Simply Dead

映画の感想文。

『ギターのレッスン』(2006)

『ギターのレッスン』
原題:La Lecon de guitare(2006)

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 今年のフランス映画祭の「短編映画特集」は、去年に比べてやや物足りない印象だった。『湖・ビーチ』『下り坂でブレーキをかける方法』『白いオオカミ』などの佳作もあったけど全体的に地味な作品が多く、2006年が結構バラエティに富んだラインナップだった分、ちょっと損した感じ。でも、トリを飾ったマルタン・リ監督のデビュー作『ギターのレッスン』は、将来有望なものを感じさせる秀作だった。ちなみに監督の名は英語読みするとマーティン・リット(!)。楽器店のオヤジ役で、映画作家のリュック・ムレを出演させたりしている。

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〈おはなし〉
 寂しい一人暮らしをしている中年男(セルジュ・リアブキン)が、ある日ふと見かけたギター教室の広告。いちばん安いギターを買って向かった先は、普通のアパートの一室だった。講師は自分よりずっと年下の青年(セバスチャン・モラン)。歳の離れた男2人はテーブルを挟んで向かい合い、セルジュ・ゲンズブールの「レティシア(邦題:おかしなタイプライター)」を課題曲にギターのレッスンを始める。部屋には数人の女が出入りし、中年男はいろいろ勘ぐってしまいながら、練習に打ち込むのだった……。

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 約18分の上映時間に映し出されるのは、日常の中にうっすらと漂うペーソスとユーモア。監督は言葉少なに簡潔なカットを重ね、ほのかな感動をもたらすラストに向けて、淡々と心の流れを構築していく。まあ言ってしまえば『Shall we ダンス?』や『スウィング・ガールズ』などとも同じ感動なのだけど、本作はそこに加えたひと工夫が面白い。およそモチベーションの上がらない状況で、どうやって主人公が奮起していくか?

 「青年と住んでいる女の子の名前もレティシア」「そして彼女は泣いていた」……主人公の前には限られた情報しか提示されず、観客も彼の視点でしか事情を推し量ることができない。ストーリーにちょっとした人間心理の観察実験的な要素を織り込む辺り、なかなか巧い。そんな主人公(と観客)のモヤモヤした思いは、ラストでさりげなくも鮮やかに感動へと昇華する。愛の賛歌というかたちで。

 やっぱり、選曲勝ちかな。

 ちなみに「レティシア」原曲はここ↓でダウンロードできます。
http://www.emp3world.com/mp3/83589/Serge%20Gainsbourg/Laetitia

監督・脚本/マルタン・リ
出演/セルジュ・リアブキン、セバスチャン・モラン、ポーリーン・モラン、リュック・ムレ
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