Simply Dead

映画の感想文。

『ラッキーナンバー7』(2006)

『ラッキーナンバー7』
原題:Lucky Number Slevin(2006)

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 随所にトリックを仕掛け、観客の先読みを許さないピカレスク・スリラー。前半は軽妙さと非情さが入り混じるユーモアミステリ・タッチだが、監督が『ギャングスター・ナンバー1』(2000)のポール・マクギガンなので最後まで洒脱な感じでは終わらない。後半はかなり血生臭い復讐譚と化す。監督の本領が発揮されているのはやはりその部分だろうが、それまでの楽しさが失われてしまうのは惜しい。美術的にも、凝った壁の模様などは面白いが、プロダクションのスケールは『ギャングスター・ナンバー1』に比べて落ちた気がする(出演者のギャラだけで使い果たした?)。

 シナリオは神経質なまでに伏線と目くらましを施すことに腐心しており、過剰なまでにネタ振りやフラッシュバックを繰り返す。そうすると観客はどうなるか……どうでもよくなるのだ。それを防ぐためにも、もっと早めに主人公を登場させるべきだった。どんでん返しに凝るあまり、ゲーム全体の進め方をしくじった感は否めない。

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 とはいえキャストの豪華さだけでも、本作は十分に魅力的。やっぱりジョシュ・ハートネットはいい。『ブラック・ダリア』(2006)に続いて、ここでも達者な好演を見せている。ちょっぴり抜けた普通の青年と思わせて実は……という役柄は『殺人狂時代』(1968)の仲代達矢を連想させるが、見た目も演技も当然グッと爽やか。黒目ばっかりの眼と、寝ぐせアタマが母性本能をくすぐる? この映画ではそんな彼の好青年ぽいイメージを巧く利用している。驚くべきはルーシー・リューの可愛さ! 今までこんなにキュートな彼女を見たことがあったろうか、と思うくらい。まるでエド・マクベインの『ダウンタウン』に出てくる女の子みたいだ(まあ思ったほどは面白くない小説だったけど)。まあ個人的に『チャーリーズ・エンジェル』でもあの3人の中ではいちばんマシだと思ってたぐらいだから、他の人がどう感じるかは知らない。

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 一方、悪党どもに魅力がないのは致命的。敵対しあう組織のボスに扮したモーガン・フリーマンとベン・キングスレーは、部屋に閉じこもっているだけでほとんど凄みを見せずに終わってしまう。そのため、あっち行って会話、こっち行って会話の繰り返しになる前半は、かなり眠かった。ラストの死にざま勝負では当然のごとくキングスレーに軍配が上がる。ブルース・ウィリスの存在感はもうミステリアスというより気色悪い。『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)でガンプの親友になる黒人兵を演じたミケルティ・ウィリアムソンが、またしても変な顔で笑いを取る役で出演。

 Slevinという奇妙な言葉を含んだ原題がなかなかそそるが、さほど意味のある使われ方をしていなかったのが残念。ビデオで観れば拾い物かも。


監督/ポール・マクギガン
脚本/ジェイソン・スマイロヴィク
撮影/ピーター・ソーヴァ
出演/ジョシュ・ハートネット、ルーシー・リュー、モーガン・フリーマン、ベン・キングスレー、スタンリー・トゥッチ、ブルース・ウィリス

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