Simply Dead

映画の感想文。

『妖女ゴーゴン』(1964)

『妖女ゴーゴン』
原題:The Gorgon(1964)

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 『凶人ドラキュラ』(1966)が意外とつまらなかったので、テレンス・フィッシャー監督の実力に触れようと思い、ビデオで借りて観た。いや、素晴らしい。テンポもよく、構図とライティングもいちいち決まっていて、美術セットが醸し出すムードも絶品。何よりゴーゴンが怖い。ホントに怖い。レイ・ハリーハウゼンが見事なゴーゴンを作り出した『タイタンの戦い』(1981)を観た後で、はたして拍子抜けせずにいられるだろうかと心配だったが、全くの杞憂に終わった。もちろんクライマックスにはフィッシャーお得意のダイナミックな活劇が展開する、まさに名人芸級の傑作。

 どう考えてもモンスター映画にしかならない題材に、謎解きの要素を取り入れたストーリーがなかなか凝っていて面白い。シナリオを手がけたのは『死体解剖記』(1959)などの監督でもあるジョン・ギリング。おかげでハマー作品には珍しく、ヒロインのキャラクターが特別な印象を残す映画になっている(『凶人ドラキュラ』にも出ていたバーバラ・シェリーが好演)。ラストなんか悲恋ものとしてちょっと泣けるくらいだ。助演に回ったクリストファー・リーの軽妙な味もいい。

▼主演のピーター・カッシング(左)とバーバラ・シェリー
gorgon_hammer_01.jpg

 「恐怖の映画史」の中で黒沢清監督も指摘していたが、「ただそこにいる。それだけで恐怖の対象になる」ゴーゴンは、どこか日本の怪談に出てくる幽霊のようで、テレンス・フィッシャーの演出もなんとなく近年のジャパニーズ・ホラーを思わせる。遠くに立っているだけとか、水鏡にぼうっと顔が浮かんでいるとか。もちろん、その姿を見たら石になってしまうので、なかなかハッキリとは映さない。その一瞬の見せ方にフィッシャー独自の恐怖演出が発揮されており、他作品と比べても新鮮だった。

 そこに禍々しい何かが「いる」ことが、決定的な恐怖をもたらす。接触して危害を加えたりするわけではないが、そいつを目の当たりにした瞬間、破滅する。こうした恐怖シーンを演出し得た西欧圏の監督は、『呪いの館』(1966)のマリオ・バーヴァぐらいだと思っていたが、テレンス・フィッシャーも見事にやってのけていたのだ。

▼フランス版ポスター
gorgon_poster.jpg


監督/テレンス・フィッシャー
製作/アンソニー・ネルソン・キーズ
原案/J・リュエリン・デヴィン
脚本/ジョン・ギリング
撮影/マイケル・リード
音楽/ジェームズ・バーナード
出演/ピーター・カッシング、クリストファー・リー、バーバラ・シェリー、リチャード・パスコ、マイケル・ゴッドライフ、パトリック・トルートン、ジャック・ワトソン

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