Simply Dead

映画の感想文。

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『ペイバック』(1999)

『ペイバック』
原題:Payback(1999)

Payback-Poster.jpg

 最近ディレクターズ・カット版のDVDがアメリカで発売されたというので、公開時に観て以来、久々に再見。封切当時すでに「監督が途中降板し、より一般向けにするため再撮影・再編集が施された」という話は聞いていた気がする。ピカレスク・バイオレンス小説の名作『悪党パーカー/人狩り』を原作にしといて「一般向けに」も何もないもんだけど……とはいえ予告編の印象がわりとよかったし、原作も好きだったから、凄く期待して観に行った覚えがある。

 今また見直しても思ったけど、まあ、つまらなくはない。というか、そこそこ面白い。恐れ知らずの悪党がたった1人で犯罪組織を相手取り、あれよあれよと壊滅へと導いていくストーリーはやっぱり痛快だ(しかも、たった7万ドルを取り返すために)。主演のメル・ギブソンが醸し出すタフなギャングの佇まい、非情な眼光は、パルプノヴェル界屈指のアンチヒーロー「悪党パーカー」の名に恥じない(映画での役名はポーター)。グレッグ・ヘンリー演じる下卑たチンピラを返り討ちにするシーンは特にいい。当時売り出し中だったルーシー・リューも魅力的。組織の幹部連中にウィリアム・ディヴェイン、ジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソンといった渋い役者陣を配するセンスも、映画ファンには堪らないものがある(ただしクリストファーソンは公開版のみに出演)。

 監督のブライアン・ヘルゲランドが狙ったモノクローム調の映像は、『セブン』(1995)以降で最も鮮烈なカラーノワールのルックだった。冷たく青く湿気った、アスファルトの街の空気感。その景観同様「ハートのない(Heartless)」悪漢たちの駆け引きには、ダークな笑いが漂い、原作の味をうまく引き出していた。端々に匂う60年代ハードボイルド映画的なムードも効果大だ。

 でも、やっぱりちぐはぐな印象は否めない。特に軽薄すぎる音楽と、余計なナレーション、それに甘ったるいラブストーリーの部分。知ってて観てるせいもあるけど、初見の時よりも違和感がはっきりと分かった。コーヒーショップで女に愛と人生を語る悪党パーカーなんて見たくない。ちなみに追加部分のディレクションは、美術監督のジョン・マイヤーが務めたのだとか(本編の美術を手がけているのはリチャード・フーヴァー)。最近では『ドリーム・ガールズ』(2006)の美術も担当している。

 ちなみに、公開版の中でいちばん面食らった場面で、好きなシーンでもあるのだけど、ウィリアム・ディヴェイン扮する組織のボスが主人公に撃たれるところで、なんかコントみたいな撃たれ方をするのだ。うーっ!みたいな。原作のイメージからペキンパーばりにかっこいい死に様を想像していたので「ええっ」となったのだけど、逆にいちばん印象に残った。ディレクターズ・カット版には残っていてくれるだろうか?

payback_devane.jpg

・Amazon.co.jp
『ペイバック』スペシャル・エディションDVD
原作本『悪党パーカー 人狩り』


監督/ブライアン・ヘルゲランド
原作/リチャード・スターク(ドナルド・E・ウェストレイク)
脚本/ブライアン・ヘルゲランド、テリー・ヘイズ
撮影/エリクソン・コア
美術/リチャード・フーヴァー
追加部分演出/ジョン・マイヤー
音楽/クリス・ボードマン
出演/メル・ギブソン、グレッグ・ヘンリー、マリア・ベロ、ウィリアム・ディヴェイン、デボラ・カラ・アンガー、ルーシー・リュー、ジェームズ・コバーン、クリス・クリストファーソン、ビル・デューク、ジャック・コンリー、デイヴィッド・ペイマー

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