Simply Dead

映画の感想文。

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『スティック・イット!』(2006)

『スティック・イット!』
原題:Stick It(2006)

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〈おはなし〉
 優れた体操選手として将来を嘱望されながら、なぜか世界選手権を途中棄権し、体操から足を洗った少女ヘイリー(ミッシー・ペレグリム)。無軌道な生活を送っていた彼女は、度を越した自転車スタントのせいで警察の厄介になり、裁判所命令で鬼コーチ・ヴィッカーマン(ジェフ・ブリッジス)の強化学校へ。年下の選手たちから裏切り者と疎まれながら、再び過酷なトレーニングに身を投じるのだったが……。

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 傑作。『チアーズ!』(2000)の脚本家ジェシカ・ベンディンガーの初監督作で、体操の世界を題材にしたスポーツ青春コメディ。デビュー作らしい活きのよさ、女性ならではの勝気さに溢れた快作だった。しかも単なるスポ根ムービーに終わらず、競技ルールに対して痛烈な批判を食らわせるラディカルな作品になっている。大体こういうジャンル映画は協会からの援助・協力を得て作られるから、彼らに喧嘩を売るような内容にはならないものだが、本作では劇中、ヒロインのモノローグとして歯に衣着せぬ本音がズバズバ。「体操で大事なのはまず競技のバカバカしさと向き合う精神力」「選手にとって最大の敵は審判員たちの嫉妬」などなど。それが気持ちいい。

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 主演のミッシー・ペレグリムは“第2のヒラリー・スワンク”という呼び名がぴったりのゴツイ顎の持ち主ながら、ふてぶてしさと可愛らしさを兼ね備えていて、演技力も抜群。リンダ・フィオレンティーノにも似てるか? 何より目を見張るのは鍛え上げられた肉体美。肩と腕、腹筋の逞しさはまるでエヴァンゲリオンだ。学園青春映画には可憐な美少女が不可欠! と固く信じている人は受け付けないかもしれないが、真実味という面で見れば非常に納得の行くキャスティング。パワフルなアクロバットで目を奪いつつ、探していたものと巡り逢うヒロインの心の機微を軽やかに演じていて素晴らしい。

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 ジェシカ・ベンディンガー監督は体操という特殊なスポーツの偏った採点制度に異を唱えつつ、華麗でパワフルな技の数々を魅力たっぷりに映し出す。体育館をフラットな光とカラーデザインで構成されたグラフィックな空間として捉え、GAPのCMみたいな映像の遊びをたくさん盛り込んでいるのが上手い。新人らしい初々しさと何物も恐れぬ(?)バイタリティで突き進む一方、新人らしからぬ達者な語り口でも魅せてくれる。Digital Kitchen制作のかっこいいオープニング・アニメーション(いかにもMac感覚な)から、間髪入れず畳み掛ける導入部の鮮やかさにはノックアウト必至。

 また、若者たちを見つめる視線にも嫌味がなく、辛辣さもあくまで同じ地平に立ったシニシズムで、彼らへの共感と愛情が伝わってくるのがいい。特に、体操一筋だったタカビーな女の子(ヴァネッサ・レンジーズ)が、初めてボーイフレンドができた途端に舞い上がってキャラが変わっちゃう描写なんかは、やっぱり女性監督にしか描けない可愛さだと思う。

 まあ難点がないわけではない。少女たちが自由にのびのびと体操技を披露するクライマックスが、それほどかっこよくないのはご愛敬。似てるのは『プレタポルテ』(1994)のラストかな? それでもきっちり感動させてくれる、近年の青春映画のなかでもベストの1本だ。考えの読めない鬼コーチに扮するジェフ・ブリッジスの妙演も見どころ。

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『スティック・イット!』DVD


製作/ゲイル・ライオン
監督・脚本/ジェシカ・ベンディンガー
撮影/ダリン・オカダ
音楽/マイク・シンプソン
メインタイトルデザイン/Digital Kitchen
メインタイトル創作/メイソン・ニコル
出演/ジェフ・ブリッジス、ミッシー・ペレグリム、ヴァネッサ・レンジーズ、ニッキー・スーフー、マディ・カーリー、ケラン・ルッツ、ジョン・パトリック・アメドリ

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