Simply Dead

映画の感想文。

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『マリー・アントワネット』(2006)

『マリー・アントワネット』
原題:Marie Antoinette(2006)

m-antoinette_poster.jpg

「ねえパパ、どうすれば一人前の映画監督になれるの?」
「そうだねえ……王国を作れば本物だよ」

 というわけで、とりあえず王国への第一歩としてベルサイユ宮殿に乗り込んだソフィア・コッポラ初の大作。TVアニメ版『ベルサイユのばら』を熱中して観た身としては、見逃すわけにいかない(まあ仕事だったけど)。

 夢みたいな映画だった。アメリカに住んでる普通の女の子が、たまたまマリー・アントワネットになった夢を見ているような映画。何しろ演じているのがキルスティン・ダンストなのだから、リアルな史劇とは絶対に思えないし、「逆にリアル」とかも有り得ない。実際、ヒロインが目覚めるシーンから映画は始まる。つまり起きたら自分がマリー・アントワネットになっていたのだ。きっとホンモノもそういう心境だったんじゃないの? というのが監督の主張であろう。

 ヒロインが台詞を暗記したような口ぶりでしか喋れないのは、きっと歴史の授業の課題図書で読んだことだから。口うるさい教育係のノアイユ伯爵夫人は、現実では学校の生活指導員とかなんだろう。お目付け役のメルシー伯爵は、心配性のお父さん。ルイ16世はクラスにいる変わった男の子(天才マックス?)で、フェルゼンはさしずめ気になるジョックスか雑誌で見たイケメンモデル。

 映画には終始、地に足のつかない浮遊感が漂う。悲しい終わりを予期しているかのような、他人事のような現実感のなさ。その感触は面白かった。カメラは女の子の感覚的なリアリティにはべったり寄り添うが、ヒロインの目に入らないことは全然映さない。時代背景とか革命への動きとかは皆無。

m_antoinette.jpg

 一時の華やかな夢が終る時、映画も終わる。本当の悲劇は、彼女の夢が最後に覚めなかったことだと思うが、さすがに斬り落とされた首までは見せてくれない。しかし、ラストカットの寂寥感は、この映画のすべてを象徴していると思う。キュートでポップでゴージャスなガーリー・ムービー(なんだその言葉)を期待した観客は、全編に漂うもの寂しさに戸惑うだろう。

 いわゆる「悲劇の王妃を普通のティーンエイジャーとして描く」というアプローチとも違って、本作はもっとメタな映画に仕上がっている。その図式は、キルスティン・ダンストがマリー・アントワネットを演じている(そして、ソフィア・コッポラがベルサイユ宮殿でマリー・アントワネットの映画を撮っている)という現実の非現実感に重なるものだ。

 だから映画としては結構、面白いと思う。音楽の使い方も、目新しくはないけど効果的(たまに本当にバカなんじゃないかと思う選曲もあって笑った)。まあ何度も言うけど史劇として観るものではまったくないし、予告編とか見た時点で、そんなこと期待して観に来る人はまずいないと思うけど。

 ただ、アントワネットが別邸に移る後半辺りから、眠気を誘うシーンを連続させてしまうのが難点。やっぱりそこで巧く畳み掛けられてこそ一人前の……とか、アニメ『ベルばら』の見事な演出を知っているだけに、つい文句を言いたくなってしまう。首飾り事件までバッサリ切っておいて123分というのは長すぎる。

marieantoinettepube.jpg

 出演者の中では、メルシー役のスティーヴ・クーガンがよかった。儲け役だし。アーシア・アルジェント演じるマダム・デュバリーは、やりすぎ。観る前まではぴったりだと思ってたけど。たった1カット出演で全て持っていくマチュー・アマルリックが地味に凄かった。


製作総指揮/フランシス・フォード・コッポラ、フレッド・ルース
監督・脚本/ソフィア・コッポラ
原作/アントニア・フレイザー
撮影監督/ランス・アコード
第2班監督/ローマン・コッポラ
出演/キルスティン・ダンスト、ジュディ・デイヴィス、ジェイソン・シュワルツマン、スティーヴ・クーガン、リップ・トーン、マリアンヌ・フェイスフル、アーシア・アルジェント

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