Simply Dead

映画の感想文。

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『いれずみの男』(1968)

『いれずみの男』
原題:The Illustrated Man(1968)

illustrated_man_dvd.jpg

 レイ・ブラッドベリのあまりに有名な短編アンソロジー『刺青の男』を映画化したオムニバス作品。日本では公開以来ソフト化されたことがなく、映画ファンの間では「多分そんなに面白くはないんだろうけど、いつか観てみたい映画」の筆頭みたいなタイトルだった。つい最近アメリカでノートリミング版DVDが出たので、やっと念願叶って観た人もいるだろう。まあ実際、面白い映画ではなかったのだけど。

 間違いなくブラッドベリの小説は映画にならない。そのメランコリーも美しさも怪奇味も、文章だけが持ちうる魅力だ。かろうじてマンガならなんとかなるか、と萩尾望都の作品を思い出しながら言ってみたけど、何にしても原作の方が断然いいに決まっている。特に映画化は無理。ダメ、ゼッタイ。この『いれずみの男』も、ブラッドベリの文体が持つ風味の再現には少しも至らない、無骨な映画だ。

 何しろ主演のロッド・スタイガーが暑苦しすぎる。物語のもの寂しい憂愁も、寓話的な残酷さも、ほとんどスタイガーの熱演に持っていかれてしまう。監督のジャック・スマイトは、不向きな題材をまるでこだわりのない演出でさばくのみ。セットデザインにいたっては壊滅的だ。

 撮影は『殺しの分け前/ポイント・ブランク』(1967)のフィリップ・ラスロップが担当してるので、悪夢的なフィーリングはそれなりに出ている。SF的な見どころとしては、2番目の話に出てくる光線銃(当たると体からブクブク泥が湧き出してくる)がなかなかカッコ良かったぐらい、か。

 ブラッドベリの映画化は無理。この顔ぶれと、この時代では特に。そう分かった上で観るなら、面白くはないけど退屈はしない。「やっぱり無理だわなー」という確認作業のようでもある。

▼原作の方がいいです、当然。
・Amazon.co.jp
本『刺青の男』 (ハヤカワ文庫)
・DVD Fantasium
『いれずみの男』DVD(US盤)


製作/ハワード・B・クライチェック、テッド・マン
監督/ジャック・スマイト
原作/レイ・ブラッドベリ
脚本/ハワード・B・クライチェック
撮影/フィリップ・ラスロップ
音楽/ジェリー・ゴールドスミス
出演/ロッド・スタイガー、クレア・ブルーム、ロバート・ドライヴァス

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