Simply Dead

映画の感想文。

『ようこそ☆おちこぼれカレッジ』(2006)

『ようこそ☆おちこぼれカレッジ』
原題:Accepted(2006)

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 『ギャラクシー・クエスト』(1999)や『ドッジボール』(2004)でオタク観客の共感を集め、先頃『ダイ・ハード4.0』(2007)の相棒役にも抜擢された若手俳優、ジャスティン・ロングの単独主演作。日本ではまだソフト化されておらず、今のところ「エンタミレル」で観ることができる。これがなかなかの秀作! 久々によくできた青春コメディを観た気がした。

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〈おはなし〉
 大学入試にことごとく落ちてしまった青年バートルビー(ジャスティン・ロング)。親の手前なかなか打ち明けられず、思いあまった彼は仲間の助けを借りて、架空の大学をでっち上げる。その名もサウス・ハーモン工科大学、略して「S.H.I.T.」。ホームページを立ち上げ、元精神病院の空きビルを改装して即席の校舎を作り上げるバートルビーたち。

 ところが「ワンクリックで入学可能」なホームページを通じて、全米中の落ちこぼれが「S.H.I.T.」に殺到! バートルビーは慌てて彼らを追い返そうとするが、そこに集まったのは自分と同じ“拒絶”された若者たちだった。彼の胸に何かが灯る。

 バートルビーたちはニセの校舎、ニセの大学学長、ニセの寮まで用意し、本当に大学を運営することに。やりたいことを自由に追求する型破りなクラスが次々と生まれ、学園内は無法地帯状態になる。が、そこは彼らにとって最高の学校だった。格式ばった伝統も、融通の利かない受講システムも、単位取得のプレッシャーもない。初めて人生に目標をもって学校作りに奔走するバートルビーに、名門校へ進学した幼なじみのモニカ(ブレイク・ライヴリー)も惹かれていく。だが……。

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 テーマがとても明確だし、ストーリーの着想も面白い。まとめ方は真面目だけど、設定はかの『アニマル・ハウス』(1978)の破天荒さを思い出させて懐かしかった。尺も93分とコンパクト。何より「落ちこぼれが自分を受け入れてくれる場所を見つける」という物語に、シンプルに泣いた。一度でも社会と相容れない自分を感じたり、自分の居場所について悩んだことのある人なら、必ず胸に響くはず。アメリカの大学事情や、日本とも共通する大学教育への疑問も、主人公の視点から素直に切り取られていて面白かった。

 およそ主役にはなり得ないようなオタク青年ジャスティン・ロングの個性を、主役として活かした直球青春映画としても記念碑的。地味に見えてもちゃんと映画を引っ張れるし、やっぱりいい役者だなぁと思った。MacのCM(日本ではラーメンズが出てるやつ)にも出たりして、アメリカでは着実に人気者への道を歩んでいるようで、ちょっと嬉しい。

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 脇を固めるキャラクターもそれぞれ立っている。ヒロイン役のブレイク・ライヴリーがやたら可愛かった。絵に描いたようなブロンド美少女なのに、嫌な感じがしない。雰囲気がちょっとヘレン・ハントに似てる。大挙登場するコメディリリーフの中では、自分の名前も書けないほどのバカだが料理の才能を発揮するグレン役、アダム・ハーシュマンがインパクト大。ちょっとコイツにばっかり頼りすぎな感もあるけど。あと「将来の夢:念力でモノを破壊したい」というボンクラ男子学生のキャラもよかった。

 音楽もいい。ニセ大学に大量の落ちこぼれ生徒たちがなだれ込んでくるシーンでは、「エリナー・リグビー」のハードロック風カバーが流れて笑わせてくれる。そして、主人公がパーティで無理やり舞台に上げられて1曲披露させられる、というお決まりのシーンでは、ラモーンズの「Blitzkrieg Bop」を熱唱! あのジャスティン・ロングが! 思わず不意打ち的に泣かされてしまった。ずるいよ、ジャスティン・ロングのくせに!

