Simply Dead

映画の感想文。

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『エル・ゾンビIII 死霊船大虐殺』(1975)

『エル・ゾンビIII 死霊船大虐殺』
原題:La Noche del Maldito
英語題:Ghost Galleon(1975)

ghost_galleon_dvd.jpg

 スペインのアマンド・デ・オッソリオ監督による“ブラインドデッド”シリーズの第3作。盲目のミイラとなった騎士団が現代に蘇り、人々を血祭りにあげる。最近、日本でもDVDが発売されたが、その前に買ってあった北米盤で観た。

 今回の舞台は海の上。わりと凝った(というか回り回った)ストーリー展開で、今村昌平の映画みたいな欲まみれの男女グループが幽霊船に乗り込み、待ち構えていたブラインドデッドたちの餌食となる。なんら感情移入を許さないキャラクター描写は好悪の分かれるところだろうが、最も人間的な感情を持ち合わせた人物が最も酷い目に遭うという作劇の姿勢は明確で、いっそ清々しい。

 ドラマとして面白く見せようという努力もあるし、幽霊船とブラインドデッドの組み合わせも非常に不気味な効果を醸し出している。襲撃シーンが意外と少ないのは物足りないが、その分ひとつの場面が執拗に描かれる。レズビアンの恋人を助けに来た女性モデル(バルバラ・レイ)が殺されるシーンがそれだ。

ghost-galleon-blood.jpg

 襲い来る死者たちは逃げようと思えば逃げられるほどスローだが、被害者は恐怖のあまり這うようにしか動けない。このシリーズにおいて緩慢さはスリルと同義語であり、オッソリオは「それこそ人間のリアリティである」とでも言いたげだ。鋭い骨の指先に捕えられた哀れなブロンド美女は、ゆっくりと引きずられ、ゆっくりと解体され、ゆっくりと貪り喰われる。ロメロ・ゾンビに勝るとも劣らないえげつなさで、スキモノの心を捕える名場面だ。スローなムード演出の果てに歯止めの利かない残虐描写が待ち受けているのがオッソリオ演出の真骨頂である。きっと、台の上に縛られた007の股間にレーザー光線が迫ってきても、オッソリオならジェームズ・ボンドが真っ二つになるまでカメラを回すだろう。

 どうもシリーズ中では最も人気のない1本らしいが、個人的には結構好き。何より画が魅力的だ。霧深い夜の海、朽ちた甲板の上を髑髏騎士団が歩み寄ってくるビジュアルは、ジョン・カーペンターの秀作『ザ・フォッグ』(1979)にそのまま受け継がれている。たとえクライマックスで業火に呑み込まれる幽霊船のミニチュアがあまりにチャチくても、その後に待ち受ける鬼のようなエンディングが溜飲を下げさせてくれる。こちらも最高のビジュアルだ。


監督・原案・脚本/アマンド・デ・オッソリオ
撮影/ラウル・アルティゴット
音楽/アントン・ガルシア・アブリル
出演/マリア・ペルシー、ジャック・テイラー、バルバラ・レイ、カルロス・レモス、マヌエル・ド・ブラ、ブランカ・エストラーダ

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・DVD Fantasium
『エル・ゾンビIII 死霊船大虐殺』DVD(US盤)
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