの部屋を訪ね、愛を交した後、窓際で話すシーン。グレアムがレクター逮捕の際に負った傷も映し出される。
・リーバの自宅で、ダラハイドが「フランシスはもういない」と言って彼女に迫るシーンのカット尻を、コマ落としで劇的に引き延ばしている。
・救出されたリーバとグレアムの会話がない。
・ダラハイドの魔手から救われた一家を、傷だらけのグレアムが訪ね、感謝される場面がある。
アンカーベイ盤に入っていた「劇場公開版」も、普及版とは中身が異なる。何しろ画質がまるで違う。発色も明るさもシャープネスも、段違いでアンカーベイ盤の方がいい。以下は普及版との差異。
・オープニングタイトルは作品のキーカラーである緑色の文字で統一。黒バックで、監督クレジットまで全て出終わってから、海辺のシーンにフェイド・イン。
・バーミンガムの被害者宅を管理人に案内される場面が残っている。
・ワシントンのホテルで束の間グレアムとモリーが二人きりの時間を過ごす場面が残っている(クロフォードの説明はカット)。
上記のシーンのうちのいくつかは、松竹から出ていた旧版ビデオにはあったような気がする。音楽の入るタイミングや、細かい編集の違いはまだいろいろあるだろう。特にヨーロッパ資本の映画には様々なバージョンが存在するものだけど、『Manhunter』も調べ出すとかなりややこしいことになりそうだ。
▼全てのバージョンから削除されたダラハイドの「赤き龍」の刺青

・Amazon.co.jp
DVD『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』
本『レッド・ドラゴン 決定版〈上〉』
本『レッド・ドラゴン 決定版〈下〉』
製作/リチャード・ロス
監督・脚本/マイケル・マン
原作/トマス・ハリス
撮影監督/ダンテ・スピノッティ
カメラオペレーター/エンリコ・ルチディ、マイケル・マン
プロダクションデザイン/メル・ボーン
衣装/コリーン・アトウッド
編集/ダヴ・ホーニグ
音楽/ザ・レッズ、ミッシェル・ルビーニ
出演/ウィリアム・ピーターセン、トム・ヌーナン、ブライアン・コックス、デニス・ファリーナ、ジョアン・アレン、キム・グレイスト、スティーヴン・ラング

