Simply Dead

映画の感想文。

『マカオ』(1952)

『マカオ』
原題:Macao(1952)

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 ジェーン・ラッセルとロバート・ミッチャムが共演した、オリエンタルムード溢れる娯楽作。制作はハワード・ヒューズ率いるRKOピクチャーズで、監督は『モロッコ』(1930)のジョゼフ・フォン・スタンバーグ(しかし撮影中に途中降板し、ニコラス・レイがその後を引き継いだとか)。

 楽園と地獄の顔を持つ町マカオへ向かう船上で出会った、謎めいたクラブ歌手の美女と、ハンサムな流れ者。ふたりはそれぞれ悪玉・善玉を相手に立ち回りながら惹かれ合って行く。セットなどに予算はかかっているが、仕上がりはライト級ノワールといった小品で、尺も80分とコンパクト。楽しむべきはラッセルとミッチャムの艶っぽいやりとりであり、見事な美術とライティングで再現された異国情緒。もちろんメインキャストの出演場面はマカオでロケ撮影などしておらず、全てスタジオ撮影とスクリーンプロセスで賄われている(合間の実景は別班撮り)。

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 ダイアログはいちいち捻ってあって面白いが、おはなし自体は大したことない、というかサスペンス的にはかなり手抜きな印象。悪役に魅力がないのがなんとも惜しい。つまらないアメリカ人に設定するより、どうせなら外国人俳優に演じさせればよかったのに。マカオの現地人は大体、クルピエか老人か殺し屋しか出てこない。

 さほど面白い筋とも言えないのについ見入ってしまったのは、ロバート・ミッチャムのキャラクターが魅力的だったから。若い頃のミッチャムはなんとなくボーッとした呑気な感じがあって、実はキレ者なのか、本当にちょっとナイーブ(うぶ)なのか分からない。特筆すべきは後者の要素。喜劇以外でそういう味を醸し出すのはわりと難しいが、本作のミッチャムは良い意味でハンパな人間味がよく出ていた。

 当時の全アメリカ男性を悩殺したジェーン・ラッセルの美貌は、本作でも過剰にスパークしている。顔立ちのせいか、ガタイのしっかりしたイメージがあるけど、フルショットで映るとあまりのスタイルの良さに驚愕してしまう。ブラが透けて見える黒のシースルードレスなど、豊富なワードローブの着せ替えも目に楽しい。

 夜の波止場で繰り広げられる主人公と殺し屋の追っかけシーンは、かなりノワールムード濃厚な名シーンだ。どこがスタンバーグでどこがニコラス・レイなのか、といった演出の違いは、ちょっと勉強不足なものでよく分からない。しかし、ラッセルとミッチャムがホテルの部屋で喧嘩する場面で、鬼気迫る面持ちのラッセルが扇風機を手にじりじりとミッチャムを追いつめる(そして枕が切り裂かれて羽毛が舞い散る)というような描写を、スタンバーグがやるかなあ? とは思った。


監督/ジョセフ・フォン・スタンバーグ、ニコラス・レイ(ノークレジット)
製作/アレックス・ゴットリーブ
原案/ロバート・クレイトン・ウィリアムズ
脚本/スタンリー・ルービン、バーナード・C・ショーンフェルド
撮影/ハリー・J・ワイルド
音楽/アンソニー・コリンズ
出演/ジェーン・ラッセル、ロバート・ミッチャム、グロリア・グレアム、ウィリアム・ベンディックス、トーマス・ゴメス、ブラッド・デクスター


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コメント

Macao 1952

はじめまして、こんにちは。
マカオからのカガヤキと申します。
先日、Macao 1952という映画を見て、当時のロケ地と今のマカオの比べるといろいろ変わっていて関心しました。

それから、ネットでその映画の情報を調べてみたら、このブログを拝見させていただきました。

もしもよければ、ぜひうちのブログにも着てください、よろしくお願いします。

Macao (1952)「映画」 カガブログ新館「マカオ」
http://kagayakikun.com/2011/03/29/macao-1952/

カガヤキさま
こんにちは。書き込みありがとうございます。
ブログ拝見しました。いろんな記事があって読み応えありますね。じっくり読ませていただきます。
『マカオ』は古い映画なので、今の現地をよく知る方が観たら、また全然違う面白さがあるでしょうね。最近のマカオといえば『エグザイル/絆(放・逐)』など、ジョニー・トー作品の印象が個人的には強いです。

  • 2011/04/22(金) 16:49:03 |
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  • グランバダ #-
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