Simply Dead

映画の感想文。

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『テキサス・チェーンソー ビギニング』(2006)

『テキサス・チェーンソー ビギニング』
原題:The Texas Chainsaw Massacre : The Beginning(2006)

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 別に出来の悪い映画ではないけども、観ている間は何かカンに触って仕方なかった。スティーヴ・ジャブロンスキーのつまらない劇伴音楽が、いかにもマイケル・ベイの映画っぽく始終説明的に鳴っているせいもある。映像だけでもなかなかムードは出していたと思うのに、ありきたりな音付けのおかげで台無しにされているのが残念。

 『ビギニング』というタイトル通り、いろんな始まりを一緒くたに描いているわけだけど(レザーフェイスの誕生、ホイト保安官の誕生、食人一家の誕生、チェーンソーとの出会い等々)、これだけ何もかも一遍に起こってしまうと、かえって浅薄な印象にしか映らない。生活習慣としてそんなに長続きしないんじゃないか、なんて思ってしまう。

 それに、ブッチャーとしての崇高なプライドに憑かれたレザーフェイスや、ひとり強気に狂っているホイトはともかく、他の家族が殺しやカニバリズムを許容していく描写が圧倒的に物足りない。いや別に、殺るか殺らざるか/食うか食わざるかを延々と悩む場面を入れろ、とか言ってるわけじゃない。ただ単に“人をいたぶるのが楽しそうな表情”をちらっと挟めばいいだけなのに。例えば母親が「こんなことして、バチが当たるよ! 警察に捕まったらどうするの!」とか言っておきながら、だんだん「あらあらなんだか楽しそうじゃない?」と笑みを浮かべる瞬間さえあれば完璧だった。なんだかずっとしんねりむっつりしていて、彼らがアメリカ犯罪史上最悪の殺人一家になるという説得力がないのだ。

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 本作はあくまで『テキサス・チェーンソー』(2004)の前章であって、『悪魔のいけにえ』(1977)とは全然別物の映画だから引き合いに出すこともないけど、やっぱり狂気の捉え方が昔とは全然違う。前作からそうだったが、みんな生真面目すぎる。笑いが足りない。オリジナル版でヒッチハイカーは嬉々として自分の掌をナイフで切り裂き、レザーフェイスはキャッキャいいながら暴れる女を肉鈎に引っ掛ける。文句ばかり言うコックだって、結局は「ウヘへ」とか笑いながらヒロインをほうきの柄で突っつき、悲鳴を楽しんでいた。その心の底からわき上がる本物の笑顔こそ、どんな怒号やゴア描写よりも強烈な“狂気”だった。この映画は今この21世紀に、それをきちんと描ける貴重な機会だったはずなのに……。

 R・リー・アーメイの圧倒的怪演に救われているものの、今回もやっぱり当たり前の感性で作られてしまったなあ、という印象が残った。人間の狂気とかをヘンに真面目ぶって描くなら、テキサス以外のところでやってほしい。カナダとか。

 それにしてもジョーダナ・ブリュースターは偉い。『ヒッチャー』(1985)のジェニファー・ジェイソン・リーぐらい頑張っていると思った。


監督/ジョナサン・リーベスマン
製作/マイケル・ベイ、マイク・フレイス、アンドリュー・フォーム、ブラッドリー・フラー、キム・ヘンケル、トビー・フーパー
原案/シェルダン・ターナー、デヴィッド・J・スコウ
脚本/シェルダン・ターナー
撮影/ルーカス・エトリン
プロダクションデザイン/マルコ・ルベオ
編集/ジム・メイ、ジョナサン・チブナル
音楽/スティーヴ・ジャブロンスキー
出演/ジョーダナ・ブリュースター、マシュー・ボーマー、テイラー・ハンドリー、ディオラ・ベアード、アンドリュー・ブリニアースキー、R・リー・アーメイ、リー・ターゲセン、シーアー・バッテン、マリエッタ・マリク、テレンス・エヴァンス、リュー・テンプル

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