Simply Dead

映画の感想文。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『デジャヴ』(2006)

『デジャヴ』(2006)
原題:Deja Vu(2006)

dejavu_poster.jpg

 トニー・スコットはわりかし好きな(というか憎めない)監督だった。けど、ここ数年は『マイ・ボディガード』(2004)に『ドミノ』(2005)と、やたらチャカチャカした編集のせいでドラマも芝居も台無しにしてる作品が続いていて、正直ウンザリしていた。「MTV風」を通り越して、どんどんジャンキーのトリップめいた映像テクニックに傾倒していく演出は、単に集中力を削ぐだけで何も面白くない。なのにシネフィルの人々が最近やけに持ち上げているらしくて、余計イヤな感じだった。

 そんなわけで『デジャヴ』も劇場では見送ってしまい、DVDでやっと観た。そしたらこれが結構面白かった! 公開時には箝口令が敷かれていたようだけど、要するに時間SFである。しかも『12モンキーズ』(1995)。

 推理サスペンスとして始まって、『エネミー・オブ・アメリカ』(1998)のようなハイテクスリラーになり、あまりにも無理やりなギミックなので「本気か?」と蒼ざめていると、途中からすっぱり開き直ってSFになるところが清々しい。頭の悪いブラッカイマー印映画のイメージを逆手に取ったギャグであり、多分セルフパロディでもある。どう考えても世紀の大発明なのに、ものすごく地味で中途半端な使われ方をしてるのがおかしい。

dejavu_screen.jpg

 こういう題材だからこそ、逆に目くらまし的な映像効果は抑えようと思ったのか、近年の作品の中ではかなり落ち着いた絵作りを見せてくれるので、好感が持てる(それでも普通の映画に比べたらカッティングはやたら細かいと思うけど)。他にもいろいろと映画的な面白さに満ちていて楽しかった。死んだ美女に魅入られて我を忘れていく主人公という設定はまるっきり『めまい』(1958)だし、真顔でSFガジェットを装着してニューオーリーンズの町を往くデンゼル・ワシントンの姿も今時ありえない感じでステキ。主人公が映画に登場してから、なかなか台詞を喋り出さないのもいい。そもそもトニー・スコットがSFに挑むっていうのが初めてなのではないだろうか。そこが兄リドリーと線引きの違うところで、トニさんはああ見えて実はリアリストの部類に入る演出家。「空想の未来や歴史劇を描くよりも、今の現実世界を見ていたい」という人だと思う(ちゃんと見えているかどうかは別として)。だから本作もSFとはいえ、あくまで2006年の現実に立脚点を置いてドラマが展開する。

 ただし、ラストは「観客試写で好評を得たのでコレにしました」みたいな、全く腑に落ちないハッピーエンド。SFファンならずとも首を捻ると思うが、ブラッカイマー印なので仕方ない。それとも従来のSFマニアの固いアタマでは到底ひねり出せない,新たなタイムパラドックスの形を提示してみせたのか……まさかね(主人公もそう言ってた)。

 でも、監督・主演コンビの息の合い方もますますいいし、アダム・ゴールドバーグやジム・カヴィーゼルといったバイプレイヤーもよかったし、ヒロインのポーラ・パットンも本当にキレイだったので、まあいいや。と思える久々のトニー・スコット映画だった。

・Amazon.co.jp
『デジャヴ』DVD


製作/ジェリー・ブラッカイマー
監督/トニー・スコット
脚本/テリー・ロッシオ、ビル・マーシリイ
撮影/ポール・キャメロン
プロダクションデザイン/クリス・シーガーズ
編集/クリス・レベンゾン
音楽/ハリー・グレッグソン・ワグナー
出演/デンゼル・ワシントン、ポーラ・パットン、ヴァル・キルマー、ジム・カヴィーゼル、アダム・ゴールドバーグ、マット・クレイヴン
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://simplydead.blog66.fc2.com/tb.php/192-1b22234b
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。