Simply Dead

映画の感想文。

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『ローディー』(1980)

『ローディー』
原題:Roadie(1980)

roadie_dvd.jpg

〈おはなし〉
 テキサス生まれの田舎者トラヴィス(ミート・ローフ)は、あるとき路上で立往生しているローディー(バンドステージの準備屋)の連中と出会う。車に同乗していたグルーピーの少女・ローラ(カーキ・ハンター)に一目惚れしてしまったトラヴィスは、なりゆきで一行をコンサート会場まで送り届けることに。だが着いた先で機材トラブルが発生! そこでたまたま機械いじりが得意だったトラヴィスが活躍し、鮮やかにピンチを切り抜ける。やり手のローディーとして認められた彼は無理やり仲間に引っ張りこまれ、あちこちのコンサート会場を駆け巡る。それもこれもローラのため……だが、彼女は憧れのアリス・クーパーに心もカラダも捧げるつもりだった。

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 アラン・ルドルフが初めてメジャースタジオの雇われ監督としてメガホンをとったロック・コメディ。テキサス生まれの田舎者がショービジネスの世界へ飛び込んでいくという物語を、それこそアルトマン的なドタバタ・タッチで描いていく。が、編集がたどたどしくてテンポが悪く、仕上がりは冴えない。本当はアルトマンぽくやりたかったのに、編集者には伝わらなかったという感じ。前半の『ブルース・ブラザーズ』(1980)を意識したようなカーアクションも実にだらしなく、コメディ演出に慣れていないのがありありと分かる。

 当時のロックシーンに興味があったようにも思えない。監督デビュー作『Premonition』(1970)では主役をロックバンドにしたり、後の作品群でも分かるとおり音楽的造詣は深い方だと思うが、この映画ではあくまで職人演出家的な態度を貫いている(職人ていうほど巧くできてないんだけど)。

 アラン・ルドルフといえば、自分のオリジナル企画と「お仕事」でやった作品との差が歴然であることで知られている。本作もまた、誰が見ても「お仕事」の1本。この時、ルドルフは『ロサンゼルス・それぞれの愛』(1976)と『Remember My Name』(1978)の2本が立て続けにコケ、仕事を選べない状況にあった。

 とはいえ、この映画にはミート・ローフがいる。彼の魅力だけで『ローディー』は愛すべき映画になったと言えるくらい、もうめちゃめちゃキュート。健気で可愛いテキサスのデブを、こんなにも見事に一途に演じられる歌手が他にいるだろうか?(彼自身もロッカーである)。役者として『ロッキー・ホラー・ショー』(1975)と『ファイト・クラブ』(1999)という2大傑作に名を連ね、映画ファンから永遠に愛される資格を得た男。『ローディー』では俳優ミート・ローフの魅力が全編にスパークしている。相手役のカーキ・ハンターなんかよりも百倍魅力的だ。

▼主演のミート・ローフと、本人役で出演するブロンディのデボラ・ハリー
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 劇中に濃厚な80年代的軽薄さは、製作・共同原案のザルマン・キングや、脚本家チームの持ち味という気がする。ルドルフらしさが最も炸裂しているのは、コインランドリーで麻薬捜査班の刑事たちがトラヴィスとローラの会話に割り込んで来るシーンだろう。掛け合い漫才のように混乱していく台詞の組み上げ方が非常に巧い。また、サイドストーリーとして描かれるトラヴィスのヘンテコな家族たちの描写も、アルトマン的なビザールさを狙っているようにも思える。テキサスのド田舎をネタにしたギャグには何故か力が入っていて、冒頭、アルマジロが群れをなして道をゾロゾロ歩いてくる日常描写(?)は、『悪魔のいけにえ』(1974)のパロディのようだ。

 もちろん、この手の映画の楽しみといえばミュージシャンのカメオ出演。ハンク・ウィリアムズJr.のライブシーンでは、ロイ・オービソンが超どうでもいい感じで一瞬だけ登場。そんなに興味ねえのか、ルドルフ。もっとどうでもいい感じなのが、レコード会社の場面でちょっと廊下に出てくるだけのピーター・フランプトン(この辺は『ナッシュビル』っぽい)。その点、ブロンディはやたらと出番も多く、台詞も芝居も充実。いちばんかっこいいのは、やっぱり素で出てくるアリス・クーパー。主人公たちを食事に誘うシーンで「ペットの蛇とメイクアップと真っ黒の衣装もお願いします!」と言われて、あっさり「いいよ」と答えてその格好で高級レストランに行くのが可笑しい。イイ人だ。

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『ローディー』DVD


製作/キャロライン・ファイファー
監督/アラン・ルドルフ
脚本/ビッグ・ボーイ・メドリン、マイケル・ヴェンチュラ
原案/ザルマン・キング、アラン・ルドルフ、ビッグ・ボーイ・メドリン、マイケル・ヴェンチュラ
撮影監督/デイヴィッド・マイヤーズ
編集/トム・ウォールズ
音楽/クレイグ・ハンドリー
出演/ミート・ローフ、カーキ・ハンター、アート・カーニー、ゲイラード・サーテイン、ドン・コーネリアス、ロンダ・ベイツ
カメオ出演/ランブリン’ジャック・エリオット、ハンク・ウィリアムズJr.、ロイ・オービソン、ピーター・フランプトン、ブロンディ、アルヴィン・クロウ&ザ・プレザント・ヴァレー・ボーイズ、アスリープ・アット・ザ・ウィール、ザ・バマ・バンド、アリス・クーパー
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