Simply Dead

映画の感想文。

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『汚れた手をした無実の人々』(1975)

『汚れた手をした無実の人々』
原題:Les Innocents aux Mains Sales(1975)
英語題:Innocents with Dirty Hands

dirtyhands_dvd.jpg

 クロード・シャブロル監督十八番の愛憎劇スリラー。原作はアメリカ人作家、リチャード・ニーリーの『The Damned Innocents』。主演のロミー・シュナイダーが見せる大胆な熱演もあって、濃密に淫靡な傑作になっている。

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〈おはなし〉
 南仏、サントロペ。若く美しい人妻ジュリー(ロミー・シュナイダー)は愛人のジェフと共謀し、夫ルイス(ロッド・スタイガー)の殺害を計画する。彼は裕福だが、酒びたりで性的不能に陥っており、夫婦仲は冷えきっていた。ある夜、ジュリーは眠る夫の頭蓋を棍棒で打ち砕き、後始末をジェフに任せる。全てがうまくいったと思われた翌日から、ジュリーの悪夢が始まった。

 夫が消えたのと同時に、ジェフの足取りまでも消え、手に入れるはずだった夫の財産も消えた。ジュリーは拘留されるものの、弁護士の機転で釈放される。訳が分からず家に戻った彼女を待っていたのは、なんと殺したはずの夫ルイスの姿だった。

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 不倫殺人というよくあるテーマながら、教科書のようによくできた話で、シャブロルの演出もノッている。ニューロティックな語り口で巧みにトリックを仕掛け、最後にタイトルどおりの人物関係を浮かび上がらせる構成が見事。二転三転する展開が進むと共に、愛憎半ばする夫婦の関係が変化していくのも面白い。殺したはずの夫を眼前にした妻ロミー・シュナイダーが、幾度も愛人と情事を重ねた場所で“売女”として脚を拡げるシーンが強烈。

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 シュナイダーの美しさは筆舌に尽しがたい。冷酷な殺人者、不可解な罠に翻弄される女、娼婦の媚態、そして深い愛情に目覚めていく妻と、様々な表情を見せてくれる。個性派ロッド・スタイガーのエキセントリックな芝居も、この映画では巧く活かされている。物語に軽みを与える刑事コンビの存在もいい(が、2人が推理を働かせるシーンで、観客にとっては明らかな事件のあらましを二度も説明してしまうのが欠点)。コメディリリーフの弁護士をジャン・ロシュフォールが颯爽と演じていて楽しい。

 ラストにはなんと幽霊が……超自然領域をめったに描かないシャブロルとしては珍しいと思う(もちろん主人公の妄想とも取れるけど)。鏡の使い方も効果的で、ちょっと驚いた。

 70年代のシャブロル作品には傑作が多いが、ほとんどが日本未公開。現在、映画ダウンロードサイト「シネマナウ」で日本語字幕版が配信されている(はっきり言って画質は悪い)。字幕なしでもよければ輸入DVDを買うという手もある。とにかくシャブロル絶頂期の作品群が無視され続けているのは納得いかない。

dirtyhands_02.jpg

・DVD Fantasium
『汚れた手をした無実の人々』DVD(US盤)
「クロード・シャブロル コレクション」DVD-BOX(US盤・8枚組)


製作/アンドレ・ジェノーヴェ
監督・脚本/クロード・シャブロル
原作/リチャード・ニーリー
撮影/ジャン・ラビエール
音楽/ピエール・ジャンセン
出演/ロミー・シュナイダー、ロッド・スタイガー、パオロ・ジュスティ、フランソワ・メイストレ、ピエール・サンティニ、フランソワ・ペロ、ジャン・ロシュフォール、アンリ・アタル

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