Simply Dead

映画の感想文。

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『朝の日課』(2005)

『朝の日課』
原題:Les Matines(2005)

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 2006年のフランス映画祭「短編映画特集」で上映された、アニック・ラウル監督のデビュー作。睡眠障害を抱えたティンパニー奏者の男が、居眠りと目覚めを延々繰り返す姿を、テンポ良く、コミカルに、ちょっぴりホラータッチで描いた傑作だ。上映時間16分。主演はアルノー・デプレシャン作品や『ミュンヘン』(2005)などでおなじみの個性派俳優マチュー・アマルリック。ストレスとプレッシャーと堪えがたい眠気に襲われる男の不安と焦燥を、絶妙に演じている。

 今、自分が起きているのか夢を見ているのか、現在なのか過去なのか、時間感覚も掴めないままに、主人公は失態を犯す恐怖に怯え続ける。その姿は滑稽で、哀しく、だんだん身につまされてくる。自分も居眠りしないと仕事できないたちなので、この恐怖感はちょっとリアルだった。主人公がティンパニー奏者で、ラベルの「ボレロ」を演奏中というコミカルな設定は、やはりパトリス・ルコント監督の短編『パトリス・ルコントのボレロ』(1992)へのオマージュなのだろうか。出来は本作の方が数段上だけど。

 映像は非常にシャープで美しく、リズミカルに場面転換を畳みかける演出も快い。アニック・ラウル監督は元々、短編映画の編集者出身らしく、どうりで意識の飛躍を繋いでいく手際が素晴らしい。フラッシュバックを繰り返す複雑な構成を無駄なく見せていく語り口が、実にお見事。デジャヴのように繰り返される台詞も、シンプルでセンスがいい。映画祭で併映された他の短編と比べても、図抜けた作品だった。次回作がとても楽しみだ(でも日本で観られるのかなぁ……)。


製作/セバスチャン・ド・フォンセカ
監督・脚本/アニック・ラウル
撮影監督/クロード・ガルニエ
出演/マチュー・アマルリック、マリー・デグランジェ
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