Simply Dead

映画の感想文。

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『石の微笑』(2004)

『石の微笑』
原題:La Demoiselle d'honneur(2004)

Demoiselledhonneur00.jpg

 静かに鳴り響き続ける悪意のトーン。それがクロード・シャブロル監督の作品に抱く個人的なイメージですが、久々に劇場公開される新作『石の微笑』も、まさにそんな音色に貫かれた映画でした。原題は原作タイトル「The Bridesmaid(花嫁付添人)」の仏訳。

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〈おはなし〉
 とある閑静な住宅地。ハンサムな青年フィリップ(ブノワ・マジメル)は地元で堅実な職に就き、美容師の母親や妹たちと同居している。そんな彼に人生の転機が訪れた……妹の結婚式に付添人として現れたセンタ(ローラ・スメ)と出会ったのだ。二人は瞬く間に恋に落ち、情熱的な愛を交わす。

 付き合い始めてからしばらくして、センタは二人の愛の証として「殺人」を提案する。彼女の少々エキセントリックな言動を愉しんでいたフィリップは、ちょっとした嘘をついてセンタを歓ばせようとするが……。
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 監督は今回もまた随所にコミカルな悪意を忍ばせ、小気味よくシーンを畳み掛けながら、観客を犯罪心理の現場へと巧みに導いていきます。ルース・レンデルの小説をもとにしたプロットも無駄なく出来ていますが、それよりはシャブロル独特のこなれた語り口を楽しむべき。キレのいいカメラワークと編集、そして美しく不穏な音楽に乗せられつつ、終始ニヤニヤ笑いが止まない逸品です。意地の悪い人でなくとも楽しめる笑いも用意されているので、ご安心を。

Demoiselledhonneursmet.jpg

 今回の作品で特に強烈なインパクトをもたらすのが、ヒロイン・センタを演じるローラ・スメ。初登場シーンからとんでもなくヤバイ感じを発散させていて、思わず悲鳴を上げたくなります(嬉しさのあまり)。「この女と関わってはいけない」と即座に思わせつつ、決して目を反らすことのできない女の妖気が、そのワンシーンで強烈に描かれています。実際、映画が進行するにつれて、最初は野暮ったい印象の彼女がだんだんと美しくなっていくのです。この辺の撮り方の巧さはさすが。彼女の存在感のおかげで、シャブロル絶頂期の諸作群『女鹿』『肉屋』などに漂っていた、濃密なムードが甦ったように感じました。

 危険な愛にのめり込んでいく主人公ブノワ・マジメルの演技も絶妙。感情が表に出ない、ちょっぴり不審な佇まいは程良くユーモラスで、シャブロル演出への深い理解を示しています。息子に依存気味な母親を演じるオーロール・クレマンの好演も印象的。また、『野獣死すべし』や『Nada』などに主演したシャブロル作品の常連俳優ミシェル・デュショーソワが、気のいい浮浪者という役で久々に顔を見せています。

 ちなみにローラ・スメは、女優ナタリー・バイの娘(父親は歌手のジョニー・アリディ)。ブノワ・マジメルはシャブロル監督と組んだ前作『悪の華』(2003)でナタリー・バイの息子役を演じていたので、シャブロル作品で立て続けに母娘と共演したことになります。そんな関係を思い出せば、劇中にたびたび映し出される濃厚なラブシーンも、よりビザールに見えてくるかも……。

・Amazon.co.jp
DVD『石の微笑』


製作/パトリック・ゴドー、アントニオ・パサリア
監督/クロード・シャブロル
原作/ルース・レンデル
脚本/ピエール・レシア、クロード・シャブロル
撮影/エドゥアルド・セラ
音楽/マチュー・シャブロル
出演/ローラ・スメ、ブノワ・マジメル、オーロール・クレマン、ベルナール・ル・コク、ソレーヌ・ブトン、アンナ・ミハルシア、シュザンヌ・フロン、ミシェル・デュショーソワ

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