Simply Dead

映画の感想文。

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『あるスキャンダルの覚え書き』(2006)

『あるスキャンダルの覚え書き』
原題:Notes on A Scandal(2006)

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 仕事が一段落したので、帰りにパーッと『スパイダーマン3』でも観ていくか! と思ったら時間が合わず、でも絶対に映画1本観る気分にはなっちゃってたので、レイトショーでこれを観た。まあ、それなりに面白かったので「やっぱダーマンにしときゃよかったなぁ」などとは思わずに済んだ。

 ジュディ・デンチが主演だから、また英国王室モノか高級スーツ族の策謀劇か、と思ったら全然違った。公立高の女性教師と男子生徒のセックス・スキャンダルを軸に描く、孤独なオールドミスの妄執うずまく愛憎の物語。このところメロドラマに飢えているのでちょうどいい。生徒相手に過ちを犯した新人教師を陰から支配しようとする主人公を、デンチ御大が力演。今さら言うまでもないだろうけど、こういう危うい役を演じるのも抜群に巧い。怖いだけじゃなく、ちょっとファニーなところとか。

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 あまりに魅力的で屈託が無さすぎるゆえに泥沼にはまる美人教師役は、ケイト・ブランシェット(イギリス映画に出ていると、もはや全然オーストラリア人に見えない)。デンチ御大を始め、登場人物たちがたちどころに心を奪われてしまう女性という設定を、ものすごい説得力で演じている。この映画の彼女は本当に美しくて、これほど魅力的にカメラに捉えられたのは『オスカーとルシンダ』(1998)以来じゃないかと思った。終盤で見せる鬼気迫るエキセントリックな芝居も、デンチ御大の演技スタイルとは好対照で、大先輩とはまた別格の芸をしっかり同画面内で示している。いいものを見せてもらった。

 脚本は劇作家のパトリック・マーバー。主人公のモノローグで始まっておきながら、人称が途中で崩れるので、ちぐはぐな印象は否めない。できるだけ個人の視点だけに絞って、要所でスパイス程度に客観性を挟んでいけば完成度は上がったと思う。女優2人の出番を均等にせよ、というプロデューサー命令でもあったのか。リチャード・エアの演出も含め、この話ならもっと女の怖さや執着心を掘り下げられたと思うのだが、そこら辺を期待するとやや物足りない。前半は山岸涼子の短編漫画みたいでワクワクしたんだけど……。それでも、楽しい戦慄シーンがいっぱいあった。役者の力と、やりすぎなくらいガンガン盛り上げるフィリップ・グラスの音楽で、うまく引っ張っている。前半で期待したほどのパンチには欠けるが、それなりに楽しめる佳作。

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『あるスキャンダルの覚え書き』DVD


監督/リチャード・エア
原作/ゾーイ・ヘラー
脚本/パトリック・マーバー
撮影/クリス・メンゲス
音楽/フィリップ・グラス
出演/ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット、ビル・ナイ、アンドリュー・シンプソン

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