Simply Dead

映画の感想文。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『パフューム ある人殺しの物語』(2006)

『パフューム ある人殺しの物語』
原題:Perfume -The Story of A Murderer-(2006)

dasparfum00.jpg

 パトリック・ジュースキントのベストセラー小説を、『薔薇の名前』(1986)や『ヒトラー/最期の12日間』(2004)などで知られるドイツのプロデューサー、ベルント・アイヒンガーが映画化した話題作。これがなかなかの出来栄え。悪意とユーモアが等しく滲む風変わりな文芸スリラーとして楽しめるし、プロダクションデザインに金をかけた贅沢な画作りも見応えがある。それでいて商業性もちゃんと備えており、それこそ『薔薇の名前』を想起するくらい、バランスよくまとまっていた。『ヒトラー?』同様、アイヒンガー自身が脚本にも名を連ね、よっぽど手間暇かけて企画を練ったんだなぁというのが画面からも伝わってくる。ドイツ国内の若手監督に国際的規模の大作の現場を経験させてやろうという心意気もあり、いい意味でのプロデューサー主導型映画だった。

▼ダスティン・ホフマンとはしゃぐ製作者アイヒンガー
dasparfum02.jpg

 今回、監督に抜擢されたトム・ティクヴァは、予想以上にこなれた演出で、物語の魅力を損なうことなく長尺をもたせている。いくつかの場面ではハッとさせる映像センスも発揮していて、ちょっと感心した。エログロ趣味は極力控え、変態性の部分ではいたってオーソドックスだけれども、おかげで一般受けしやすいスマートな映画に仕上がっている。その上で、物理法則的運命論とでもいうような自分の作家性もそこはかとなく示しているのが偉い。主人公にかかわった人間が物語上の役目を終えた途端にコロコロ死んでいく辺りにそれが顕著だ。単なる雇われ仕事以上に演出がノッているのは、原作との相性がよかったからだろう(その点もプロデューサーの慧眼だ)。

 役者も皆いい。主役に抜擢されたベン・ウィショーは、神の子のようで悪魔でもある特異なキャラクターを巧演。彼に教えを授ける調香師役のダスティン・ホフマンは明らかにその鼻のインパクト(笑)で配役されたと思しいが、のびのびと儲け役を楽しんでいる様子。文芸作品への登板は珍しいだけに、魅力的なキャスティングだ。主人公に魅入られるヒロイン、レイチェル・ハード=ウッドの美しさにも息をのむ。(それにしてもトム・ティクヴァの「赤毛の女」に対するオブセッションを、ここまで大っぴらに見せられるとは思わなかった。軽く赤面モノだ)

dasparfum03.jpg

 個人的にいちばん感激してしまったのは、ナレーターがジョン・ハートだったこと。『コレリ大尉のマンドリン』『ドッグヴィル』『マンダレイ』などに続く語り部仕事だが、“小説より奇なる事実”を淡々と語るにはうってつけの声である。

 ヨーロッパ謹製の堂々たる大作が少ない中、こういう毒と風格を両立させた文芸娯楽大作の登場は嬉しい。こういうものこそ劇場で観なければ勿体ないと思う。


製作/ベルント・アイヒンガー
監督/トム・ティクヴァ
原作/パトリック・ジュースキント
脚本/アンドリュー・バーキン、ベルント・アイヒンガー、トム・ティクヴァ
撮影/フランク・グリーベ
美術監督/ウーリ・ハニッシュ
音楽/トム・ティクヴァ、ジョニー・クメリック、ラインホルト・ハイル
演奏/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮/サイモン・ラトル
出演/ベン・ウィショー、ジョン・ハート(ナレーター)、アラン・リックマン、ダスティン・ホフマン、レイチェル・ハード=ウッド

・Amazon.co.jp
『パフューム ある人殺しの物語』プレミアム・エディションDVD
『パフューム ある人殺しの物語』スタンダード・エディションDVD
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://simplydead.blog66.fc2.com/tb.php/133-f4cf5a8a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。