Simply Dead

映画の感想文。

『セカンド・サイト』第3部“睡眠時異常行動”(2000)

『セカンド・サイト』第3部“睡眠時異常行動”
原題:Second Sight -Parasomnia-(2000)

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 失明の危機にさらされたエリート警部ロス・タナーの活躍を描く、クライヴ・オーウェン主演の英国製サスペンスドラマ『セカンド・サイト』の第3部(エピソード7?8)。シリーズ考案者のポーラ・ミルヌが第1部「双子の秘密」に続いて再びシナリオを執筆し、全話中でも屈指の出来を誇るエピソードに仕上がっている。

 結婚式を間近に控えたある日、バットで無惨に撲殺された男。一方、婚約者のケリー・アンはその返り血を全身に浴びた姿で、自宅のベッドの中で目覚めた。防犯カメラには、彼女が深夜にマンションを出ていき、血まみれで帰ってくる姿が記録されていた。だが、彼女には前夜の記憶が全くなく、犯行動機もなかった。はたしてそれは夢遊病の仕業なのか? 捜査を開始したロスは、悪夢のような幻覚=セカンド・サイトに襲われながら、隠された真実に近付いていく。

 視覚が主題となるシリーズの中で、「眠り」や「夢」といったモチーフを採り入れた着想が巧い。目を閉じ、自ら視界を遮る行為を、我々は「睡眠」として日常的におこなっている。そこで見る“夢”とはまさにセカンド・サイトであり、その時間は確かな記憶や認識を持ちうることのできない不可知の領域である。そこにサスペンスが生まれる。

 ミステリーを構築する上ではあまりに都合のいい“夢遊病”というアイテムを利用しつつ、謎解きの過程でまた別のパラノイア的性格を浮かび上がらせていくプロットが巧妙。心理ミステリーとしてしっかり面白いし、容疑者のヒロインと主人公の交流や、シンクロする絵画と悪夢のイメージなど、ドラマ的にも見どころが多い。

 監督を務めるモーリス・フィリップスの演出も、シリーズ中で断トツ。なんと懐かしや、デニス・ホッパー主演の怪作コメディ『アメリカン・ウェイ』(1986)の監督だ! 今回の作品は特に、前半のエピソード7がいい。寝室の隅で得体の知れないものがうごめいているという悪夢的イメージが、本当に不気味に映像化されていて感心した。カメラワークや美術も洒落ていて、夢をモチーフにした音楽の使い方にも芸がある。ロスが病院を訪ねるシーンで「Mr. Sandman」を流したり、エンドテーマがロイ・オービソンの「In Dreams」だったり……ホラー映画好きなら『ハロウィン2』(1981)とか『ブルーベルベット』(1986)を思い出して「おおっ」と思うだろう。それもわりと唐突なタイミングで挿入されるので、ドキッとする。

 ケリー・アン役のジョゼフィーヌ・バトラーは、オドレイ・トトゥを美人にしたような印象で、ノーブルな雰囲気が漂っていて良かった。ケリーの父親で上院議員のロッダム氏に扮するのは、マイク・ホッジス監督のTVミニシリーズ『Dandelion Dead』(1992)での好演が印象深い名優マイケル・キッチン。今回からタリー警部に代わってロスをサポートする中年刑事を、無器用でしょぼくれた感じで妙演するルパート・ホリデイ=エヴァンスもいい。

 この「Parasomnia/睡眠時異常行動」に関しては、オーウェン・ファンや海外ドラマ・ファンのみならず、スリラー好きも納得できるクオリティだと思う。レンタルでいいので観てほしい。

・Amazon.co.jp
DVD-BOX『セカンド・サイト』(5枚組)


監督/モーリス・フィリップス
脚本/ポーラ・ミルヌ
撮影/エリック・ギレスピー
編集/ジョン・ウィルソン
音楽/ジョン・ラン
出演/クライヴ・オーウェン、ジョゼフィーヌ・バトラー、マイケル・キッチン、ルパート・ホリデイ=エヴァンス、フランク・ハーパー、アレクサンダー・モートン、マーク・ベイズリー、ベンジャミン・ハリス、ジュディス・ライト

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