 この映画の原題“Accepted”とは、学校の合格通知に押される「入学許可」のスタンプ。「受諾する/認可する」といった意味合いなので、なんとなく高飛車な物言いでヤな感じだが、74年前に作られた1本の映画ではその言葉が全く違うニュアンスで使われた。トッド・ブラウニング監督の名作『フリークス』(1933)である。サーカス団のフリークスたちが彼らのコミュニティに新参者を招き入れるとき、テーブルを囲んで「We accept you, one of us!」と歌うのだ。そこに描かれたはぐれ者同士の連帯意識は、強烈な孤独と反社会性に裏打ちされていた。そして約40年後、ラモーンズが「Gabba Gabba We Accept you, We Accept you, One of Us!」と歌い、ライブハウスに集った行き場のないパンクキッズを熱狂させた。本作でも落ちこぼれ学生たちの前でラモーンズが歌われるのはそういうことだ(さすがにあまりの明白さを避けるため「Blitzkrieg Bop」を選曲するわけだが)。三者の“Accept”に込められた意味は同じである。こんな屁理屈をこねるのも、単なる生ぬるいコメディだと思って見逃してほしくないからだ。

 監督はスティーヴ・ピンク。誰だ? と思って調べたら、元々は俳優で、『ポイントブランク』(1998)や『ハイ・フィデリティ』(2000)など、ジョン・キューザックの出演作でシナリオやプロデュースを手がけた人だった(本作には主人公の母親役でキューザック家の長女アン・キューザックが出演している)。そんなことより次の監督予定作はグレゴリー・マクドナルド原作の『Fletch Won』だというではないか! それってケヴィン・スミス監督の念願の企画だったはずじゃ……おのれ! でも本作の仕上がりを見る限りでは期待してもいいのかな、とも思った。

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 まあネット配信でもいいんだけど、こういう良作を観られるチャンスがもっと増えればいい。DVDぐらい出してほしいな……スコープサイズのノートリミング版で(エンタミレルではTVサイズ放映だった)。


製作/トム・シャドヤック、マイケル・ボスティック
監督/スティーヴ・ピンク
原案/マーク・ペレズ
脚本/アダム・クーパー、ビル・カレッジ、マーク・ペレズ
撮影/マシュー・F・レオネッティ
音楽/デイヴィッド・ショーマー
出演/ジャスティン・ロング、ジョナ・ヒル、ブレイク・ライヴリー、アダムハーシュマン、コロンバス・ショート、マリア・セイヤー、ルイス・ブラック、マーク・ダーウィン、アン・キューザック、ハンナ・マークス
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コメント

通りすがりですが

はじめまして。通りすがりのものです。
Justin Longになんだかずるずるとハマってしまってたどり着いてしまいました。彼はほんとにいい役者ですね。Acceptedを見てあの演説っぷりに惚れ直してしまいました。
彼はアメリカではMac Guyとして有名になりつつあります。うれしいですね~~。
彼のますますの活躍を祈っています。

  • 2007/10/19(金) 10:46:35 |
  • URL |
  • Moon #-
  • [ 編集]

はじめまして

ジャスティン・ロング、いいですよね。最近の出演作を観るたび、『ギャラクシー・クエスト』のアイツがこんなに出世して……と感慨に浸ってしまいます。見るからにイイ奴ですし。
『Accepted』は日本だとDVDが出そうにないんですよね。いい映画だと思うのになあ……

  • 2007/10/20(土) 01:40:12 |
  • URL |
  • グランバダ #h1buydM2
  • [ 編集]

(゜▽゜)

今テレビでやっていて、見終えました!!

タイトルを検索したら、ここにきたので一言‥‥



とても面白かった!!
こういう映画大好きだ~(´Д`)♪♪

  • 2010/06/15(火) 03:38:46 |
  • URL |
  • まるを #-
  • [ 編集]

SHIT

昨夜ジャパン vs カメルーン戦終わっあとに、これ見てたせいで今日はちょー寝不足。

こうゆうおバカ映画だいすき~!ジョナ・ヒルの出てるやつだとスーパーバッドってやつもおバカで面白いよ

http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=329370

  • 2010/06/15(火) 10:49:49 |
  • URL |
  • すー #-
  • [ 編集]

一昨年飛行機の中で見てずっと気になっていたコメディーでした。邦題がついていたとは知らずに昨日の晩、途中からですが偶然テレビで見ることができてかなり興奮しました。
いつの日かDVDで出てくれる事を祈っています。

  • 2010/06/15(火) 16:32:58 |
  • URL |
  • ヌル #-
  • [ 編集]

みなさまコメントありがとうございます。
昨日テレビでやってたんですね(見逃してしまった……)。しかもちょうどワールドカップの試合後だったので観た人も多かったようで。
いまだに日本ではDVD化されていないので、貴重な機会だったと思います。ぼくもぜひ、もういちど観てみたい映画です。
ちなみに、上のレビューに書いてある「エンタミレル」というのは、昔あったネット配信テレビ局です。今はもう潰れてしまいましたけど。

>すーさま
『スーパーバッド』はもちろん大好きな映画です。ジョナ・ヒルは『Cyrus』という新作映画で主演しているみたいですよ。
http://www.imdb.com/title/tt1336617/

  • 2010/06/15(火) 21:26:02 |
  • URL |
  • グランバダ #h1buydM2
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