Simply Dead

映画の感想文。

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『ダニエラという女』(2005)

『ダニエラという女』
原題:Combien tu M'aimes?(2005)
英語題:How Much Do You Love Me?

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 ベルトラン・ブリエは変わった。愛と性を赤裸々に描く作家というポジションは一貫しているが、昔はもっと暗くて深刻でシュールで、正直ちょっと気取っていた。『料理は冷たくして』(1979)とか、『メルシー・ラ・ヴィ』(1991)とか。でも年輪を重ねて、より明るく楽天的な面を晒け出すようになったと思う。かつてジョルジュ・ロートネル監督の傑作ノワール・ラブコメ『狼どもの報酬』(1972)の原案・脚本を手がけていた頃みたいに。

 ベタであること、陳腐であることをいとわず、娼婦とダメ男しか出てこない「愛の悲喜劇」を描く。紋切り大いに結構、その代わり徹底してやるよ、という姿勢が快い。妻のアヌーク・グランベールに主演させた『私の男』(1995)も、これ以上ないほど率直な〈娼婦=女性〉賛美の内容で、「これ女の人が観たらどう思うのかなぁ」と余計な心配をしたほどだった。はっきり言ってかなり好きな映画だけど。その思い切りのよさは、絶頂期のケン・ラッセルに近いものがある。

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 本作『ダニエラという女』もまた、ベタベタな導入から入ってそのまま率直に愛を語りきってしまう秀逸なラブコメディだ。「ひとりの平凡な男が、大金を使って美しい娼婦を妻にしようとする」という、陳腐にもほどがあるプロットに、まだ語り尽されていない領域を見出すブリエの大胆さが凄い。娼婦役にモニカ・ベルッチを起用し、さらにバカバカしい寓話性を強調させている。

 モニカ・ベルッチという、綺麗だけど中身は空っぽなグラマー女優のイデアというかクリシェみたいな存在を、ブリエは彼女自身のパロディとしてひたすら魅力的に撮る。彼女がこんなにイメージ通りに美しく撮られ、なおかつ「可愛い女」を見事に演じた作品もないのではないか。よりグラマラスになってきたイタリア人らしい肢体も、当然、惜しげなく晒している。濡れ場も美しく、印象的。

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 マゾヒスティックな男女の駆け引きをコミカルに描くブリエの演出には、もはや迷いというものを感じない。どんどん余計なものが削ぎ落とされていって、茶目っ気が残るような作家は個人的に好きだ。ただし、これも男から見て「夢みたいな話」であって、女の人がどう感じるかは知らない。おとぎ話として、結構いいお話だと思うんだけど。やっぱ怒る人は怒る気もする。映画自体は、ブリエらしい幻想的な映像美とテンポのいい筋運びで、最後まで面白く見せきる。カメラの遊びもふんだんで、レンズのフォーカス演出が見事。音楽の使い方もバカバカしくて楽しい。

 平凡な中年男を演じるベルナール・カンパンがいい。少年のまま中年になってしまったような感じが、母性本能をくすぐりそう。ブリエ作品の常連ジェラール・ドパルデューの余裕綽々な怪演も楽しかった。他にも、欲求不満の隣人役ファリダ・ラウアジを始め、多彩な芸達者が脇を固めている。

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 中盤に出てくる若い娼婦を演じたサラ・フォレスティエがなかなか可愛い。『パフューム/ある人殺しの物語』(2006)では最初に殺される赤毛の女を演じていたが、かなり印象が違う。

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『ダニエラという女』DVD


監督・脚本/ベルトラン・ブリエ
撮影/フランソワ・カトンネ
出演/モニカ・ベルッチ、ベルナール・カンパン、ジェラール・ドパルデュー、ジャン=ピエール・ダルッサン、サラ・フォレスティエ、ファリダ・ラウアジ

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