Simply Dead

映画の感想文。

『ホロコースト(Amen.)』(2002)

『ホロコースト アドルフ・ヒトラーの洗礼』
原題:Amen.(2002)

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 『ミッシング』(1982)の社会派、コスタ=ガヴラス監督の2002年作品がようやっとDVDリリース。でも、ついこないだ米国盤DVDを買ったばかりだったりして……フランス映画祭で観ておけばよかった……(ちなみに、国際公開を視野に入れて製作された映画なので、台詞は全編英語です)

 第2次大戦下、ドイツ。若く有能な科学者ゲルシュタイン(ウルリヒ・トゥクール)は、家族思いの善良な男である。彼はナチスに引き抜かれ、害虫駆除と浄水装置の研究に励んでいる。あるとき、ポーランドに放置された青酸300缶の用途調査を命じられたゲルシュタインは、それがユダヤ人収容所で「有効利用」されていることを知る。

 くそ。
 おれは人殺しの群れの中にいる。

 害虫とはユダヤ人のことだ。駆除とは虐殺のことだ。ゲルシュタインは訪独中の枢機卿がいるカソリック教会に駆け込み、バチカン教皇からの告発を懇願するが、枢機卿はそれをはねつける。「親衛隊がユダヤを守るとはな!」 バチカンにとって、ヒトラーはスターリンを倒すための必要悪だった。

 絶望するゲルシュタインに、ただひとり、イエズス会の若き神父フォンタナ(マチュー・カソヴィッツ)だけが手を差しのべる……。

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 映画は、2人の人物が世界中の無関心と戦いながら、ひたむきに奔走する姿を綴ります。きびきびとスピーディーに進むガヴラスの演出は、やはりベテランの業。真面目一辺倒でもなく、劇的な人間ドラマとサスペンスを織り交ぜながら、エンタテインメントとしても成立させています。収容所長たちから「処理する死体の数が多すぎるんです!」とか「夢に見るんです!」とかクレームが噴出する場面など、ブラックユーモアも冴えていて、なかなか圧倒的な作品。

 後半の主役といえるマチュー・カソヴィッツの抑えた演技も魅力。彼が教皇の前である“決断”を見せる場面は、非常に感動的です(見せ方がまた巧い)。

 そして、あまりに苦い結末は、紛れもなくガヴラスでした。


 それにしても、この邦題はないなー。お脳の具合でも悪いんでちゅかー?と問いたい(誰にとは言いませんけど)。『ブラザー・ハート』だの『パニック・フライト』だの、観たい映画に限って酷いタイトルがついてて泣きたくなります。
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製作/アンドレイ・ボンセア、ミッシェル・レイ=ガヴラス
監督・脚本/コスタ=ガヴラス
脚本/コスタ=ガヴラス
撮影/パトリック・ブロシェ
出演/マチュー・カソヴィッツ、ウルリッヒ・トゥクール、マーセル・ユーレス、ウルリッヒ・ミューエ、ミシェル・デュショーソワ、フリードリッヒ・フォン・サン、ハンス・ジシュラー

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『ホロコースト アドルフ・ヒトラーの洗礼(Amen)』DVD

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