Simply Dead

映画の感想文。

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『バベル』(2006)

『バベル』
原題:Babel(2006)

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 ノーパンが豊かな映画的スリルを醸成することを思い出させてくれた点で、本作『バベル』は映画史にひとつ貢献したと言えよう。怒れる発情女子高生がニラミを利かせながら、チャラ男の視線をイン・ハー・ブッシュへと招き入れる挑発と不安。ティント・ブラス作品や『氷の微笑』とは異なる、ちくりと痛い青春映画としての魅力的ノーパン描写。しかし、本作ではそのシチュエーションをサスペンスとして最後まで活かしきってくれない。平山夢明先生の『東京伝説』シリーズばりに、ノーパンならではの凄惨な悲劇などには見舞われてくれないのだ。そうすればノーパン映画史に屹立する傑作となっただろうに。確かに、本作のタイトルは『バベル』だった。

 そもそも『バベル』というタイトル自体が目くらましである。本作は“言語の違い”を主軸に、互いに理解し合えず悲劇を生んでいく人類の根源的な悲しみを大小様々なスケールで描いた作品、ではない。置いてけぼりにされる子供たちについての物語だ。コミュニケーションの絶望的な壁は、迷える子供たちと迷える大人たちの間に存在する。それを「バベル」と言い切るのはいささか残酷だが、単にミスリード以上の意味はないと思いたい。作者もラストに型通りの希望を託していることだし。

 デビュー作『アモーレス・ペロス』(1999)から連鎖的悲劇を描いてきたアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督と脚本家ギジェルモ・アリアガのコンビだが、新作を観るたびに『アモーレス・ペロス』のパワーが懐かしくなる。本作もプロダクション・スケールこそ格段に上がっているが、イニャリトゥ=アリアガ作品としては目新しいところのない1本だ。しかし、入り組んだストーリーを“深みなく”快調に見せていく語り口は、悪くない。掘り下げの浅さも意図的なものだろう。キックのある話が観たい客としてはいささかつまらないが。

 出演者の中では、モロッコの少年2人の父親と、メキシコ人の乳母がよかった。特に後者を演じたアドリアナ・バラザこそ、助演女優賞にふさわしい名演技だと思う。もちろん孤独なノーパン少女を演じた菊池凛子も頑張っていたとは思うが、彼女には負ける。役所広司に至っては、あれっぽっちの出番と芝居でビリングが4番目というのは、いかになんでもおかしい。

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監督/アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
原案/ギジェルモ・アリアガ、アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ
脚本/ギジェルモ・アリアガ
撮影/ロドリゴ・プリエト
編集/ダグラス・クライス、スティーヴン・ミリオン
音楽/グスタヴォ・サンタオララ
出演/アドリアナ・バラザ、ブラッド・ピット、ケイト・ブランシェット、菊池凛子、ガエル・ガルシア・ベルナル、二階堂智、役所広司
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