Simply Dead

映画の感想文。

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『ギャングスター』(2002)

『ギャングスター』
原題:Gangsters(2002)

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〈おはなし〉
 パリ。一人の犯罪者と娼婦が逮捕される。捕まった男フランク(リシャール・アンコニナ)は、先夜に発生したストリップクラブでの銃撃強盗事件の重要証人と目されていた。修羅場と化した現場からは8千万フラン相当のダイヤが消え、その在拠を知るのは恐らくフランクただ一人。

 フランクは潜入捜査官である。運悪くダイヤ強奪に巻き込まれてしまったが、店を出た直後にダイヤを横取りしようとした覆面の武装集団こそ、フランクの追い求める標的だった――裏社会の情報をギャングに流す汚職警官たちである。実行犯は無情に射殺されたが、攻防の末、ダイヤはフランクの手元に残された。

 共に捕まった恋人ニーナ(アンヌ・パリロー)共々、彼らはその正体を明かすことができない。執拗な取り調べを受けながら、フランクは真犯人追及の機会を探るが――。

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 快作『あるいは裏切りという名の犬』(2004)を放ったオリヴィエ・マルシャル監督の長編デビュー作。こちらも警察組織内の腐敗をテーマに、巧妙な語り口で魅せる出色のハードボイルド・サスペンスだ。スケール面では落ちるが、完成度は高い逸品である。

 映画の大部分は警察署内が舞台だが、回想や室外のシーンなどを要所要所に挟み、停滞させずにテンポよく見せきっている。ミステリーを仕掛けていく筋運びも抜群に上手い。捜査する側の刑事たちが逆に取り調べ相手から捜査される、というトリッキーな構図も、殊更に強調せずにさりげなく浮かび上がらせていく。タイトで節度ある演出が快い。

 構造的にはトリッキーだったり、映画的なこだわりも強いが、それ以上に登場人物のキャラクター描写に力が入れられているから、濃密なドラマとしてもバランスが成立している。それぞれにキャラの立った刑事たちの荒んだ面構えがまた素晴らしい。ほとんどチンピラと見分けのつかない若手から、ヤクザのボスにも見える渋いベテランまで、顔の揃え方が天才的だ。『あるいは裏切りという名の犬』でティティを演じたフランシス・ルノーも、粗暴な刑事をそれらしく演じている。

gangsters_couple.jpg

 主演のリシャール・アンコニナは、『シックス・パック』(2000)でもベテラン刑事を演じていたが、個人的には80年代ネオノワールの佳作『チャオ・パンタン』(1983)のイメージが強い。本作ではどこにも寄る辺のない複雑なキャラクターを好演。ヒロインのアンヌ・パリローも、過酷な生き様を自らに課した女を寡黙に力強く演じ、男くさい映画の中で凛とした存在感を放っている。同じ取り調べ室でも『ニキータ』(1990)の不良娘ぶりとは大違いだ。

 『あるいは裏切りという名の犬』を観た人なら嬉しくなるような台詞……「ヴリンクスの事件を覚えてるか?」……も、序盤に出てくるので、お見逃しなく。


監督・脚本/オリヴィエ・マルシャル
撮影/マチュー・ポアロ=デルペッシュ
音楽/アクセル・ルノワール
出演/リシャール・アンコニナ、アンヌ・パリロー、フランソワ・レヴァンタル、ジェラルド・ラロシュ、フランシス・ルノー、アレクサンドラ・ヴァンデルヌート、カトリーヌ・マルシャル

・Amazon.co.jp
『ギャングスター』DVD
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