Simply Dead

映画の感想文。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『Gガール 破壊的な彼女』(2006)

『Gガール 破壊的な彼女』
原題:My Super Ex-Girlfriend(2006)

mseg_poster.jpg

 まず心の財布は空っぽにしてから観た方がいい。そうすれば観終わった後、嵐にかき回された胸の底に、幾ばくかの小銭は残されているかもしれない。簡単に言うと「面白いところもあるけれど微妙」なコメディだった。

 嫉妬深くてタチの悪い元カノがもしスーパーガールだったら? という設定だけでもいいアイディアだと思うが、それをほとんどセックス中心の笑いに絞ったのが本作の新味。それはいいのだけど、なら艶笑喜劇としてもっとやりようがあったのでは……実際の映画は、呆気にとられるほど何もかもあけすけで、含みもないし洒落た感じもない。何より台詞がアンマリ酷すぎる。ダグ・リーマン監督の『Mr.&Mrs.スミス』(2005)もそうだったが、直截すぎて逆に不感症っぽいのだ。ビリー・ワイルダーが草場の陰で泣いている、とか分かった風な口もたたきたくなる。

 監督はアイヴァン・ライトマン。コメディ映画のベテランらしい冴えた演出も随所に見せてくれるが、的外れなところも少なくない。「やっぱりカナダ人に喜劇は作れないのか」とか「そもそも80年代にハリウッド喜劇を堕落させたのはこの人では?」とか、いろいろ不安に駆られてしまうが、それでもテンポのいい語り口に持ち前の才能を発揮することもあって、一概に否定できないところがまた微妙。少なくともドナルド・ペトリー監督の『ラッキー・ガール』(2006)に覚えた唾棄すべき嫌悪感に比べたらずっとマシなのだけど。

 ここで大きな効力を発揮しているのが、主人公ルーク・ウィルソンの間抜け面である。才人オーウェン・ウィルソンを実兄とするウィルソン3兄弟の末っ子であり、数々の映画で人気女優の噛ませ犬を努めてきた彼の“顔力”が、本作ではフルに活かされている。観ているうちにヒロインよりも彼の顔を見る楽しみにシフトしていったくらいだ。

 そう、意外にもこの映画はヒロインが魅力的でない。とにかくユマ・サーマンが怖い。怒れるスーパーガール役なんて非日常的な美女サーマンにはぴったりだし、現に前作の『プロデューサーズ』(2005)では若干不似合いなセクシー美女も強引に演じてみせた。しかし、すでにのっけから情緒不安定な狂女である「Gガール」のキャラクターに、甘い魅力を持たせるほどのスキルはなかった。エロくもないし、可愛くもない。強いて言えば「強そう」だが、それよりはやっぱり「怖い」。まあその開き直り方は素晴らしいと思うのだけど、イロモノ路線を突き進むにはチト早い気が……。

 対する真のヒロイン、アンナ・ファリスはやっぱり可愛かった。傑作『ホット・チック』(2002)からずっとファンで、本作のキャスティングも「あー分かってるなぁ」という感じ。悪役エディ・イザードも相変わらず芸達者なところを見せてくれる。

mseg_three.jpg

 期待外れの凡作と一蹴するには惜しい映画ではある。ドン・ペインのシナリオは着想のよさを棒に振っているが、ひねた観客に易々と「俺ならこうするぜ!」とも思わせない一方的な勢いがある。いろんな部分で際どい作品だが、いちばんギリギリなのはエンドタイトルのアニメ。ちょっと本気でヤバイ感じが漂っていて、軽い戦慄が背筋を走った。ちなみに手がけたのは『ハルク』『運命の女』『親切なクムジャさん』などのオープニングタイトルを作ったyu+co.……大丈夫か?

・Amazon.co.jp
『Gガール 破壊的な彼女』DVD


製作/アーノン・ミルチャン、ギャヴィン・ポローン
監督/アイヴァン・ライトマン
脚本/ドン・ペイン
撮影/ドン・バージェス
出演/ユマ・サーマン、ルーク・ウィルソン、アンナ・ファリス、エディ・イザード、レイン・ウィルソン

スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://simplydead.blog66.fc2.com/tb.php/127-33e629cd
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。