Simply Dead

映画の感想文。

『街のあかり』(2006)

『街のあかり』
原題:Laitakaupungin Valot(2006)

lights_in_the_dusk.jpg

 もはや映画を撮り続けることに絶望しているかのような、アキ・カウリスマキ監督の最新作。とにかくつまらない。撮りたいものがなきゃ止めりゃいいのに、とは言っても生活しなくてはならないから、日本のミニシアターファンみたいなカモがついているうちにさっさと搾り取っておかなければならない。

 「いつも同じだから観てる方も飽きたんじゃないか」とか、そういう問題じゃない。『過去のない男』(2002)だってまだなんとかキワキワで保っていたものが、『街のあかり』にはもはやないのだ。

 ユーモアもカリカチュアも捨て去り、劇的なるものをひたすら回避し、ただシニシズムと冷徹な視線だけが残ったカウリスマキの世界を支えてくれるはずのものが、この映画にはどこにもない。俳優たちに魅力はなく、古典ノワールに目配せしたストーリーも退屈で、シーン運びも心動かさない。観ている間ずっと、かつてのカウリスマキがいかに才気に満ちていたかを偲ばざるを得ないような無味乾燥ぶり。老境を迎えた作家のストイシズムが単純に悲惨な結果を招いた凡作だった。

 ただ、それでも映画を撮り続けなければならない商業アートフィルム監督の痛切さだけが突き刺さる。でもそんなことは僕に関係ないので、とりあえず金を返してほしい。


監督・脚本/アキ・カウリスマキ
撮影監督/ティモ・サルミネン
出演/ヤンネ・フーティアイネン、マリア・ヤルヴェンへルミ、イルッカ・コイヴラ、カティ・オウティネン、パユ
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://simplydead.blog66.fc2.com/tb.php/193-ef6c8671
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad