Simply Dead

映画の感想文。

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2006年に面白かったもの

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2006年に観た新作映画のなかで、とりわけ圧倒されたのは次の6本。

『カーズ』
『デビルズ・リジェクト』
『トゥモロー・ワールド』
『父子』
『鉄コン筋クリート』
『あるいは裏切りという名の犬』

 『カーズ』は本当にコレデモカというくらい泣かされた傑作。失われつつあるアメリカン・スピリットへの愛をストレートに謡った、珠玉の米国映画という感じがしました。『デビルズ・リジェクト』も同様の名作。こちらは苛烈な暴力の衝突をもって反骨と自由を叫ぶニューシネマ。見事に表裏をなす2本だと思います。

 『トゥモロー・ワールド』は、希望の映画である前に、どこまでも為す術のない絶望の映画。非力な一般市民の視点から、戦場を駆け抜ける緊迫感を手加減抜きに描き、そのために駆使された映像技術も鮮烈でした。世界中のほとんどの女性が活力を失った終末感というのも新鮮で、様々な地獄絵図を想像させてくれました。いちばんの不満があるとすればラストで、ジョン・セイルズ監督の『最果ての地』(1999)みたいに終わった方がよかった気がします。そうすれば最後まで、観客に希望を委ねることができたような。

 『鉄コン筋クリート』は、原作に対する作り手の熱狂と愛情が、エンターテインメントとして結実した秀作。絵的な面白さも文句なし。ちゃんと観終わった後に浄化作用があり、シンプルで素直な映画として残りました。蒼井優の演技も素晴らしかったです。

 パトリック・タム監督の復帰作『父子』で何より圧倒的だったのは、様式の徹底。ドラマはドラマティックに撮ってナンボちゃうんけ!という監督の叱咤が聞こえてくるようでした。「ドキュメンタリー・タッチの無作為な演出」とか「自然な演技」とかいった言葉が霧と消え去るパワフルさに満ちた力作。

 『あるいは裏切りという名の犬』は、実は元日に観たんですが、ものすごく面白かったのでここに入れてしまいます。一見すると伝統的なノワール風ながら、フランス映画らしさすら感じさせないほど緻密なストーリー構成と堂々たる演出で見せきる、骨太のエンターテインメント。なんか凄かったです。

 その他、面白かった作品は以下の通り。

『グエムル ―漢江の怪物―』
『叫』
『忘れえぬ想い』
『ブラック・ダリア』
『ミュンヘン』
『ハッスル&フロウ』
『メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬』
『ハッピー・エンディング』
『プルートで朝食を』
『ディセント』
『硫黄島からの手紙』
『時をかける少女』
『パニック・フライト』
『ヒルズ・ハヴ・アイズ』
『朝の日課(Les Matines)』
『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』
『マスターズ・オブ・ホラー/世界の終り』
『インサイド・マン』
『スキャナー・ダークリー』
『エレクション』
『キス・キス,バン・バン』
『ホステル』
『レディ・イン・ザ・ウォーター』
『イカとクジラ』

 とりあえずこんなところで。06年公開の『ヒストリー・オブ・バイオレンス』『夜よ、こんにちは』『西瓜』『柔道龍虎榜』『マクダル パイナップルパン王子』も傑作でしたが、観たのは前年なので外しました。上半期はマイク・ホッジス研究にかまけていた上、サイトを作るのに没頭していたので、ほとんど映画を観てません。新作以外では、金沢二十一世紀美術館の鈴木則文監督特集で『ドカベン』を観たことが印象深いです。また行きたいなぁ、金沢。

 映画ではないですが、平山夢明さんの短編小説集『独白するユニバーサル横メルカトル』があまりに素晴らしく、酔わされました。豊かなボキャブラリーで繰られる文体が何しろ魅力的。切れ味鋭い凄絶な残酷描写には読者の脳髄をキックする快楽があり、モラル的にもひたすら正しく、タガの外れたユーモアで存分に愉しませてくれる、最高に甘美で楽しい一冊でした。滝本誠さんのノワール映画評論『渋く、薄汚れ』も大好きな本。2007年はもっと読書したいです。

 では、今年もよろしくお願いします。

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